帝都オリオン1
「坊やは、……さちよのなんなんだい?」
「ふぇ?」
予想外の質問だった。片手で持ち上げられ宙吊りにされている。もう片方の腕の紅色が鈍く輝く。返答次第では殴り殺される。慎重に答えを言わねばならない。だが、さちよさんと俺の関係ってなんなんだ。
「お、し、しりあい」
「ほう……」
ポキ。
指が鳴る音。
「じゃ、なく、て、彼氏♡」
「ほぅ……」
ビキッ。
あ、怒気が強まるのが、感じた。
「すんません。ただの……弟子です、」
嘘は言ってないよな。
「弟子、ねぇ。ふーん。坊やは、もしや黒の……杖職人か」
「は、まぁ、はい。」
なんか、この2つ名文化は気恥しいな。
「無数の杖を産み魔法を打ち消す少年……。にしては坊や、弱すぎだな。魔力も弱く、膂力も小さい。オマケに不細工ときた」
うっさいわ!!
「さちよの弟子を語るなら……何を習った。」
「魔力の感じ方を…………………………………………」
「………………………………それだけか」
「え、まぁ」
すごい顔してる。落胆とやっぱりかという感情がまじった顔。まずい。弟子ならもっと色々聞いておくべきだったか。だってさちよさん教えるのド下手くそなんだもん。
「何様だ?弟子をとるほど偉くなったのか?あいつは」
ぞわぞわとした感覚がこの女性から感じられた。その直後、ぞりぞりとザラザラしたもので撫でられるような感覚がし、身構える。
「ん、坊や。……いま、魔力を感じたかい?」
「え、まぁ。2回ほど」
「なんで、1回目で構えなかった。」
「怖い感じがしなかったので」
「怖い感じ?なるほど、こうか?」
体中の毛が逆立つのを感じ、咄嗟に杖を出した。右からの気配に対応したが。衝撃が来たのは左からだった。
「がっ」
何やら思案しているようだった。考えを巡らせる。
「…魔力と呪力と意思の方向、いや心か……杖の力……巫女の後継…杖をさがす仮面のふざけた男…さちよ、あいついまさら、何を考えて…………いや、何も考えてなさそうだな……」
「あの……もし良ければ、下ろして」
頭に血が上って意識が朦朧としてきた。
「坊や。……わたしの罪はなんだと思う」
彼女はフードを上げる。顔面は傷だらけだった。頭から生える角も、もとは綺麗だったであろう肌も斬り傷だらけ。片目も潰れていた。怖っ!!!これ、間違えたら死ぬ!!何かないか?!何か?ん?外套の下から、今まで隠れてた胸部があらわに。
「こ、ころ、ひっ」
彼女の腕が輝く。
「……」
「の、悩殺ですか?」
馬鹿!俺の馬鹿!あー死んだわ。絶対死んだ。ごめん。みんな。悩殺ならぬ、脳殺されてしまうわ。頭砕かれて終わりや。
彼女は目をパチクリさせて。
「は?悩殺?ガッハッハッ!!の、悩殺って!ははっ!この私が?ガッハッハッ!!」
めちゃくちゃ笑うやん。ひぃーひぃー言いながら笑う。なんだか、笑い方、さちよさんに似てるな。この人。
「…アハハ、はぁ、はぁ、…少し…気が変わった。お前を飯にするのはやめよう」
「へ?、ぐへ」
赤腕の魔法を解いたのか。地面に落ちる。そしてそのまま引きづられる。魔法なしでも、物凄い力だ。さっきなんていった?食べる気だったの?
硬い大地に後頭部を擦り付けられ、頭が禿げ上がりそうになる。
「痛たたたたたたた!なくなる!おれ、大根おろしみたいにすり下ろされる」
「……」
俺の声が聞こえてたのか無言で放り投げられる。
「ごへ!な、なにすんだ、、、よ。」
振り向くとさっきまでいた場所に巨大なつららが突き刺さっていた。
「おまえの探知能力は、この氷のような、意思なき魔力には反応出来ない。が、」
俺は黒い杖で急に飛んできた刃を打ち消す。
「敵意ある魔力には、ほぼ自動で反応してる。これは、『赤腕』を初めとする。赤の魔導体術の基礎だ。……魔力の少ない坊やに自分と同じ部分魔装を習得させるつもりだったたんだろうさ。」
「俺が……魔装を」
「たぶんな。さっさと潜るぞ。地上は危険だ」
辺りに次々と火の雨が降り注ぐ。
「ど、どこへ」
「巣だ」
外套をつけた彼女の指した場所には穴があった。
「俺は早く仲間に合流したいんだけど」
「どうやって?」
彼女は辺りを見るように促す。
「ここを生きて出られると思うか?」
天変地異を一気に濃縮させたような風景が広がる。
「雲の下に落ちたなら外に無事に帰れる可能性はないと思えよ。」
雲の上では、ホウキにまたがる集団の影があった。
「親方ぁ!」
「す、すみませんでさぁ!まさか第一王女様だとはつゆ知らず」
殴り飛ばされた親方の頭を踏みつけて王女は冷たく言う。
「それで」
「へ、へぇ!お探しのガキは千虹雲海の下へ落ちました。万に一つも生きてません」
「……お前たちと話したのだな」
「は、はい、一瞬でしたが」
「あまり、この辺りで騒ぎをおこしたくはないのだが」
とどめのつもりで使った魔法の魔力が立ち所に消えた。どうやって防いだ。
「そのガキの死体を見つけてきたら、帝都の永住権をやろう。当然家族も含めてな」
