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俺ケツ!異世界に来た俺は魔法少女100人からケツを狙われている!!!!!!  作者: お花畑ラブ子
第4章オレは75人の魔法少女からケツを守られている
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空の旅1

「んー、まいったな」


 餌やりの役目を司ったのは良かったが、どうすればいいのか途方に暮れていた。

 肝心の龍は体を丸めて眠っている。そこらに生えていた雑草を鼻元に持っていったが、鼻息で吹き飛んでいった。大型のバスくらいの大きさがある龍には鞍が付けられており、荷台に魔法の紐が伸びていた。


「あー、龍って何食べるんだ」


「立派な龍でしょ」


 不意に声がした。龍の背中から一人の少女が滑り降りてきた。10歳くらいの少女だ?


「この龍はね、わたしの牧場の龍なの。名前はね、ヒスイって言うの」


「へー。翡翠って綺麗な名前だな。鱗の色にピッタリだ。よろしくな。翡翠」


 そう言ってオレは竜の鼻先を撫でた。ひんやりとした鱗の感触と暖かな鼻息を感じる。


「勇者さまがつけてくれたの。異世界の宝石なんだって。」

「勇者さま?先代のかな?なぁ、牧場ってことは、この龍が何を食べるか分かるか?さっきからいっこうにおきないんだが」

「大丈夫だよ。笛を吹けば起きるから」


 彼女は首からさげていたものは、白く艶やかな光沢があり、中身がくり抜かれて笛になっていた。


「この笛はね。この龍の牙から作ったの。起きてーってお願いしながら、吹くんだよ。」


「お願いしながら?」


「そう、龍は人の心が見えるの。この龍は優しいから一生懸命お願いしたら聞いてくれるの。あと、翡翠はこの草が好きだよ」


 指指した先にはヨモギに似た植物があった。あちらこちらに茂っている。ギザギザとした葉っぱは柔らかく、裏に白い毛がびっしり生えていた。


「この草の名前はリュウバミ。魔力のある場所ならどこでも生えてるの。うらが白いからうさぎ草ともよばれてるの」


「そうなんだ。物知りだな」


「えへへ、お兄さん」


「なにかな」


「大切にしてあげてね。大事な大事なわたしの家族なの。わたし戦争のせいで家族がいなくなるのはもう嫌なの」


 彼女は角笛を大事に両手で持って、そっと俺に渡す。


「…もちろんさ。必ず帰ってこれるようにする。そうだ指切りしよう」


「指切り?」


「絶対守るよっていう約束さ」


 小指をそっと組ませた。小さな手。


「指切りげんまん…」


 少年と少女が指切りする様子を龍はうっすらと目を開け眺めていた。






 朝日を受けながら、ホウキに乗って追いかけるように空を舞う2つの影。一人の魔法使いは長い赤い髪がまるで流星のように見える。もう1人の魔法使いは水色の短い髪に、騎士の軽兵装。前を走るホウキを追いかける。


「ガッハッハッ!追いつけるか?」


「さっすが師匠(せんせい)!『赫鷲』の名前は伊達じゃないっすね。腕は落ちてないみたいっす!」


「たりめーよ!指名手配が解除されて、所有権が戻って良かったぜ。『赫羽(あかばね)』あたし専用の高機動ホウキ!性能がピーキーすぎてあたし以外は扱えないからな。ほかの持ち物は大部分が勝手に売り飛ばされてたが、倉庫に眠ってたぜ。」


「あぁ、それはご愁傷さまっす。まさか、恩赦がでるなんて誰も想像してないっすから。好き勝手やられることが多いのが問題っすよね。」


「どっちにしろ魔王討伐には邪魔になる物も多かったからな。仕方ねーよ。ガッハッハッ!魔王討伐。まさかもう一度やることになるなんてな」


「今度はあっしもいるから余裕っすよ!」


「ガッハッハッ!頼りにしてるぜ。我が弟子!ん?杖新調したのか?」


 彼女の杖の柄には魔石で豹が形どられていた。


「『氷豹』のみんなから餞別もらったっす」


「この魔力の感じ」


「そうっす。みんなの魔氷を合わせて作ったらしいっす。組織としての繋がりは断ち切れても、あたしたちの関係は切るつもりはないって。」


「……そうだな。優しい魔力が流れてるから、安心しな。」


「大丈夫っす。っ ほら、師匠呼ばれてるみたいっす」


 師匠の背中を見て、一度振り返り王都を眺める。


「いってくるっす!」




「よし、食料や水の積み込み完了。医療魔具もあるし、反重力計も異常なし。さてと。えっと、羊よ羊よ羊さん、空気を跳ねよ。浮遊(フロート)。ふぅ、だいぶこの杖にも慣れてきたな。」


 アンが重りを外すと龍につないだ荷台がゆっくりと浮かび上がる。


「アンさん翡翠のご飯あげ終わりました。」


「ひすい?」


「この龍の名前みたいですよ。さっき牧場の女の子が教えてくれました!」


「牧場の女の子?まぁ、いいや。出発するよ!早く乗りな!」


 急いで乗り込む。浮いているためか。歩けたびに船体が揺れる。見渡すと荷台には、簡易的な小屋がぽつんとあるだけだった。いくら二、三日とはいえ、こんなボロ小屋で寝泊まりするのか?


