おれのケツともう1人の杖職人5
「なんや」
転移駅から、仰々しい魔導師の集団が出てきたと思ったら、1人の老人を連れてきた。
「離せってんだ!アホンダラぁ!」
「ふん、大人しくしてろ、ジジイ。お前も杖職人なら、黒い杖職人のこと知ってんだろ。アイツが現れたって領地に行ってみたが、小娘どもしかいなかったからな。だが、お前からいただいた、この杖、いい働きをしてくれたぜ」
懐から杖を取り出した。射手座の杖。
「さっさと返しやがれ、杖が泣いてやがるぜ」
「杖が泣くかよぉ、馬鹿が。杖は杖だぜ。例えばよぉ」
杖の切っ先を空へと向ける。その方向は、22区がある。老人の顔色が変わる。
「おい、ちょっと待て、何をする気だ」
「さっき部下から知らせがあってな。お前の孫娘にこっぴどくやられたみたいでな、少し灸をすえないと、な!!!!」
魔力を杖に込める。この杖はそこらの杖とは違う。魔力効率が異常に高い。小さな魔力で1級に近い魔弾を放てる。戦争中なら、あっという間に戦果をあげれていたのだが。魔弾を、数発撃ち込む。
「貴様らぁ、孫に何かあったら許さんぞ」
「だったら、杖をだせや」
「何度言ったらわかる。あの射手座の杖だけじゃ。」
「あっそ」
魔弾をさらに撃ち込む。
この生意気なジジイの顔がゆがむのを見ると痛快だ。
「区長、あれって」
「あぁ、工房グランパのじーさんや」
「じゃあ、アイツだれもいない工房にいっちまったのか」
「何呑気に話してるんですか!早く助けないと」
転移駅名物のまっちょり転移プリンをパクツイてご機嫌だったカリンが言った。区長たち2人は怒り狂うかりんをなだめる為、プリンを購入して、与えたのだった。
「アホ!こっちの戦力考えてみー。田舎の小娘に、「はぁ?」魔法少女とはいえ接近戦専門のイカついねーちゃん。「んだと?!」私にいたっては、魔力はほぼない異世界人とのクォーター。勝ち目なんかないんや」
「だからって、見捨てるんですか!!」
今にも飛び出しそうなかりんを上から押さえつける。
「落ち着け、かりん。おっ、このプリンうまいな。クリームがまっちょりしてる」
「あ!!わたしのプリン~…」
「見捨てるつもりはない。あのジーさんはあたしたちのジーさんの大事な友人なんや。かりん、覚えとき。戦いっちゅうはただ勝ちゃいいんやない。相手の目的、組織、事情いろんなもんが分からなあかん。得るもんなきゃ、戦いは負けと一緒や。あいつ、あたしの部隊丸ごと乗っ取りやがって」
「あ~~~どおりで、何となく知った顔がちらほらと」
「でも、なんで」
「あたしたちが知りたいわ」
窓の外を窺う。
「ん?なんか聞こえない?」
「ちょいまちぃ!なんなあれ!雲が落ちてくる?!」
「綿菓子か?」
「ぬおおおおおおおァァァ!!!!」
「バカスカバカスカ!!他人の家に魔法を打ち込んでんじゃねーよ!!!」
激しい衝撃とともに2人の人影が白いフワフワとした塊から出てきた。
「てめぇか!犯人は!!」
「おぇぇ、酔ったぁ」




