ケツの新たな杖は職人を魔法少女に変える
周囲から飛んでくる魔弾。
「アンさん!」
「わってるよ!ふわもこの杖!!」
もこもこの羊毛で出来た杖を取り出して振るうと、俺たち3人の周囲に巨大なふわふわのかたまりが浮かぶ。
「ぎゃあああ」
魔弾がそれにふれると、それらは撃った本人の方向にとんでいく。牡羊座の杖『アリエス』。アンの祖父や工房、杖たちを守りたい思いから俺のけつから呼び出された杖である。まだ魔法の名前ははっきりしないが、このふわふわにふれるとよく弾む。跳ね返す方向や威力はおもいのままに設定できるようだ。いま、工房はこいつに巻かれている。だから、たとえ、魔弾を放たれたとしても安心なのだ。
「役立たずどもがぁ!」
しばらくすると、魔導師たちのほとんどが自らの魔法にやられ、伸びていた。
「ふわもこ!ふわふわ!ふわりんこ!ッでやつはやらないのか?」
「こんな公衆の面前でやらんわ!!」
くそぅ。あの杖を引き抜いたあとのテンションすげー高かったのにな。
「おい、おまえら、あたしは遠距離の魔法は相性がかなりわるい。あの大男は任せるぞ、囮役くらいならあたしがやるからよ」
「わかった」
鎌の魔法少女はふわふわからそっと顔を出し、様子を窺おうとする。
「っ!!」
「まちな!!」
彼女の鼻先を射手座の杖の矢がかすめる。アンが引っ張らなかったら、頭が吹っ飛んでたところだ。
これじゃあ出るにでられねぇ。
「ぶねーな。ちょっと作戦を考えねーと」
「…おれに考えがある。」
「ちっ!外したか」
さきほど鎌の女に切りつけられた場所が痛む。部下に治癒魔法をかけさせているが、呪いがかけられてるのか治りが遅い。痛みと焦りで狙いがズレる。
「早くでてこねーと大事な工房がぶっ壊れるぜ」
奴らをおびき寄せるために、空中に向けて魔法を放つ。
揺さぶりをかけるつもりだろうがあっちはふわもこの杖の魔法と召喚士が守ってくれる。
「…作戦開始だ」
相手のイライラが募っているのを見て、作戦を開始する。
上空に向けて、もふもふの塊をいくつか勢いよく飛ばす。
動きに釣られて、魔法を放つ音が聞こえる。
「くっ、ダミーか。くそっ」
空中のもふもふから跳ね返された魔弾を後ろに飛んで避ける。
それと同時に俺たちは、3方向へそれぞれ飛び出した。
一度に2人は同時には狙えない。
「なら!」
杖職人は出来れば無傷で手に入れたい。自然と杖は鎌の女に向く。
「おらおらおらおらぁ!」
飛んできた魔弾は鎌で切り裂く。彼女の鎌は杖と一体化している。対弾用の魔法を展開し、反射神経をおしあげる。
「24区の魔法少女をなめんなよ!おらおらぁ!」
集中力が続く限りは、しのげる。だから狙いがあちらに向いてるうちに!!アンさんに合図を送る。
「護る杖よ…。我の敵への道を造りたまえ!!もっふもふの逃げ道」
巨大なワタの塊があたりに乱立する。
「な、なんだ?」
「さて、なんでしょう、ね!!!」
俺はアンさんに指さされた綿に向かって走る。
「あとは、信じてるぜ、ぬぉ!」
ワタに突っ込んでいくと、その反射で体が吹っ飛ぶのを感じる。そして、次のワタまで吹っ飛んでいく。まるでピンボールのように。ふわふわの綿に弾かれまくり、弾かれる瞬間に黒い杖で魔法を吸い取る。吸い取るたびに重く、早くなっていく杖は、巨重の弾丸となる。最後のワタに突っ込んだときには、目にも止まらぬ速さに到達していた。
「は、早すぎる、だが、最後は一直線、狙い撃ちだぁ!!」
魔力によるざわつきを感じ、身をかがめ、弾丸を避ける。
「アンさん!!!」
「おうよ!!」
目の前にもふもふが出現し、思いっきり踏みつける。さらに加速する!
「俺の杖を、てめぇの欲望のために使うんじゃねぇよ!!」
男が杖を構えるよりも早く、超加速した杖(と俺)ん奴の土手っ腹に深々と突き刺す。
「黒重弾!!!!!!」
「がっぐああああああああああ!!!!!」