「へ?」


「何してんだい!上昇中は舌を噛むよ!安定気流にのるまで部屋で待ってな」


「は、はい!」


 ボロい扉を開けて小屋に入る。


 はっと、息を飲む。不自然なほど広い。これも何かの魔法なのか?まったく揺れを感じない。


「何を突っ立ってんの?早く入りなさいよ」


 テーブルで、野菜を切っていたカリンはこちらをちらりと見て、また調理に戻る。


「これは、」


「あぁ、あんたははじめてだったわね。こういうの。魔法で空間を拡張してんのよ。壁に魔法陣あるでしょ。あれ、消したりしないでね。あんたの部屋は、突き当たりを右のとこよ。私たちの部屋は上の階にあるから、夜のあいだ入ってきたらあんたのイチモツぶっ切るから」


 怖いよ!包丁がきらりと輝く。


「ほら、野菜切るの手伝って!」


「あ、ああ」


 慣れた手つきなカリンとは対照的に、俺のむいた野菜たちは、ぼこぼこになっていた。普段乱暴な物言いだが、こういう所は感心する。アナホリーダに来てから、カリンの村で生活するまでは、ほとんどしたこと無かったしな。いや、この記憶も、おれのベースになった勇者とやらの記憶か。


「久しぶりだね。こういうの」


「ああ」


「あんたも上手になったわね。初めなんて火の起こし方すら知らなかったのに」


 鍋に具材を入れていく。カリンは杖を振って火を起こす。


「そこにおたまがあるから、まぜてて、わたしお肉切ってるから」


「まかせろ」


 グツグツと煮立つ鍋を混ぜながら火加減をみる。浮かび上がる泡を見ながら、首をふる。いや、おれはおれだ。カリンたちと生活したのはおれの、このおれの記憶だ。胸をはれ。


「凄いでござる!凄いでござる!」


 どたどたと走りながら長い髪を揺らした半裸の女の子が走ってくる。


「うぉ?」


「この珍妙な小屋にでっかい風呂があるでござる!」


「だ、だれ?」


「失礼でござるな、杖職人どの。拙者でござるよ」


 片手でくいっと髪を縛ると、凛々しい眉が困った表情にかわる。


「もしかして、わすれたでござるか?」


 上目遣いでこちらを見る姿に、思わずたじろぐ。普通に可愛い。濡れた髪が色っぽい。慎ましくもほんのり柔らかな膨らみが見え、見え。あ、いや、じっくり見るわけにはいかないんだが、あれ?カリンよりあるんじゃ、ね?







 バスン!!ビィィィン!!







 金属が細かく震える音がする。


「っ!」


 振り返ると笑顔のカリンがこちらを見ていた。

 手に握っていたはずの包丁の姿がない。


「っ!!!」


 振り返ると、恐怖のあまりショーグンが口をパクパクさせている。頬を掠めた包丁はショーグンの頭のすぐ上の壁に突き刺さっていた。


「あら、ごめんなさい?手が滑ったわ」


「手は滑らねーよ!!」


「そうね、ごめんなさい」


 意外に素直な反応に、戸惑う。彼女は深く刺さった包丁を足を壁にかけながら抜いた。どんだけ深く刺したんだよ。柄しか見えねーよ。


「わ、分かればいいんだよ。しっかり持って料理しなよ」


「うん、気をつける」

 彼女は包丁の背を優しく撫でる。


「次は外さないわ」


「やっぱこの子わかってない!!助けてさちよさん!」


「まず、ショーグンちゃんパンツを着なさい」


「武士は履かないでござる!」


 半裸の少女は腰に手をあて無い胸を反らして言った。長い黒髪が胸を隠してはいるが、目のやり場に困る。


「窓をあけたら、拙者のさらしもふんどし飛んでいったでござる。ないものはない!」


「「履け!」」


 俺とカリンの心は1つになった。


挿絵(By みてみん)






Twitterのほうでアンケートとってます!(´▽`)

もしよければ、お花畑ラブ子で検索を


今回は和み回として、お話を描きました。

ギャ、ギャグテイストに持っていきたいアハハヽ(´∇`)ノ

なんで、ファンタジーバトルものになってんだい

わたしよ!


次回からは、帝都に向かうキャッキャウフフの展開に

ならせてぇよ


(ノシ 'ω')ノシ バンバン


ラブい雰囲気になれるキャラがいねぇ


どうするどうなる次回!!また週末にお会いしましょう!

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