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家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!  作者: 雪那 由多


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平和は訪れても大体何かの前触れでしかない 4

「後は木材だけど乾燥し過ぎると割れてしまう場合もあるからたまにで良いから固く絞った雑巾で丁寧に拭ってもらえるとよいのだけどそれが一番面倒なんだ」

 そうなんだ。

 すぐ引っかかるからとっても面倒なのだよと深刻そうな顔で言うあたりなんか年は離れているけど仲間意識が芽生えて今ならお友達になれる気がする。

「まあ、日々のメンテナンスとかだと車の埃落とす帚あるだろ?やわらかい巨大なブラシって言う感じの奴」

「あー、ありますね」

 車を購入した時にアルバイトだろう人が車の掃除の時に浩太さんが言っているようなブラシで埃を落としているのを思い出した。

 思い違いじゃないようにとスマホでこれですかと言えば浩太さんもこれこれと言ってお勧めだよと言ってくれた。

「ブラシだから引っ掛かりが少ないし。一定方向に掃除すれば安全に綺麗になる。箒の部分も柔らかいからこの家みたいに壁も板張りしているような家にはおすすめだよ」

「あると便利そうですね」

 そう言いながら俺は手慣れた動作でぽっちした。

 浩太さんは買っちゃうんだと言うような目で見ていたけど、それ以上は深く突っ込まないでいてくれたあたりすぐに自分の足で買いに行けと言ううちの父さんよりよっぽど理解ある大人でますます尊敬度が上がった。

 それじゃあまた明日お邪魔しますねとササッと片付けて帰ってしまった浩太さんを朱華は名残惜しそうに玄関までお見送りをしてくれた。

 そして翌日も肩に朱華を乗せたのも気づかずにサクッと作業を終えて工事は完了。念のため明日一日は使わないようにと注意を受けるもすでに見えない世界のちみっこ達は運動会の練習でもしているかのように走り回っているのを見ないようにして了承をした。


 数日の間足を運んでくれていた浩太さんが来なくなると室内ががらんと広く感じた。

 生活音とは違う作業音を賑やかに思いつつもちみっこ達にだって嫌いなものがあるのかと感心しながらもちみっこ達とおやつを食べながら欄間を見て大家さんに連絡をする。

 大家さん払いのこの工事だったのでお礼の電話を入れればすぐに返事をしてくれた。


『はい、大家です。何かありました?』

 どこか眠そうな声だったけど、そういえば電話はあまりしてなかったなと改めて直接会話をするのが久しぶりだなと思いながら

「いえ、工事が終わりまして連絡させていただきました。

 今回は代金まで持っていただいて本当にありがとうございます」

 言えば一拍置いて

『あー、こっちこそちび達の事気遣ってくれてありがとうございます。

 ちび達の事なので俺が持つのは当然なので気を使わないでください』

 なんて太っ腹。ありがたく甘えさせてもらって近状報告。

「玄さんもさっそく池で遊んでいます。近く金魚も買いに行く予定なのでお友達ができるって楽しみにしてますしスロープではみんなでかけっこして大騒ぎです」

『そりゃあ何より』

 うんうんと満足そうに頷く様子が手に取ってわかる様子に俺もお願いしてよかったと思いながらももう一つ思い出した。

「あと欄間の修繕もついでみたいにお願いしたのに丁寧に直してもらってありがとうございます。

 浩太さんでしたね。朱華がもうなついて浩太さんが帰る時一緒に行ってしまうのではないかってぐらい恋しちゃってましてね」

 なんて笑い話になるように言えばああ……なんてどこか納得するように頷き

『あの家はもともと内田一家が建てた家だからね。

 浩太さんの親父さんのお爺さんって言う人が凄腕の大工さんでね。いまも古い職人さんの中にお弟子さんも残っているし、あの彫刻から見てわかるように見た人に影響力も残すくらいの作品を制作した人なんだ』

 あー……

『きっとどこかで血の繋がりを感じたんだろうな。自分を生み出した人との繋がりを』

 魂を込めたその彫刻は自由を得るまでに時が過ぎ、それでも創造主の面影を求めて寄り添っていた姿をなんだかとても代えがたいものを見せてもらったという満足感が心の中に広がっていく。

「そう聞くと俺が預かるより浩太さんのそばに居る方が良いのかな?」

 なんて思うも

『ひよの家はお前の家だ。浩太さんはテレビの向こうのアイドルぐらいの存在と同じだよ』 

 そういって

『もうすぐ60歳のアイドルか。例えが微妙だったな』

 なんてひどく真剣に言うからこっちまで笑ってしまう。

 そんな感じで電話を終えればおやつを食べ終えたちみっこ達は縁側のカーテン越しの柔らかな日差しが差し込むところで土鍋に敷いてあったタオルを引っ張り出して包んで遊びだしていた。

 ああ、これはもうすぐお昼寝の時間か。

 後片付けは後回しにてしばらくの間欄間を眺めながら静かにお茶を飲んで時間を過ごしていればほどなくして物音のしなくなった縁側に俺もどこか心地よくなった室内であくびをこぼした。






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