赤の系譜3
「……」
魔装が安定化したか。第一王女は評価を改めた。彼女もまた、強者の一角を担う魔道士の1人。奢ることはしない。黒い右腕に注意するとして、傍らに浮かぶ4本の杖は、どれも天上の杖、か。勝てば総取り。国が一気に強くなる。このリスクをあの下男は把握しているのか?
「……カッカッカッ」
今日は呪いの力を使いすぎている。反動が怖いが、そうも言ってられない。
杖には使用者の魂が宿る。赤い杖が牡牛座ではないにしろ、継母の魂がそこにあるなら、『丑三つ時』が使えるようになる可能性がある。そうなる前にかたをつけなければ。
次々に飛んでくる水の弾丸を『手』で防ぐ。両脇から飛んできた魔法の弓矢は『足』で地面を踏みつけ、高く飛び上がることで防ぐ。目の前に迫る少年には、杖を振るい、盾を作り出す。たしかに数時間前までとは確実に動きが違う。
「水瓶座」で足場と中距離、盾もだせる。「射手座」で長距離と牽制を。近づけば、黒い杖の間合いだ。
別段魔力が高まってるわけではない。ただ単に魔法の使うタイミングが上手くなっている。いまも、我の『手』や『足』を真似て、水の魔法で再現している。底なしの学習意欲。今は一兵卒にすぎないこやつも。時が経てばたつほど厄介になっていくだろう。
魔力を吸い出し、巨大な身体を作り出す「呪い」。昔は無秩序に自分の意志とは関係なく、ところ構わず発現していた。
家族や部下、国のものたち。多くの人に迷惑をかけてきた。恩を返す。国を守るのが我の使命だ
こんな何処の馬の骨とも分からぬ輩に、国を世界を任せられるわけないだろうが。
「似非勇者。お前は何のために戦う」
「守りたいもののために」
「……エゴだな」
「あんたがなにか背負っているなら、俺もそれを手伝うぞ」
「は?」
「倒すのは簡単だけど、それよか仲間になって考えようぜ」
「……カッカッカッ!甘い!甘い甘い甘い甘い甘い!!!その答えは0点だ!!!!我にも勝てぬお前に!!誰がたよれるか!」
彼女は杖を抜く。
「はは……」
彼女は今まで全く本気は出してなかった。
冷や汗がたれる。
これはやべーや。
「巨躯を駆りて、薙ぎ払う!獅子の爪痕、大地に遺す!!魔装・赤獅子巨兵の陣!!」
赤髪の大獅子が目の前に現れる。いや、獅子を肩に背負った巨大な女騎士だ。瞳は煌々と燃えている。唸る声は空気をびりつかせる。両手には長い爪が装備されていた。
「『爪』!!!」
頭上から巨大な爪が迫り来る。
「黒蛇!!!」
蛇を走らせ、とぐろを巻いた盾を作り出す。
「……?!……がふ!」
ぽたぽたと血が流れる。裂かれた腹に焼けるような痛み。
「魔法は全て、なん、で」
「魔力は、消せても、実態のある刃は消せないだろ」
「なっ……ぐぅ」
大量の水でおしのけようとする。だが、
「んな、ちんけな水遊びで、我が止められると思うのか!!赤角」
甲冑が赤く染まる。これは、幾度とみた。さちよさんや、お姉さんの技。
「その、技は」
「あぁ、継母上の技だ、せっかく手に入れた技だ。出し惜しみしなくてもいいだろう、よ!」
腕で防ごうとするも、即座にその危険性を感知する。まずい!!
「水瓶座!!!」
腕に魔力を纏わせて、さらに水の盾を何重にも重ねるも。全て破壊される。
「があああ」
拳撃の威力があがってる。受け続けるには危険だ。
「カッカッカッ!防ぐだけじゃ、我に勝つことはできんぞ」
「あぁ、そうだな、出し惜しみしてる場合じゃねーよな」
「……カッカッカッ。まるで今までそうじゃ無かったみたいな言い方だな」
「これから帝都に乗り込まないと行けないからな。だけど、そうも言ってられないようだ」
おれは思いっきりケツに手をつっこんだ
いつも皆様読んでくださりありがとうございます!(´▽`)
お盆期間中かける分だけ更新していこうとおもいます。
あと1.2わほどいけたらいいな( ᐛ )( ᐕ)( ᐛ )( ᐕ)