俺は魔法少女100人からケツを狙われている!4
投稿遅くなりすみません
いくつかエンディングを考えてて、選びきれませんでした。
「英雄……ねぇ。俺様はまだ際立った悪事は働いてないぞ」
試すように聞いてくる。
「なら、お前はこの後何をするつもりだ」
「そうだなぁまずは、服を着替えよ。せっかくこんなきれいな体になったんだ。おしゃれと言うものにも興味がある。殺伐とした時代では無いようだから。うまい食物も食いたい。呪いの記憶を覗いてみたら、それなりにうまそうなものもあった。その後は世界を旅しよう。俺様の封印されていた間に大きく世界が変わったみたいだ。……こんな所か」
魔王はこちらを見つめる。
「馬鹿正直に答えるアホがどこにいる。魔王といったら世界征服だ。それがセオリーってもんだろ。俺様はこれまでの歴代の魔王と同じようにこの世界を支配する。それに今までの魔王と違ってそれが実現できるだけの実力もある。魔王にとっての天敵である勇者も今はいない。俺様の魂を封印する巫女もいない。俺様を止める力を持つ魔道士、いや、今は魔法少女と言うのか?あそこの2人はよくやった。だが、俺様の命には届かない。今までで最も少ない流血で支配してやる。だからよこせ。この世界は俺様が統べる」
「世界は誰のものでもない。ましてや支配するもんでもない。」
「ははは!!人間がよく言うぜ。帝国や王国連邦姿は変われどやっている事は変わらない。力を持つ者が支配する。ただそれだけだ。主が俺様になるだけだ。」
2人の間に魔力が渦巻く。片や地獄に染みわたるような重たい魔力、片や立ち上るような勢いのある魔力。空気がシンと静まり返る。先に抜いたのは魔王の方だった。
「…火星(MARS)、土星(Saturn)。豪炎呪殺回転銃!!さっさと蜂の巣になりなぁ!俺様はまだアイツらと遊びてぇ!!」
魔王は魔力で生成したガトリングを構え撃ちまくる。
さぁどう出るのか。やつは、黒い杖の力を使って攻撃を打ち消すだろう。だが奴の防御は、多方面に展開できない。俺様は、惑星を子機のように使い、攻撃を散らばらせることができる。回転銃で、攻撃をしつつ、集中が途切れた場所に別の魔法を打ち込むだけだ。槍がいいか。貫いてやろう。惑星を手元に呼ぶ。
土星(Saturn)金星(Venus)金剛呪槍
魔弾を撃ちまくる影で無詠唱槍を錬成する。悟られぬように、しまう。
「群れよ群れよ!溢れでよ!黒魚渦水!!」
黒い杖を回転させる。杖が1回転することに、黒い魚が生まれている。1匹また1匹と、次々に増える。杖の回転が徐々に早まり、おびただしい数の魚が、ギンガの周りを泳ぎ始める。魔王の攻撃を壱発魚が受けると、その魚と魔王の魔法は消えていく。おびただしい炎の弾丸とおびただしい黒い魚の群れは、彼らの間を埋めていく。次第に魚の数は魔王の攻撃をしのいでいく。
「ちっ。木星(jupiter)!呪樹林!!」
惑星の一つが地面に埋まると魔王の足元から木が生え出て、魚を止める。まだ大量の魚がいる。魚の影で隠れているつもりか?
