ご近所さんと遭遇してみる? 6
考えたらちみっこ達にはお互い以外友達がいない。
俺が視える人だからこうやって一生懸命話しかけてくるけど、視えない人相手に一生懸命話しかけても何も返ってこない会話だったら何て虚しい会話だろう……
兄貴が来た時隠れていて言ったけどおしゃべりできる人が増える。
それだけでこの小さな体の心はどれだけ刺激的なのか考えたら隠れていてと言う方が残酷な事に気がついた。
とはいえ、視えない人を驚かす事になるからうちに人を呼ぶ時は注意だなと改めて付き合い方を考え直した所で
「あ、目が覚めた?」
「すみません。ご迷惑おかけしました」
まだなんとなくふらつくも大きなつばの麦わら帽子にクーラーボックスと草刈り機をもってやって来たのはきっと俺を助けてくれた遠藤さん。
草の汁とか葉っぱを汗でぬれたシャツに引っ付けながら水場までやって来た。
金魚が水面までやってくるのを見て四阿の天井に設置された小さな台に置かれた金魚の餌を与えた。
喜んで水面に浮く金魚の餌をバクバクと食べる金魚と一緒に玄さんも一緒に金魚の餌を食べて
「真ー、これおいしーよー!」
……。
真白と言いドライフードっていいのかと頭の中は葛藤しながらも良かったねーと笑顔を向けておいた。
「とりあえず大事にしないように救急車は呼ばずに時々熱中症になる人と同じようにここで涼ませて休ませてみたんだけど、体調はどうっすか?」
あちー、なんて景気よくシャツを脱いで貯水槽からあふれ出た水を溜めておく水瓶から手桶で水を汲んだと思ったら景気良く頭から水で流し出した。
二度三度とざばざばとかけて
「あー、さっぱりした」
ふるふると頭を振って水けを切る。
クーラーボックスの中から取り出したタオルで頭と顔をぬぐってから首や体と滴る水をふき取りクーラーボックスから使い慣れた少し草臥れた真っ白のシャツを取り出していた。
いや、クーラーボックスの使い方どうよ?
もちろんちらりと見えた所にはお弁当や大量のペットボトルも入っていたけどと思うも荷物を一つにまとめた程度で考えておけばいいのかと突っ込みは俺の心の中で留めておく。
「すみません。お仕事中にお邪魔しまして……」
「あ、ここ?俺んちじゃないから気にしないで。あとポカリ良かったらどうぞ」
にかりと笑うも俺んちじゃないと言われれば余計気にするところだろうと突っ込みたいもののポカリはありがたく頂いた。
「ここ俺が働いている会社の工場なんだ。
今日はチーム工場の人達はちょっと遠征しているから中に入れてやれなくって悪いけど、それでもこの水場があれば大体大丈夫だし」
そうなのか?
当人が言うのなら大丈夫なのだろうがそれでも遠藤さんは慣れたように四阿のベンチに座って半分ほど飲んだポカリのキャップを締め直して貯水槽の中に入れて冷やしていた。あ、こういう使い方なのねと俺も真似してポカリを入れれば金魚と玄さんがぷかぷか浮かぶポカリをつつきまわしたりして遊びだしていた。たくましくて何より!
「ところで、探し物は見つかりました?」
少しの心配げな視線と聞いていいのかと言う声。
あそこで見つけてもらった状態を見れば見つかってないと言うのが答えなのは聞かなくてもわかる話。
だけど俺は力強く頷いて
「ここで目を覚ました時に見つけたので、もう大丈夫です。
お礼も言いたかったので挨拶にと待っていました」
今も貯水槽で金魚とぐるぐる輪になって泳ぐ玄さんの楽しそうな笑い声…… が聞こえるのにはなんか違和感しかなくってビビるけど、楽しそうで何よりですとその様子を眺めれば自然と笑みが浮かんだ。
「そうか。よかったっすね。
あとこっちこそ悪かったっす」
ぺこりと頭を下げられてしまった。
「ちょ、いきなり誤る理由なんて……」
「俺が設置の時ちゃんと気が付いて修正しなかったせいで道路に飛び出していったのなら俺の責任だって社長に言われたんっす」
「ちがっ、俺が先に設置してたから、それを手直ししてくれただけで……」
「それでもそこで危険性を言えなかった俺が悪いって親分達に怒られました」
「お、親分……」
何その会社。
社長は判るけど親分ってどっちが偉いの?なんてびくびくしていたものの
「とりあえず詫びて改めて作って来いって言われてるので改めてどこに設置をするかから相談しましょう」
「あー、でもあの家借りているから……」
「そこは大丈夫っす。いましゃちょーが綾さんに連絡とって返事待ちの状態です」
なんか急に緩くなったなと社長さんがしゃちょーで綾さんって大家さんの事でいいのかなって思っていれば
「あー、九条さんが住んでる家は俺達がリフォームしたから不便な所があればどんどん言って下さいね。綾さんも修繕費は回してもらって構わないからって言ってくれたから雪の重みで屋根が崩れたとかそういった話があったらすぐに言って下さいっす。すぐに修繕に向かいますんで」
ものすごくあっけらかんとした説明だけどそこでふと思いつく。
「すみません。だったらそのご厚意に甘えたい事があるのですが……」
そう言って俺は一つの計画の説明を始めた。




