次代の継承者 1
「……急がせます」
「それでいいの。お父様も言っていたでしょう?弱肉強食と。我々人類は弱い。魔王が復活すれば、我々はただの肉。ならば、すこしでも、有用であることを見せればいいのです。媚びへつらっても生き延びるわ」
「……そうならないためにお父上達が動かれたのでしょう」
「まぁ、そうね。お父様が勝てば話は別ですわね。勝てればですけど」
誰もいない玉座が見える。あそこに座るものはいない。私は第三王女。王位がくるはずもなく終わるのならば。
牢屋の前にはたちつくす2人。
「ひどい」
中に居たのは2人の魔法少女。
彼女らは鎖に繋がれボロボロだった。
「お嬢さん、…たすけて…」
「あ、はは、何か食べ物、、ある?」
とても助力を願える状況ではない。
「あんたたちは!」
第二王女の方を睨む。
だが、彼女は
「なんで、勇者さん、たちが、牢屋に、」
愕然としていた。
この娘は知らない。となると、第3王女か。
「はやく……出してあげて」
「でも、か、鍵が」
「あんたの酸でなんとかすんの」
「あ、あ!なる、ほど」
鉄格子を握って牢を溶かしている間。
頭を抱える。
この窮地。姉が敵対。足止めに残った彼の安否。人質が沢山。助けはわたしが呼ばないとこない。頼りにしてた大罪の魔法少女は動けない。
「は、は、は、は、」
呼吸が早くなる。
考えが纏まらない。
「か、過呼吸になりかけてる、ゆっくり、ゆっくり」
慌てて第二王女が駆け寄ってくる。背中をさする手を払い除けた。
「あんたたちが」
「ご、ご、ごめんなさい」
「はぁ、はぁ、はぁ」
この人は利用されただけ。分かってる。落ち着け。落ち着け。
「なに、それ」
カリンの周りに光が集まってくる。
「は、は、はは。ありがとう、光の妖精さん、」
「ひ、光の妖精??」
第二王女は興味深げに近寄ってくる。
「え、な、なによ」
「い、いえ。光の妖精なんて、聞いたことがなくて。魔力が可視化?いや、意志を持つ魔力なんて、そんな」
第二王女はブツブツと呟きながらその場で考えはじめてしまった。
繋がれていた腕を擦りながら、『傲慢』の少女は尋ねる。
「薬師さんみましたか。あのひと。勇者に成り代わって贅沢してやるとか、言ってたけど。待ってたのは拷問て。運がないのは分かってましたが、ここまでとは。あのひとも捕まってんのでしょうか?カリンさん」
「ごーはーんー」
『暴食』の少女は牢の中をクルクル転がりながら訴える
「仲間は全員捕まったわ。わたしたちも帝国の魔法少女も。巨大な砲台のエネルギーにされてる。お願いです。力を貸してください」
「ふーん」
「ごーはーん」
反応はやけにあっさりしてた。
「あなたたち。王都がなくなるかもしれないのよ!」
「別にどうでもいいですね」
「な、たくさんの人がいるし。魔王復活しちゃうかも」
「そのたくさんの人はー。わたしたちに何をしてくれたー?」
「そうですよ。受けたのは迫害。助ける義理はないですよ」
「た、助けたらたくさんお礼されるかも」
「きょーみなーし」
「カリンさんはそれが出来るわけ?」
「そんな……」
彼女たちが冗談で言ってるわけではないことはあの冷めた目を見たらわかる。手はないか。お金はない。時間もない。相手は格上の魔道士。
「この杖を、あげる。協力して。」
アイツから預かってる杖。渡したくは無い。でも。
「いーらーなーい」
「その杖の主人は別にいますよね。ウチらではない」
「……あんたたちの呪いを、あたしが肩代わりするわ」
「……へー面白い提案ですね」
「いみをー分かって言ってるー?」
「か、かりんさん、や、やめたほうがいい。呪いは簡単には剥がせない。あ、あなたのこれからの人生、ずっと呪われたものに!」
「わたしには、この人たちにしてあげれることはなにもないの。これくらいしかおもいつかない。早く。戻ってアイツを助けないと。」
「で、でも」
「ははっ!それいいですね!!」
『傲慢』の少女はサイコロを取り出す。
「継承しましょう、そうしましょう!」
「いーねー」
「あ、あなたたちも、タイザイの呪いは普通の呪いとは異なり魔王直々の呪いなんですよ。へ、へたしたら、2人とも呪われることに」
「ならば、賭けましょう!」
彼女はサイコロを取り出す。
「私の賭けは絶対にはずれる」
「」