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家賃一万円、庭付き、駐車場付き、付喪神付き?!  作者: 雪那 由多


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それぞれの結末 3

 考えれば考えるほど当然となるだろう。

 昨日の夜中の大家さんの付喪神が大暴れしたのが理由で集まっているはずなのにまさかその前の出来事からの話し合いになるとは思ってもいなかったのだろう。

 いや、なぜ逆に肝心のそこを省略するのかと短絡的な考えになるのが不思議だったがとりあえず俺たちは大家さんを挟んだ対角線上に居座る小者。いえ、むしろ大家さんがここに座れと指示したので甘えているだけ位置取りとは言え正月以来に顔を合わせる息子と挨拶どころか久しぶりだというのに目も合わさない辺りもはや他人なのだろう。

 相変わらず今も俺の家では兄貴だけが息子だったのだろうと直視しなかった問題に今さらながら少しだけ心が痛んだ。

 そんな俺を気にせずに皆さん大家さんが弁護士を引き連れてのビデオを見ながらの説明会。

「このように施錠してある家の庭からのガラスを割っての不法侵入、そして家の中の留守番中のセキュリティ対策ビデオに映った人物は九条真君のお父様と認識してもよろしいですね」

 小さな画面とは言え持ってきたライターと台所を家探ししながら見つけたサラダ油をまき散らしてからの着火。

「ああ……」

 誰かが零した悲鳴と共に油の力を借りて一気に広がる様子もしっかり映っていて、最後に持っていたサラダ油を火の中に放り投げてからの逃走。

 そこから入口に停めてあった車に乗り込む様子も、車のナンバーもしっかりと外の害獣対策のカメラに写っており……

「因みにこちらの映像はすでに大家の吉野様から私が代理で警察署の方へと提出させていただきました。

 さらにこちらの映像も見ていただきたく思います」

 入れ替えたDVDは別の部屋が映っていて……

 床の間だった。

 親父だけではなく別の人達もそこにいた。

 その中の一人が緑青の香炉を持ち上げ、嬉しそうに掲げて

『これで龍は俺の物だ!』

『おめでとうございます!』

『お父様もお喜びになりましょう!』

 歓喜した笑い声が室内に響き渡っていた。

 腹の底から煮えくり返るような怒りと


「緑青の香炉盗んじゃダメなんだから!」


 大家さんの帽子の中から大家さんにしがみ付いて知らない人たちばかりにプルプルと震えながらも怒りをあらわに抗議する緑青。悪いがとてもかわいくてにやけてしまう。

 大家さんは今にも怒りから泣き出しそうな緑青をよしよしとなだめていればすぐにまた帽子の中に入ってしまい、玄さんと岩さんに励ましてもらっている小さな声に俺の方が泣いてしまいそうだ。

 それでもみなさん小さな緑青に驚きながらもあれが龍、生まれたばかりの付喪神かとざわついていたが、俺はその映像に写る男の顔に見覚えがあった。

 確か大家さんが地下の隠し部屋に取りに行けと押し込んだ……

 さすがにこの席にはいない。

 どうすれば回復するかなんて暁さんでも見落としたトラップを仕掛けた人じゃないとわからないだろう。

 むしろそれを大家さんが気付いたという方が不思議だが、どうせ聞いても教えてくれないのだろうから教えてくれるまで黙っている事にした。

「このように若干一名この場に居ないのは昨晩の時点で体調が悪かったのを知っていますので彼抜きで話を進めて行こうと思います」

 大家さんがそう言えば紫と呼ばれた爺さんがキッと睨みつけるもその隣に座る更に年上の人がコホンと咳払いをしていた。

「そう言えば昨夜弟の紫の自宅に侵入者がいたと聞いたが?」

 睨みつける視線だが

「心外です。 

 多少訪問する時間にはふさわしくありませんでしたが、ちゃんとドアをノックして挨拶をしてお邪魔しました。当然中から出迎えの言葉もありましたし」

 言えば

「そんなもの誰もしてないぞ!」

 そういやお酒を飲んでぐっすり寝ていた人たちだったなと酒臭かった室内の匂いを思い出していれば

「では、どうぞと招き入れてくれた人や鍵を開けて招いてくれた人は何だったのですか?

 ご自宅の鍵穴を調べてみてください。無理やり工具で開けたような傷跡もないでしょう?」

 そんな大家さんの言葉にこの席の末席に控えていた人がすぐに席を外した。

 なんかこんな事前にもあったなあ……

 寝ている所を起こされて何が起きているのかわからないままベッドを乗っ取られたカフェの店主を思い出せば大家さん今度はどうやって調べたんだろうとそっちの方が気になった。

 絶対異常が見つからないだろう懸案はもう終了と言うように大家さんは沢村さんから書類を受け取っていた。

「それでですね、うちの知り合いの大工さんって仕事が早くてさっそく火災があった場所の修繕の見積もりを用意してくれたのですよ」

 ひらりとテーブルの上に置いて父さんの前に突き付けた。

 みんなの視線は自然とその紙へと向かい、合計金額の所で誰もが目を止めて固まってしまった。




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