「な、それは!」
「なんだ、不満か」
「滅相もねぇ!おいお前ら!さっさと探すぞ」
ホウキで飛び去る職人達を見ながら、第一王女は足元に広がるカラフルな雲を見つめる。
「奴の杖にはこの呪いを消す力もあるのか?」
燃える瞳にしばし手を当て考える。
「欲しい。是が非でも。弱肉強食!やつは弱い。奪ってやる」
龍車は尋常ではない速さで様々な色の雲の合間を飛んでいく。
「千虹雲海があるなら、帝都が近いはずだ。この速度ならあと5分ほどで帝都についちまう。まったくこの龍どこにそんな力が。よほど怖かったからか?」
翡翠が自分の限界を超えてここまでの速度を出して逃げているのは、恐怖からでは無い。あの小さな人間からの頼みを聞いたからだ。あの女の射程距離から出ていない。彼女が少年に放った魔法がもしこちらに向いていたら生き残れる可能性はなかっただろう。
「見えてきた」
「あれが……帝都、オリオン」
巨大なシャボン玉が3つ連なるようにして荒野に浮かんでいた。虹色の雲の群れの間をゆっくりと移動している。2つの玉に挟まれるようにして長細いシルエット。
「ね、ねぇ、アレって、その」
顔を少し赤らめて、カリンが話す
「い、言うなよ!」
さちよも耳を赤くして素っ頓狂な声をだす。
「いや、だって、その」
「絶対に中に入って言うなよ!死罪だぞ。絶対。たまたま中央が長細い王宮になってるからなんだって」
「そう、たまたま、でござる」
ふふんっとショーグンがドヤ顔で言い放った。
「やかましいわ!!」
どんどん帝都が近づいてくる。
「どうやって中に入るんだ」
「あの二つのシャボン玉の下に入国者用の穴があるでござる。一般人は中央の帝宮には入れないでござる。」
「とりあえず飛び降りるぞ!」
龍は大きく旋回し、空の彼方に飛んでいく。
「風向き、北東より弱!しっかり掴まっとくっすよ!カリンさん!」
「うん……」
「よっしゃ。ガッハッハッ。321で飛び立つ。離脱後の龍の残り風に気をつけろ!3.2.1」
風を切る音が耳に残り、直後に身体が激しく揺さぶられるのをかんじた。
「ぐぎぎぎぎ!!踏ん張るっす!!!」
数十秒間揺さぶられた後、目を開けると。黒い大地に虹色の雲が浮かぶ世界が広がっていた。アナホリーダ大陸の中央に位置するこの荒野はかつては木々の生い茂る豊かな森があったらしい。
一行は荒野に降りたつ。黒い大地は乾いていて、歩くと砂が舞う。所々に草は生えているが、豊かな土地には見えなかった
「ちょっと待って。何この土地。魔力がないどころか。魔力が吸われてる?!」
「あんまりばたばたすんなよ。吸い尽くされてミイラになるぞ」
ピタッと動きを止めるが、地面から吸われる感覚は慣れない
「うへぇ気持ち悪い」
「帝都が浮いてる理由がそれだ。地面から絶えず魔力を吸わちまう。魔王城が近いしな。もう一つ理由もあるが。さっさといくぞ」
ホウキはその辺に捨ておき、ゆっくりと動く城に近づく。
「なぁ、ショーグン」
「なんでござるか?アン殿」
「あたし帝都にくるのは半年ぶりなんだけどさ。魔力の吸われる量増えてないか?」
「帝都は移動しているでござる。きっと勘違いでござるよ」
「そうか?」
「でっけーな」
巨大なシャボン玉の下には人が1人通れるほどの穴があった。
「シャボン玉なら、さっきのほうきで、突っ走れば」
「ほれ」
近くの石を投げる。シャボン玉に触れた瞬間物凄い勢いで跳ね返ってきた。
「あーなるほど」
「魔法の類も同様さ。全部弾かれちまう。だから、これを引っ張る」
目の前にプラプラと板が浮いている。
『御用の方は引っ張ってください。』
さちよが、引っ張ると
チンチーん
と鐘がなる音がした。
「ぶふっ。このシルエットで、その音は。」
ショーグンが吹き出した。
「アホっすか!ショーグンさん1国の主っすよね?外交問題になるっす!もう!すみませーん中に入れてくださいっす」
「ご要件は」
「魔法少女連盟から連絡があったと思います。勇者一行です。少し休ませてほしく」
「あー話に聞いていた。支援の方々ですか」
「??」
一行ら顔を見合わせる。
「勇者どのはもうお着きです。ささっ中へ」
本日も読んでくださりありがとうございます
(๑•̀ㅂ•́)و✧
謎の女性+ケツたろう(仮)
カリンたちのチーム
に分かれてしまいました(ノシ 'ω')ノシ バンバン
見せ場を作ったら、物語を描きにくくなった
やべぇ(⌒-⌒; )
いつの間にか前作の魔法少女ほのかの文字数を超えていました。
感慨深いわ。
3年かかった文字数に1年で追いついた。
わたし頑張った
ただ、作品の評価は向こうのほうがブクマやいいねが多いんよな。
魔法少女ほのかで活躍したキャラがいる世界と繋がりはある俺ケツの世界。
魔法国のある場所とアナホリーダは海をはさんで互いに交流はあるという裏設定あり。
ほのかの話よりも昔の時代になっています
いつかコラボしたい




