王女強襲2
どっちを救う?
ガブコかあんさんか
迷っている時間なんてない。
だけど、おれはどちらかを選ぶなんて!
自分の脇を駆け抜ける影があった。
「あんたはアンさんを!導きの杖!!光の妖精さん力を貸して!!」
カリンは龍車の外に飛び出した。だが、1人では無い。何人ものカリンが飛び出す。
「光魔法?撹乱のつもりか?若いな。」
あいつ、迷いってもんが無いのか?だが、彼女の姿を見て、自分もスイッチが入った。
「くっ!!」
あたりを見渡し、ホウキを掴み、おれも飛び出す。
「ふん。ホウキくらいは乗れるか。つまらぬ。判断は小娘の方が早い、か。ますます勇者とは言えんな」
「ばーか!……乗れるわけないだろが!アンさん!!」
ホウキを思いっきり投げる。
「すまん!!」
アンさんはホウキに跨り、宙に浮く。
俺のほうは重力に引っ張られる。
「アンさん!」
「あぁ!待ってろ!すぐ助けに!」
「違う!俺じゃない!船と皆を守ってくれ!」
カリンは気を失っていたガブコの身体を引っ張り投げ、龍車に放り込む。
だが、彼女が戻る術はない。入れ替わりでカリンの身体が落ちていくのが、見えた。
「んのばかがっ!」
ケツから2本の杖を引き抜く。
「乙女座!!水瓶座!」
体を女の子に変え、魔法少女となる。
魔力が全身を巡る。その状態のまま三本目!
「射手座!!」
弓を構える。妙な引き攣るような痛みが走る。どこか捻ったか。だが、ここで痛みに遅れをとる訳にはいかない。
水の魔力が集まり、矢を形成する。
「届け!!」
放った極太の水の矢がカリンの体を持ち上げ船に乗せる。
あとは俺が戻れば。視線をあげると奴と目があった。
「あの女は25点だな。判断は早いが、解決には至ってない。似非勇者。奴は10点だ。仲間を救えたつもりか?我は強者ぞ。」
龍車の上空に第一王女が現れ、手のひらを下に向ける。
「アンさん!!」
「わーってるよ!!牡羊座」
バイン!!
とっさにアンの放った綿雲が攻撃を押し返す。
「っと!!ほう「手」を防ぐか。なら、「足」ならどうだ」
彼女が空中でゆっくりと足をあげる。スラリと長い足からは禍々しいオーラが放たれていた。
悪寒が走る。さっきの攻撃よりもデカい攻撃がくる!
「翡翠飛べ!!」
翡翠はこちらをちらりと見る。
「翡翠!!お前を帰すって約束したんだ!生き延びろ!!」
龍の動きが加速する。だが、間に合いそうもない。
「ぬぐぅ!!水瓶座!!」
全身の魔力を残さず集める。
龍の上空で水の膜で盾を作り、アンの綿雲を覆う。落下してるため距離がどんどん離れコントロールが難しい。
「落とさせるかぁ!!」
「悪あがきだな。『足』」
水の盾が巨大な足型に凹む。まるで巨人がいるようだった。衝撃で周りの雲が散る。
「ぐぐぐぐぐ、がぁ!!」
耐えたのは数秒だった。魔法は霧散した。だが、龍は加速し、逃げきれた。追撃を防ぎたい。なんとか当たれ!!
「で、貴様はあっけなく死ぬのか。0点だな。貴様が勇者を名乗るのは烏滸がましい。」
すでにかなり落ちてしまった勇者を見て呟く。
「さて、あの龍は珍しい種類だったな。狩って王宮で食そう。黒蜥蜴。貴様が危険視するほどではなかったぞ」
彼女は杖を振るい下から飛んできた水の矢をかき消す。
「苦し紛れの一撃か。幸運なんかに頼るようでは二流以下だ。弱肉強食。この世の摂理だ。愚かな偽物に鉄槌を」
彼女の腕に魔法が上乗せされる。
「こいつは獲物との距離が遠くなればなるほど威力の増す魔法だ。」
さきほどまでのようにかざす構えとは違い。全身を使っての一撃を放つ。
「巨人呪・戦槍」
巨大な力の塊が加速度的に威力とスピードをあげて勇者を狙う。
胸元からはい出てきた蜥蜴に話しかける。
「これで、奴は地面で押しつぶされるか。我の呪法で木っ端微塵になるか。天上の杖のかつての所有者たちの足元にも及ばない。」
「ナゼツエをウバワナカッタ」
「奴らはどうせ帝都にくる。妹たちも興味があるようだからな。そっちで捉えればいい。……少し興味が湧いた。話せ。七星仮面騎士団とやらの話。」




