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家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!  作者: 雪那 由多


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付喪神の付き合い方は甘くていいそうです

 緑青の件を機に俺は通称「つっきー」と言うアドバイザーと連絡を取り合った。

 何せ自由気ままな付喪神。

 やりたい放題遊びまくってお片付けもできないやんちゃぶり。

 いや、片付けないと言うのはまだましなくらい。


「真ごめんなさい。コップ割っちゃいました」

「真ごめんなさい。ゴミ箱たおしちゃいました」

「真ごめんなさい。トイレットペーパーぐるぐるしちゃいました」

「真ごめんなさい。洗濯物落としちゃいました」

「真ごめんなさい。パンの白い部分だけ食べちゃいました」


「みんなごめんなさいちゃんとできていい子だね」


 本日の我が家も相変わらずカオスです。

 一応ダメな事はダメと理解しているようですが、好奇心が勝るようです。

 一応つっきーのアドバイスでは付喪神は褒めて育てろと言う家庭の方針から間違いがないと言うそうです。

 

「それより奥さんとお子さん放っておいていつも俺のアドバイスに乗ってもらっても大丈夫なんですか?」

『ああ、うん。うちの奥さんもちびーずの事知ってるから』

「え?ひょっとして大家さんと家族ぐるみのお付き合いとか?」

『あー、まあ。夏休みに遊びにお邪魔したことがあって。その時に対面してるんだ』

「視える夫婦。じゃあお子さんも視える系とか?」

『もちろん。まあ、見えなくてもいいんだが、ガッツリ見えるらしくって真白が思いっきりしゃぶられてて申し訳ない事をした』

 うわーとしゃぶられてカピカピになってる真白を想像してかわいそうにと同情してしまえば

『で、今日の悩みは何だ?』

「そうそう、付喪神ってどうしたら落ち着くのでしょうか」

 我が家の一番の切実の悩み。

 今はまだ初夏だからあまり火を使わないからいいけど、火事になったらと言う可能性を考えて聞けば

『まあ、格が上がるのを待つしかないな』

「どれだけ待てば?!」

 これ以上ちみっこ達が暴れまわると本当に家の中のものが全部なくなる、またはこの贅沢なつくりの家を破壊されてしまうとスマホ越しに期待を込めて訴えれば


『そればかりはあのちびーずがどれだけ徳を積むかだろうな』

「かわいいしか取り柄がないのに!!!」


 思わず滂沱の涙と共に叫んでしまえばつっきーはこればかりはしょうがないと笑っている。全く他人事だと思ってと不貞腐れてしまえば


『もしくは俺に預けると言うのも手だぞ?』

「それはあり得ません」

 

 即答で断る懸案。

「なぜに大家からお預かりしている付喪神を大家に何も相談せず預けられるんだって言うんだよ」

 警戒して言うも

『まあ、本音言ったらその子たち預けられても困った所だけど……』

 そうして思い出すのはつっきーのお子様にしゃぶられてカピカピになった真白さん。

「危険でしかないですね」

『自慢じゃないがうちの子たちとても優秀だからね。今の状態だとちびーずは消滅させちゃうかもしれないから。ほら、子供って力加減解らないからね』

 神殺しのつっきーの子供。

 中二病どころの騒ぎじゃすまない。

『小さくて無能なちびーずだけど、それは綾人が力を封じているだけの状態だから。

 実物は巨大すぎて手に負えないのが俺達の見解でな。

 あの時封じた綾人だって三日間昏睡、それから一か月ほどベッド生活、うち三週間ほど仮病。あれを封じた事は凄いと思うけど思い出すだけで腹立つ』

「け、仮病って……」

『挙句に一か月のあいだ奥さんと子供を連れて面倒を見たと言うのに役に立たんなと鼻で笑われて、バカにされまくられたぞ』

 あまりにもひどすぎて何も言えなかった。

 つっきーなんてふざけたハンドルネームを使っているけど話を聞く限りじゃ会話の端々にそれなりの実力者だと言うのは理解が出来た。

 もっともそれは詮索しないと言うのが条件。

 こちらに来る事があればオフ会したいと言うのもNGだ。

 あくまでもスマホ越しの音声オンリーのビジネス。

 相談料が一回五百円と言う格安なのだが絶対に他人に教えるなと言うのも条件だ。

 だったら大家の紹介は問題なかったのか?

 そこは迷惑料のうちとして黙って引き受けろと言われたらしい。

 大家さんらしいとは思うが、この人良く付き合っていられるなと感心をして

「よく今も友人をやってますね」

 でも呆れて言ってしまう。

 それには大賛成だと言うようにうんうんと頷く声が聞こえたものの


『まあ、俺達の界隈だとこういうのを縁が憑くって言うんだ』


「逃れられない縁になりましたね」

 なんて諦めるしかない縁にそれならせめて良き縁となろうと努力の最中だとまとまった所で今回の相談会は終わった。

 LIMEマネーで五百円を送金。

 お子さんと遊びに行くときのおやつ代になるそうなので気持ちよく支払っておく。

 父さんや兄貴がしている仕事を全く知らずにここまで来たから今さらなんとなく聞けないし、表の仕事しかさせてもらえない二人に聞く事もなんとなく気まずい。

 ましてや拉致ってこいなんて事を言う父さんに相談なんか出来る分けもなくて、


「はあ……」


 つっきーと言う相談相手が出来たのはほんとありがたいと思うものの、目の前の景色がその心を薙いでしまう。


「こらー、今はお片付けの時間だろ!」


 割れて危ないコップは俺が片付けたし、重量的に無理な洗濯物も俺が片付けた。

 残りのトイレットペーパーとあまりゴミの入ってなかったゴミをゴミ袋に入れるお片付けは無事済んだものの散らかっているおもちゃのお片付けはおもちゃに遊ばれて難航しそうだ。

 仕方がない。気合を入れるおまじないを言うか。


「あとちょっとだな?

 お片付け終わったらおやつの時間にしような。

 今日はパンケーキだ」


「「「「「パンケーキ大好き!!!」」」」」


 途端に動きが全く変わって瞬く間におもちゃが片付いていく様子を見ながらヴィーガンパンケーキなる物を作る準備をはじめ、甘い匂いが家の中に漂えばみんな気が散ってそわそわともうお片付けにならない様子だ。

 ビー玉やおはじきがまだ転がっているけどそこは仕方がないと目をつむる事にした。

「お片付け終わったら手を洗っておいで」

「「「「「はーい!」」」」」

 きれいな水を入れたお皿を用意すればおそうじに使った部分を綺麗に洗ってフライパンで焼かれて膨らむパンケーキに目をきらきらとさせていた。

 小さな一口大のパンケーキを二段重ねに用意してたっぷりとメープルシロップをかけた所で


「ではいただきます」

「「「「「いただきまーす!」」」」」


 ついさっきまで反省していた顔はあまーい香りのメープルシロップをたっぷり吸ったパンケーキにご機嫌と言うように笑顔で夢中に頬張っている顔に俺もパンケーキを口に運んだ。


 今日も我が家のちみっこ達は素直で大変よろしいです。








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