俺のケツは発光する!!
「カリン、見てたのか」
俺はこの世界にきたことを思い出す。
異世界転移や異世界転生による特典というものがある。
本来は輪廻転生する魂をその理から外し、別の世界で生まれ変わらせる。
その代償として、色々な能力が付与される。才能であったり、武器であったり。
日本に住んでいた頃の俺は、そんなラノベやアニメを見まくっていた。だから、当然、
「ひゃっほー!!!これが異世界か!!!これで、面倒なテストや未来のない日本社会から解放されるぜええええふぅうううう!!!!」
暗闇の中、雄叫びが響き渡る。そして、1人のドン引きしてる女の子を見つける。
「あんたが神様か!!?」
「お、おぅ。やけにテンションの高い少年じゃな。普通、死後は未練やらなんやらを抱えて苦悶しているもんじゃろ」
学生服の自分の目の前に一人の少女がいた。
髪は金髪。白いワンピース。
部屋のようだが、天井と足元には星空が広がっている。
天井の星々は自分もしっているような星座がいくつもあった。
足元の星空はまったく馴染みがない。月のようなものがふたつもあるし、なんだか、この部屋がふたつの世界を結んでいるようだった。
「はぁ未練?ないない!!」
手をブンブン振って否定する。
ああそうさ!
おれは日本の生活に未練なんてない。本当さ。
「チートな才能を持って異世界無双だ!こっから俺の隠された才能が開花しての異世界無双ライフが始まるんだろ。それとも神様、あんたが素敵な能力をくれるのかい?」
気ままにポーズを決めながら、俺は尋ねた。彼女は指を眼鏡の形にして、俺を上から下から見て気の毒そうに言った。
「いや、お前にはな〜んも才能がないよ」
「は?じゃ、じゃあ、あんたからスッゲェ魔道具をもらって、ハーレムパーティを築くんだな!!」
一瞬きょとんとして、金髪ロリ姿の神様は笑いながら言った。
「ないないない!なんで見ず知らずの小僧に私の大切な魔道具をあげにゃならんのだ」
「ちょちょちょ待って待ってて俺はどうなるんだよ」
能力も武器もないまま、異世界にいけって無理ゲーすぎんだろ。
「異世界に行く?何を言っておるのじゃ?意識は薄れてちりにになる。後は魂が擦り切れてなくなるまで、ずっとここじゃ」
その言葉にゾッとする。
「俺は、トラックに轢かれそうな女の子を助けてここにいるんだろ?なんか勇敢な魂を見たから異世界に転生させてやるとかなんとかないのか?」
俺はなんか勘違いをしてしまったのか?
少女姿の神様。つまり俺が救おうとした子供の顔の神様が罰の悪そうな顔で笑っていた。
「いや、スリルを味わおうと。ぶっちゃけトラックのほうが粉々になったわ。まぁ、お主面白いことを言うな。ここまで記憶がハッキリ残ってるのは珍しい」
「な!ば!」
「まぁその余波を食らってお前は死んでしまったからな。一応いっておくのじゃ!すまん!!」
え、じゃあ、おれ。無駄に死んでしまったの?!どういうこと?
「いやいやいやいやなんとかしてくれって」
「仕方ないのう。どこか異世界に行きたいんじゃな」
「そうっそう!!能力がないんならあんまりハードなのはやめてくれよ。すぐに死んじまったら意味ないからな。あ
と可愛い女の子がいっぱいいるのがいいな。俺のことをみんな好きになるような。あぁでも年上のエルフお姉さまに踏まれるのも捨て難いな!!どMなのか?俺はガッハッハっは」
「注文の多いやつじゃな。ええっと、ハードモード、女がいっぱい、どMっと」
神様はそうぶつぶつと呟きながら、白い杖を振るう。
「そうじゃ!せっかくじゃから能力をくれてやろう。何せハードモード。生身だとやっていけんからの」
「そうだ!!いい能力を頼むぜ。聖剣を使いこなす能力か?いやはや、魔法を無力化させる能力とか。ワクワクするぜ!ん?ハードモード?」
「いい能力?そんな都合の良いものを持ってるわけないじゃろうが。そんなもんとっくの昔に売り切れてるわい」
「えエェーと残っているのはっと。お、あったあった!えらべ!少年「口から魔法の剣を出す能力」と「ケツから魔法の杖を出せる能力」どっちがいい?」
「どっちも嫌だよ」
「そうか!ケツか!!わかった!!勇敢なるものよ!!異界の地にて魔法少女たちの戦いを鎮めてくるのだ」
「ちょいちょいちょいちょい!!!いやだ!!そんな能力!!!!」
「ええええいうるさい!!さっさといけええ」
幼女にドロップキックをかまされてやってきたのはこの異世界アナホリーダ。
かくして数多の魔法少女が雌雄を決する魔法大陸に飛ばされたのだ。
それからこちらの世界で半年。この村娘の村で世話になった。正体不明の俺。言葉も通じず、怪しい格好をした俺をこの娘の姉は世話をしてくれた。妹同様、村の呪い師であった彼女は診療所のような施設を開いていて、俺の面倒を見てくれた。怪我を治し、言葉を教え、生活を支えてくれた恩人だ。
だが、妹であるこの子はそんな俺のことが気に食わない。大好きな姉がどこぞの馬の骨を甲斐甲斐しく世話をしている。なので、この娘面白くない。嫌がらせは当たり前。最終的にはやったこともないはずなのに、転送魔法をかけ、案の定魔法が暴発し、俺ともどもどこぞかに吹っ飛ばされていたのだ。
「くそあの街に入ったら元の村に帰る手がかりが手に入るかもしれないのに」
「いい顔して話を逸らさないで。いい?どうやってあんたが、路銀を稼いでるのかずっと不思議だったの。いつ作ったのかわからない魔法の杖を行商人に売って。それも結構いい値段で!どうやっているのか気になってたのよ!」
「そしたら、あんたが、足を広げて。ずるずると、あぁぁああ思い出すのも悍ましい。」
汚物を見るような目で見る。
「っ絶対笑うなよ」
見られていたなら、仕方がない。俺は覚悟を決めた。
ズボンのベルトを外し、ゆっくりとズボンを下ろした。
「ええええええええ」
村娘が目を見開いた。
「あはははははは!!!お。お尻が光っている!!!!あはははは」
よく謎の光というものがあるだろう。アニメなんかで、規制されるあのうっとおしい光。まさにあれが、俺のケツで光っている。