俺のケツから熱いものがこみあげる
おれは熱いものが込み上げるのを感じた。
それは喉から?鼻から?
いいえ
ケツからです。
「はっ!!」
目覚めた俺はどうやらどこかの部屋にいるようだった。昼下がりの暖かな日差しが窓から入ってきている。爽やかな風が頬を撫でる。ら転移駅のベンチに寝かされていたようだった
おもむろに尻に手を当てる。
「濡れてはない…」
さらにおもむろに鼻にその手をもっていく。
「かすかに臭い」
くそぅ!これはどっちなんだ!!
実が出ちまったのか?(アウト)
ガスだけだったのか?(ややアウト)
しかし、あの美女に見られたのなら、
確実に、アウト!
いや、これは、考え方によってはセーフいや、
タイムリーなのでは?
絶世の美女に漏らした姿を見られる。
これは、ホームランなのでは?
「アウトや!アウト!スリーアウトでチェンジや!ドアホ!」
「あ、ハナさん!先程はどうも」
「さりげなく、匂い嗅いだ方の手で、握手を求めんなや」
嫌そうにハナさんは言った。
ご褒美です。
「ハナさん、おれは、」
1番聞きたいこと。あのあとどうなったか。
「そう、やったな、」
切なげな表情を浮かべるハナさん。
まさか、アウト(実が出た)か?!
「あの子は、別に殺した訳やないで」
「なーんだ、そっちか!」
「なんだって何よ!!!!」
フライパンの強襲におれは意識を刈り取られかけた。
「じょ、冗談、冗談!」
「ずいぶん必死だった割には、あっさりしとんな」
「あ、いや、」
「え?」
頬を赤らめるカリン。
「ありん、ありんって必死やったで?」
ハナさんはカリンから見えない位置でウィンクしていた。余計なことを。いや、このタイミングではナイスパスか?!!流石できる美女は違う!!!
「ありんってどこの女よ!!!!!」
「ぎゃあああ!首が!首がしま、しまるぅ!!?!」
パスはパスでも、キラーパスだった。
「ごほ!」
「早く姉様を助けないとっ!!」
「ああ、そのことだったら、俺に考えがある」
ポケットに手を入れ、1本の魔瓶を取り出す。中には黒い蜥蜴が入っていた。以前、黒蜥蜴となのった少女は、情報屋として、広く知られており、1瓶町の雑貨屋で購入していたのだ。
「黒猫?ってのが、たまずささんと一緒にやられたなら、こいつが何か知ってるかもしれない」
「おい、なんだ、それは?ん?」
鎌斬りが言いかけた言葉をハナは手で塞いで止めた。
「しーっ」
キュポンっとコルクを抜く。
中に入っていた黒いトカゲが瓶から抜け出して、こちらを向いて口を開けた。
「すまねぇ、今は取り込み中で仕事の依頼は受けられない」
「黒蜥蜴!黒猫とたまずささんは無事なのか!」
「どうなの?!」
俺もカリンもかじりつく勢いで蜥蜴に迫る。
「あ?その声は杖職人か!ちょうど良かった。カラスウリの仲間の連絡先が分からなくて、どうしようかと」
「じゃあ、カラスウリさんは無事なのか?!」
「ああ!くろね、、黒犬さん?」
一瞬の沈黙の後、蜥蜴の口調が変わる。
「おい、杖職人。そこには、だれがいる?」
「え?ああ、たまずささんの、カラスウリさんの妹のカリンと、あと王都で知り合ったハナさんっていう」
そこまで言いかけると
「ハナ?とりあえず貴様の家族は無事だ。あと、さちよからの言伝だ。『修行付き合えずすまん。王都の杖職人はグランパの店に行け。用が済み次第合流する。ガッハッハッ!』要約するとこんな感じだ」
「要約?」
「あぁ、八割自慢話だったからな。」
「…あはは」
「言伝代はお前から徴収していいそうだから、あとでさちよの借金と一緒に取り立てる」
「は?!」
「じゃあな」
と、だけ告げると、蜥蜴の魔法は霧散してしまった。
「…ちょいまて、杖職人ってどういうことやねん」
彼女の手には、黒い杖が握られていた。
「にーちゃんのケツから生えとったんやけど、な?呪いとかやないんやな。これ、どういうことや?」