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家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!  作者: 雪那 由多


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自由を謳歌するのは子供の特権です 3

「真は本家の(あかつき)さん覚えているか?」

「あー、何度か見かけたことはあるけど直接話とかはした事はないな。

 確か十歳ぐらい年が離れていたよな」

 そうなると子供だった俺から見れば十分大人なので声をかけるのはかなりハードルが高かった。もっとも親戚関係も切れて今はご近所関係程度の間柄。

 かつて親戚だったと言うように見えない隣人たちを視界でとらえたり、その声を聴いたりする程度の能力で今も縁は続いている。

 かなり昔の縁でこの程度。

 そうなると本家の後継ぎとなる暁さんはもうガッツリこの世の裏の世界のお仕事をなさっていると言う。

 実際何をやっているのか俺も兄貴も知らないが、表向きはご実家の神社の後継ぎとして今も修行している。

 結婚もされて子供もいておまけに十歳ぐらい年上なのにイケメン。

 自分はともかく彼女のいない兄貴、顔は俺同様平凡。

 言ってはいけないが暁さんと兄貴は学年こそ違えど数か月差の誕生違い。

 小さい頃は一緒に遊んでいたけど保育園に通うようになったら学年差から離されて行って、それもまた兄貴を追いやる一因になった。

「なんか差別を感じるなー」

「な、なんだいきなり……」

 何一つ勝てる要素がない事を導き出して少し僻んでしまえば草を抜く手も八つ当たりと言うようにサクサクと進んでいく。

 途中玄さんが「おなか一杯になったから日向ぼっこするー」と兄貴に縁側に連れてってもらったが俺の草取りの手は止まらなかったものの突然ぽつりと言った。


「でも差別か。なんか納得する」


 そういって疲れたように苦笑する兄貴はあの親から逃げられないだけに俺以上の苦労を背負っていた。

 そう思うとよくここまで来れたなと感心するも、父さんが付喪神欲しさに朝一で行けと送り出してくれたらしい。

「今更だけど、相変わらず本家の暁はすごいのにって親父の嫌味はひどくてさ。

 母さんはなるべく家の事にかかわらないようにしているけどやっぱりとばっちりはあるみたいでね。今も本家の暁はすごいのにってやつ俺と同じように言われているよ」

「ほんと相変わらずだね」

 そう言ってそっと視線をそらし

「悪いね。俺が家を出たから当たりが強くなって」

「なに、真まで親父の生贄にならなくて済んでよかったよ」

 小さいころから俺も聞いていた呪いの言葉。


「本家の暁に負けるな」


 そんな無理難題のプレッシャーを祖父母と親父から受け続けた兄貴は……


 見事反骨精神を鍛え上げてくださいました。


 兄貴は俺をかわいがるという事で父さんたちから守り、この家に残るのではなく家を出ていくように勉強を一生懸命教えてくれた。

 自分の成績は悲惨を極めていたのにもかかわらずだ。

 小学生だった俺でも兄貴今度のテスト大丈夫かよ、無事卒業できるのかよなんて心配するくらいの悲惨な状況。

 だけの兄貴はにっこり笑って大丈夫だと言う。


「親父たちが就職先を斡旋してくれるからな」


 反骨精神どころかどんなライフプランを練っているのか問いただしたい小学生の俺だったけど、親父たちの嫌味を耐えながら交わしてイージーモードの人生を進む事にしている決心をもうその時には決めていたようだった。

 それなりに大きな神社だったからきちんとサラリーを貰えたし、母さんが書道教室の先生だったから俺達も習字を習わされたおかげで御朱印を書く仕事もあった。ちなみにわりと人気の御朱印なので繁忙期など時々兄貴に誘われて駆り出されて書いていた事を思い出した。

 いいバイトだった。

 本家の人達も良い人だった。

 ただその時暁さんは修行でいなかったからここでもお話をするタイミングがないままこれだけの時間が過ぎてしまった縁のない人だった。

 いや、バイトに御朱印を書かしていいものなのだろうかと書きながら思っていたが文句を言われたことがないのでOKとしておこう。

 まあ、見本を見ながら真似をする簡単なお仕事だからこれでこんなにももらっていいものなのかと高校生の時の俺は本当にかわいいと思った。

  

「それでだ。真」


 急に真剣な声に草を抜く手を止めれば


「あの付喪神はすでに使役されている。それをしたら親父たち、付喪神達の主人に何をするかわからないから気を付けてくれ」

 

 シャレにならないような声音に親父たちがかなり危険な状態だという事を理解した。

 多分この一言を言いたくて昨日から何か言いたそうにして言い出せない、そんな顔をしていたのだろう。

 だけど俺に言い切った所で


「じゃあ、帰るから」


 そう宣言して立ち上がり、勝手にシャワーを使ってどこか晴れ晴れとした顔で


「よし、準備できたから駅まで送ってくれ」


 そんな笑顔と


「みんな今日はありがとうな!

 また今度遊びに来るからお土産楽しみにしていてね」


「「「「「うん、バイバーイ!」」」」」


 そんな賑やかだけどどこかドライなお見送り。

 いい子でお留守番するからと言ってミニトマトとトウモロコシをしっかり強請って来たちみっこ達は俺達の悩みなんて知らないと言うように準備している間にボールを使って遊んだ直後障子を破いてくださいました。


 お願いだからこれはほんと止めてください。 




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