殴り込みレッドホーク3
「…君の異世界の魔法について教えてくれたら見逃してやってもいいんだ」
「ガッハッハッ!ばーか。欲張りにも程があるぜ。」
表面上は穏やかに。だが、魔力の衝突が至る所で起きており、時折凍った大地を割っていた。
「あたしの弟子に手をだしておいて、命の心配をしたらどうだ」
「命乞いをしろというのかい?このわたしに?」
「そういや。どういうことだ?てめぇはベッドで寝たきりだったはずだよな。ガッハッハッ!治った?」
「相変わらずデリカシーがないな?さちよ。君こそタイミングが良すぎないか?まるで初めからここにいたかのように」
「誰のせいでこんなこそこそ王都に出入りしなきゃならねーんだよ。手配を取り下げてもらわねーと。金はそろそろ返し終わるんだし。さすがにさっきは弟子たちがやばかったからな」
「君が研究室を吹き飛ばしたからだろ」
「ふゅ~~~。ふひゅ~~~」
「いや、吹けてないのだよ」
「ガッハッハッ」
「ふふふっ」
「『蒼の長槍』!!!」
「『赫腕』!!」
『蒼豹』は氷で出来た槍を錬成し、『赫鷲』は両腕に魔力を纏って槍の突きを受け止める。その切先は、凍らされた2人に向かっていた。
「おいおい、あぶねーな」
氷と熱のぶつかり合いで激しく白い蒸気をあげていた。切っ先が腕に当たっていたが、その腕は切られず、先程よりもさらに激しく熱を帯びていた。
「…牡牛座の杖か。君が持っていたのか」
「あたしはダ・ブルって呼んでるがな」
「君の魔法のほうを名付けるなんてナンセンスだな。牡牛座は炎や熱をあやつる杖だったな。両腕に炎の魔力を纏って、身体強化。腕を紅い2本の角に見立ててのレッドホーンとはよく言ったものだ。まぁ、最近は翼に見えるから赤鷲と呼ばれてるようだが」
赫く染まった両腕が陽炎を生み出し、ユラユラと揺らめいている。さちよは構え直し足に力を込める。
「お前相手に出し惜しみはできねーからな。十八番を使わせてもらうぜ。ガッハッハッ!」
「真似事は所詮真似事だぞ」
「なんだ?負け惜しみか?」
「違う。質が低いのだよ」
話をしながらも容赦のない剣戟が行われている。リーチ差がある分さちよの方は攻めあぐねていた。
「…何気に彼らから離そうとしているな」
「あ、バレた?」
「君の単純さにはほどほどあきれるよ」
「わかっても、問題ねーよ。押し通るからな!!『赫蛇』」
炎の鞭を使い、大地に氷漬けされた2人の足元を溶かす。そのまま魔法を続ける。
「踊り狂え!燃え盛れ!赤鷲様のお通りだ!!魔装『赫鷲皇帝』」
深紅の鎧。マントが翼のようにたなびく。かなりの高温で、あっという間に周囲の氷が蒸発していく。
「魔装か。……あの君が1級魔法の魔装をつかえるとはね」
「ガッハッハッ!2人はもらってくぜ『赫』」
炎の勢いが2倍になる。
「……」
自身の槍が熱に侵されるのを見て、彼女は槍を納める。
「さすがに分が悪い。次の試験もあるし、いくとするよ。2人は君に……ひとまず預けておこう」
「てめぇにゃやらねーし、わたしのもんでもねーよ。こいつらはこいつらの道を生きる」
「…天上の杖と関わる以上、世界の秘密に近づく。私たちの時のよーに」
さちよはその声を遮るように言う。
「ならねーよ。させねーよ。あたしがコイツらにかかる火の粉を振り払うからな」
「あぁ、君の炎で、焼き付けないようにな。……こげついてるぞ」
「うぉ!少年!!?!」
「『氷爪』の杖は持っていく。これに呪いをかけてるからな。これでガブコはわたしの命令に縛られない」
慌てるさちよを尻目に、会場にむかう。
「……君が生きててうんざりだよ」
「ガッハッハッ!お互い様だ」
2人の視線は交わらず、言葉だけが交わされる。
「いずれ、取りに来る」
「べー!二度と来るな!」
試験会場に向かう途中に連絡をとる。
「ふぅ。『氷脚』試験はどうなった」
「すみません。『蒼豹』さん。大変なことに」
「?何があった」
「それが、とにかく戻ってきてくだ」
ブツンと通信がきれる。
今回はここまで!
読んでくださりありがとうございます\( •ω•´ )/
また週末に




