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俺ケツ!異世界に来た俺は魔法少女100人からケツを狙われている!!!!!!  作者: お花畑ラブ子
第3章 異世界に来た俺は50人の魔法少女からケツを狙われている
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氷爪のガブコ

「生暖かいっす」

「うはん」

「ちょ、変な声出さないでほしいっす!」

『氷豹』は独立学術機関だ。アナホリーダ大陸の王国、帝国、連邦の三大国には所属せず魔法の追求を目的にしていた。魔法の素質のある子供たちを集め、育て、教育し、大陸中に派遣する。派遣先で魔法に対する見地を広め、新たなメンバーを見つけていく。徐々に勢力を拡大していた。

「君たちには、わたしの手足になって、世界を見てきて欲しい。魔法は凄い。素敵だってことを伝えて欲しい。まだ見ぬ仲間たちを見つけて欲しい。」

 病室の『蒼豹』は生徒にそうよく言い聞かせた。『氷豹』を設立した『蒼豹』は氷の魔法少女として、3年前の戦いで名を大陸中に響かせた。だが、その時に負ったけがが原因で終戦後は病室で過ごす。


 わたしが『蒼豹』と出会ったのは、彼女がまだ勇者の一行として旅していたある雪の日のことだった。

「あっしを連れていってください!!!」

 ある寂れた町。終わってしまった町。魔王によって滅ぼされてしまった町。金のあるものは他所に逃げ、金の無いものはそのまま死んでいくしかない町。わたしの今はなき故郷。わたしの声は崩れた路地をぬけていく。

「私たちは、生きてもどれるか分からない旅をしているんだよ。君は連れていけない」

 メガネをかけた長髪の女性が静かに言った。

「つ、連れていってください!!」

「ガハハ!いいじゃねーか!久々に見たぜ!生きた目をしてる奴は!」

 赤髪の少女が豪快に笑いながら言う。

「俺が勇者だって知っていってんのか??おれの輝くオーラが、人を引きつけるのか!」

 金髪の少年がおどけながら剣を抜きポーズを決めた。

「ばーか!何やってんだよ。悪いな嬢ちゃん。あたしたちゃ、危険な旅をしててよ。連れていってやることができないんだ」

 黒いおおきな犬に乗った女性が厳しくも優しく声をかけた。

「連れて、いって、、、」

「はぁ、はぁ、待つのじゃ!はぁ、はぁ、」

 後ろから金髪の少女が走ってくる。

「わしは、体力は、はぁ、はぁ、人並み以下だとはぁ、はぁ、」

「おい、おせーぞ、カミサマ!」

 金髪の少年が笑いながら言う。

「あなたたちと一緒に連れていって!」

 だが、誰も彼女を連れて行こうとはしなかった。

「はぁ、勇者。ちょっと話がある。赤鷲、君もくるんだ」

 眼鏡の女性と赤髪の少女、金髪の少女の3人は少し離れて話をしていた。

「はあああああああ?!!」

 しばらくして、赤髪の少女の驚いた声と

「…わかった。」

 と、先程までと打って変わって真剣な表情になった少年。

 眼鏡の女性と不満げな赤髪の少女。彼女は戻ってきていった。

「勇者の旅には連れてはいけないが、私と一緒に来なさい」

「えっ…」

「はぁ?!!!」

「この子の魔力はわたしと同じ氷の魔力だ。あの時のわたしみたいにならないとも限らない。残りの時間を後進に託したい。大丈夫だ。万が一のことがあっても赤鷲がいる。」

「魔王討伐はどうするんだよ!」

「勇者たるオレが抜けるわけじゃねーんだ。大丈夫さ!それにその子を後方の街に届けるまでって話さ。」

 驚く勇者の一行と私。

 その後、勇者の旅を逆行するように進みながら、魔法の手ほどきを受けた。

「氷の魔道士は、常に気をつけないといけないよ。心が魔法を生み出すけど、魔法に心が食われてしまうこともあるからね」

 街まちで魔法の才能のある子供たちを集めながら、彼女たちは大陸の沿岸部を目指した。

「赤鷲君もこの子たちに魔法を教えてやってくれ。わたしは身体が動かなくなってきた」

「なんであたしが」

「異世界人で魔法少女の君は貴重な人材だ。是非教えてあげてくれ」

 赤鷲のさちよさんにもおしえてもらった。

「なぁ、ガブコ。お前最近の蒼豹をどう思う?」

「どうってなんすか?家族も増えて、忙しそうっすけど」

 さちよさんの気づいた違和感にわたしは目を背けていた。

「ふふふ、ガブコ、今日は連邦の秘境の魔法を持った子が我々の学園にきてくれたよ。」

「ほら、ガブコ、君の後輩だよ。魔力値がふりきれていてね」

「氷爪、これから君の名前だ。私の手足となってくれ」

「氷爪、赤鷲の魔法を調べてくるんだ」

「あの子供は魔力が低い。レベルが低いんだ。氷爪。我々はは事前事業じゃないんだ」

「おい、あの領地にいけ、あそこの領主はあやしい。魔法指導の合間に情報を抜きとれ」

「はぁ?くだらない。お前は手足だ。手足がわたしに意見するなど、持ってのほかだ。氷鬼こいつを試験につれていけ。どう使うかはお前にまかせる」

 彼女は変わってしまった。

 わたしはあったかい世界を知ってしまった。

 わたしは凍てつく場所で、心を凍らせてしんでいくのは嫌だ。

 わたしは断ち切りたい。

 未練も、あの人が縛られている思いも、

 あたしの鎖をすべて

「断ち切りたい!!」

 ガブコは思いっきり腕を引き抜いた。

 右手に握られたものは

「…糸切りばさみ」

 頭に流れる情報を俺はガブ子に伝えた。

「ガブコ、それはかにキャンサーの杖。縁切りバサミ(キャンセル・キャンサー)。おまえの思いが、連れてきたお前の新しい杖だ」

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