「オラァ!」
槍が魚の群れに突き刺さる。
「…手ごたえがねぇーな」
案の定そこに少年の姿はない。白い山高帽子があるだけだ。
「……駆けよ!駆けよ!駆け抜けよ!黒獅子爪!!どらあああ!!」
脇腹に突き立てられる大型獣の爪。それにこのパワーは。貫きはされなかったが、吹き飛ばされる。身体強化魔法か。速い。
「水星(Mercury)!木星!森林呪鞭」
少年と魔王の間に先程までとは比べられない大量の木の根が溢れ出る。
魔力を込めて殴りつけようとするが、視界の端に漂うものが。
「……糸?」
「七星剣・蟻雄伍針!!蜘蛛斬糸!!」
少年が鉤爪を思いっきり引くと体中に糸による裂傷が刻まれる。
「魔剣の類か?」
「勇者の遺した聖剣だ!覚悟しろ!自身の身体を強化し・高速化することができる。二ツ星 双剣『神速双魚』!」
「はっ!双剣か?刀2本持てば強くなれるとでも?身体を固めちまえば大したことねぇよな!金星(Venus)!金剛呪鎧!」
高速で切りつける。
「らああああ!!」
「ぬぅうう!!」
黒獅子爪に上乗せられた身体強化の魔法は軽いはずの双剣の連撃を無視できない重さに変える。
「ってぇな!!離れろ!!金星(Venus)!土星(Saturn)!金剛呪熱戦!消し炭になれやあ!!」
突如現れた砲身がこめかみを狙う。
「っ!」
イメージしろ!跳ね返す力をこの剣とこの杖なら出来るはずだ!!!双剣の能力を限界まで高めたあと解除し、宙に浮かしていた杖を掴み、ふたつを合わせる。双剣の恩恵で加速された思考で、魔法を生み出す。
「三ツ星盾 『地獄犬牢』!!黒鏡羊毛!!地獄狼獄!!!くぅ」
受けた衝撃で身体が飛ばされるが、頭は貫かれていない。受けた光線が、盾に吸収される。そして、盾を魔王に向ける。
「羊狼反撃!!!」
盾から放出されたのは先程の魔王自身の魔法。魔力耐性ととっさの防御魔法で防ぐが、生易しい火力ではなく、伸ばした腕が黒い炎に焼かれる。
「ぐぅ……!ははっ!やるじゃないか!小僧。その聖剣には白い杖も混ざっているな。とっさに魔法を生み出すなんてことができるのは、白い杖の力だ。ははっ!思い出すなぁ!俺様と勇者と巫女の戦いを!!」
「っ!光栄だな!」
「いや、実に愉快だ。魔法も!体術も!剣技も!大したもんだ。俺様の期待したレベルによく追いついた。その程度の少ない魔力で」
「!」
「初めは魔装かと思ったが、部分魔装で12星座の奴らの魔装を使っているな。瞬間的に発動させて節約してんな。お前の帽子とマントにゃ、100人ちょっとの魔力が込められて、底上げしてるみたいだが、さっき帽子を囮にしてたようだからな。残りはマント1枚70人分くらいか?ははっ。さっさと削りきって、丸裸にしてやるよ!」
呪いの炎に燃える右手を切り落とす。
「なにをっ!」
「まぁ、見てなって!俺様!俺様!俺様だ!天上天下唯我独尊!俺様だけが立つ世界!!呪装!!『魔王帝装』!!」
彼女の背中に巨大な翼が、頭に角が、手足に爪が生え、湧き上がるマグマのように呪いが溢れ出す。
「んでもって!!……空に浮かびし、8つの星よ!俺様の軍門に下りやがれ!」
身に纏う惑星の回転が速まる。残った片手に魔力が集まっていく。
ずるずると魔王の魔力が星を包み妖しく輝かせる。
星の表面には複雑な魔術印が浮かび上がる。
「行進せよ!蹂躙せよ!愚か者には死の鉄槌を!!」
「呪魔装・星剣『惑星十字』!!!」
「なんだよ……そりゃ」
惑星が十字に並び、大剣を形作る。ゆっくりと回転している惑星には、びっしりと呪詛が書き込まれている。
「ばぁ!!」
全身の毛が逆立つ。本能が逃げろと警告している。
「俺様が世界をいただく。精々、足掻けよ!!小僧!!俺様の俺様による俺様のための魔装だ。ようやく身体が馴染んだ。こっからが、本番だぜぇ?」
意地悪く瞳が歪む。
「もしかして、全力だったかい?坊や?ぎゃははははは!!」