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家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!  作者: 雪那 由多


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大家のターン 2

 突然の光。

 突然の罵声?

 突然の暴力??

 突然の水攻め???


 一体何が起きたかわからなかったけど、慌てて水面を求めて本能のまま何かにしがみ付こうとすればすぐに体は安定して……


「よう、少しは目が覚めたか?」

「大家…… げほっ、げほっ……」


 思いっきりむせて苦しかったものの、むせたと言うか声が出なかったと言うのが正しかった。

 大家さんは洗面台の歯磨き用のコップを渡してくれたのでありがたく受け取り蛇口からあふれるお水で喉を潤していれば

「で、なんでこんな事になった……」

 と言っておいてから

「まあ、今は体を温めて綺麗にしろ。腐乱した匂いが酷いぞ。

 話はその後だな」

 なんてドアを閉めてくれたけど

「俺、そんな時間なくって!」

 風呂なんて入ってる余裕なんてなくて出ようとすれば予想していたと言うように待ち構えていた大家さんによってまた風呂に放り投げられた。

 なにこの人、俺よりちっさいのに投げ飛ばすなんてありえんだろ!

 それにどうすればきっちりこの大きいとは言えないバスタブに俺を放り投げられるんだよ?!なんて少し背中を打つも後を引くような痛みではない事にすべて加減がされている事を嫌でも理解する。

 再びバスタブの縁を頼りに起き上がれば仁王立ちの大家さんがドアで俺を見下ろし

「玄さん、岩さん、さび。仕事だ」

 そう言って三体を俺が入っている風呂へと放り投げた。

「わーい!真とお風呂楽しーね!」

「真お洋服脱がないといけないよ!」

「真!玄泳ぐの上手になったから見せてあげるね!」

 そんな賑やかなどこか忘れかけていた日常に節々の痛い体に気付いた。

 ぎこちない動作で大家さんを見ればなぜかその右手には真っ白の毛玉、ではなく暴れる真白を容赦なくつかんでいて

「お前にはしろを綺麗にしなくてはいけない義務がある。

 ピッカピカのつやっつやのさらっさらのしろさんに仕上げるまで風呂から出るなよ」

 そう言ってポンッと気軽にバスタブに向かって放り投げた。

「主酷いー…… ぶくぶくぶく……」

 確かに酷い!

 慌てて掬い上げようとするも必死に暴れて風呂から脱出しようとする真白の爪が痛くてなかなか手が出せない。

「真白、落ち着いて!」 

 慌てる俺だけど

「真ーこういう時は桶ですくってあげるんだよー。主がいつもやってたよー」

 玄さんを浮き輪に岩さんがやって来てのアドバイス。

 いや、岩さん。玄さんの扱いひどく無い?そう思うも岩さんのしっぽに緑青が捕まっているからきっとこれはそういう遊びなのだろう。そう思う事にして今も暴れる真白を桶で掬えば前足と後ろ足が桶の底についた所で安心しての


 ブルブルブル!


 これがドリル!というように水しぶきをまき散らしては玄さん達を喜ばし、何とかバスタブの縁へとたどり着こうとプルプルする足で踏ん張っていた。

「真ー!早くお風呂から出してくれないと真白はお湯に溶けてなくなっちゃうんだからね!」

 なんてどんな理屈か分からない言葉を並べてぷんすかと怒る姿、かわいいー!

 ご褒美としか思えないこの姿にうんうんと返事をしながらも石鹸を手にして真白を綺麗に洗い上げる。


「ん、にゃーっっっ!!!」


 にゃーなんだ。

 そんな猫の様な叫び声に感心しながらてきぱきと洗ってお湯で流してからの真白ドリル。

 飛び散る水しぶきに緑青も大喜び。

 一人だけもう出たいと前足でカリカリとドアをひっかくからドアに挟まれないように真白を抱きかかえてドアを開けようとすれば

「あれ?真白、足けがしてる?」

 小さなピンクの肉球がほんのり赤くなっているようだった。

 それどころかよくよく見れば爪も割れていて……

「これは真白の勲章なの!」

 そう言って少し空いたドアからぴゅーっと外へと出て行ってしまい


「あー!しろ!部屋の真ん中でドリル禁止ーっ!」


 冷静な大家さんでも悲鳴を上げるんだと謎の感動をしながら、俺はびしょぬれになった服をはぐようにして脱いで


「真ータオルでぶくぶくしてー!」

「真ーぶくぶくやろー!」

「真ー、シャボン玉もやってー!」

 

 そんなお風呂遊びをおねだりするちみっこの存在を何でここ数日忘れていたのか不思議に思ったけど

「遊んであげたいのはやまやまだけどこれ以上大家さんをお待たせするのはいけないからすぐに体を洗ったら出るから先に出てすぐ出ますって大家さんにそう伝えてね?」

 言えば

「「「はーい!」」」

 大変素直でよろしい。

 ドアを開けてマットの上に置けばマットの上を転がるようにして体をぬぐって電気がついている明るい方へと向かう様子を見守って

 なんだか眠くなったものの一人になったら間に合わない仕事を思い出して手早く体を洗ってすぐに風呂を出た。

 そのまま出ても良かったかもしれないけどまた大家さんに投げ飛ばされるのは勘弁してほしいとなかなか泡立たない使い慣れたシャンプーやボディソープにいかに自分がヤバい状態かを理解するものの今はそんな暇はない。

 なんとなくねばねばする口もついでに洗ったあとは着替えを取りに腰にタオルだけを巻くスタイルでこっそり部屋へと戻ろうとすれば


「あー、真だー!タオルで遊んでるのー? 真白も遊ぶー!」

「緑青も遊ぶー!」

「朱華も仲間に入れてー!」


 タオルの裾に飛びついてぶら下がるちみっこを蹴らないように気を付けた瞬間……


「主ー!真のタオル取れたよ!」

「主ー!真のタオルゲットしたよー!」

「主ー!真お洋服着てないよー?」


 そんな泣きたくなる報告は止めて下さい。

 だからと言ってマッパで止めに行く事も出来ずにいれば


「いや、ふろ上がりはそんなもんだぞ?」


 謎の同意は止めてください。

 ありがたいのかわからないけどちみっこ達に変な常識を教えるのは勘弁してくださいと願う真だった。

 



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