王女強襲3
満天の夜空。龍車が猛スピードで雲の中を駆けていく。
「落ち着けカリン!!」
「アイツが!アイツが!早く戻ってよ!!」
カリンを皆で押さえつける。
「今戻ったら、いい的っす。全滅する気っすか。今後のことを考えないと。竜だっていつまでも飛んでられない。一番近くの町で降りるっす」
すかさずアンが言う。
「無理だね。今龍は制御が効かない。このままのペースなら、すぐにでも帝都を通り過ぎちまう。下車の用意をしな。非常用のホウキがあったはずさ」
「じゃあアイツを見殺しにするの?ホウキ乗れないんだよ!」
間があり、アンが静かに言った。
「あたしたちを逃がしてくれた杖職人に報いないといけない。じゃないとあいつは無駄死にだ」
「まだ死んだと決まったわけじゃ!」
カリンが必死に言う。
よろよろと頭を抑えながら、さちよが起き上がる。
「状況を教えろ。頭がいてー」
「さちよ殿大丈夫でござるか?二日酔いでござるか」
「くっ!あなたがいて!どうして」
むかっ腹がたち、カリンが拳を振り上げる。
「待つっす。誰かのせいにするのは、やめるっす。たぶん師匠がいても、勝ち目はなかったっす。あの魔法、いや、呪いっすか?防ぎようがなかったっす」
旅の目的のひとつである王女との決裂は今後の先行きを不安にさせた。
「姐さん方」
「なんで、あいつら縄が」
「夜空の旦那は俺たちが探す。」
「何をばかな」
「あんたらより俺たちが旦那を探した方がいい。荒野は俺たちのほうが慣れてる。」
「いまはあの王女より先に王都に行って残りの王女と交渉することが先決だ。一理ある。だが、お前たちを信用しろと」
「信じられないのは当たり前だ。魔法なり呪詛なり好きにかければいい」
「拙者がついて行くでござるか?いつでも切り捨てれる」
「いいえ!私が行くわ!」
「いや。ショーグンはダメだ。王女との繋ぎが必要だ。カリンお前は別の役目をしてもらう」
「なによ!」
「勇者の影武者だ。」
「はぁ?」
「赤鷲、杖職人、将軍、氷豹。あたしたちは面がわれてる。王都を旅立ったのは、勇者を加えた5人ってことになってる。勇者はまだ広くは知られていない。帝都に入国することが第一だ。」
「だからって、」
「首輪を付けよう。…期間は3日だ。いけ」
「あぁ、それで構わない。」
「カリン。あいつも帝都を目指すはずだ。いまは堪えてくれ」
烏たちはほうきに乗り、元いた場所を目指す。
「兄ぃ!やりましたね!これで俺たちは自由の身だ。首輪なんざ簡単に」
「…」
「…兄貴?」
「お前らには悪いが俺は旦那を探す。」
烏たちがさった後、下車の準備に取り掛かる一行。
「いやぁ、参ったでござるな。こりゃいるでござるな。裏切り者が」
「は?なんで?!」
「考えてみるでござる。拙者らには身に覚えのない酒があったし、ルート上で鉢合わせるなんてありえないでござる。魔王の一派には変身の魔法使いもいる」
「ガッハッハッ。お互いを信じられないようじゃパーティは崩壊する。滅多なことを言うなよ」
ショーグンは肩をすくめた。
「くっぬらあああ!!!」
徹底的。ダメ押しに放った第一王女の一撃を黒い杖で防ぐ。魔法少女の力が消え、魔力を大量に吸い重くなった杖は落下速度を加速させた。
「やばいやばいやばい!?!」
水瓶座、射手座、乙女座はしばらく待たないと使えない。
あとは新たな天上の杖に頼るしかない!!
「ぬぅああああ」
思いっきり踏ん張る。
ぶっ!
あ、失礼
「ふんぬううううう!」
くそぅ!
ガスしか出ない!!!
いや
ほんとにガスしか出ないか
杖でろ杖出ろ杖出ろぅ!!
「くぅぬぅおおおお!!」
龍の道から落ちて、分厚い灰色の雲を抜けると眼前に色とりどりの雲が浮かぶ。
通称千虹雲海。荒野に魔力を帯びたカラフルな雲が多数浮かんでいる。
魔瓶の材料にもなり、わざわざ魔法地帯に行かなくても、各種属性の魔法が手に入るため、質は落ちるが、重宝されている。通常は雲切り職人がほうきに乗り雲を切り出している。
ただ魔力を帯びている雲の下は危険地帯であり、雨だけではなく、雷や火、氷、様々な属性が降り注いでいる。
眼前に人影が見える。ホウキに乗ってる!
助かりそうだ!
おぉーい!!!たすけてくれぃ
「ん?」
「お、親方!!空から人が!!」
「そいつぁいかん!!美少女か?」
「いえ、目つきの悪いガキです!」
「捨ておけぇーい!!」
「うぃーす」
「ちょ、まて、こらああああぁぁぁ……!!」
「親方、すげぇ切ない目でこっち見て高速で落ちてったんすが」
「バカヤロ。仕事ほっぽるわけにはいかねーだろーが。俺たちゃプロだぜ。しっかり雲切り出して稼がにゃお前らの家族に飯食わせられねーじゃねーか」
「親方…」
白髪を蓄え、ムキムキな身体の親方の背中にはいくつもの魔傷があった。この背中に恥じない職人になろうと新入りは固く誓った。
「親方!また空から人が!」
「バッキャロー!今仕事中だろうが!!」
「すっげぇー美人です!!」
「双眼鏡!…っ!!!」
たしかに物凄い美人がいる。しかもたわわに実ってやがる。
「どけお前ら!!俺が茶持ってく!」
「な、親方!!」
雲を抜けるとそこは地獄絵図だった。
雷や炎が降り注ぎ、氷の刃が頬をかすめる。
「……ひっ」
もう猶予はない。さらにふんばる。
「ふんがああああ」
あっという間に地面が近づく。
「ぬぉおおお!!!!」
がくんと言う衝撃が体を襲う。
「なぁ、坊や。死に行く前にひとついいか。あたしの罪はなんだと思う?」
地面スレスレで俺の落下が止まった。髪の毛が地面に触れている。
落下だけじゃない。全てが止まった。地面は反動でめくれ上がる。
土煙が収まり、目線をあげると、フードを被った女性が1人佇んでいた。フードから隠しきれない角が2本はみ出している。
おれの片足を掴んでいるのは、血管が盛り上がる太い腕。紅く輝いている。
「『赫腕』?え、さちよさ……ん?」
「……ふーん。坊や、面白いこと言うね。」
次回また来週末で(((ง'ω')و三 ง'ω')ڡ≡
空から男の子のシーン結構好きです。
いいね自分で推したい笑笑




