決戦のあと
「旦那~!!」
「ん、ああ?」「ん、なんだ」
「なっ!!第一王女」
「あ、大丈夫、大丈夫、決着は着いてる。」
身構える三羽烏の兄貴分を制する。彼は千虹雲海に空いた大穴を目指してやってきたとか。
とりあえず簡単な手当を受け、互いの情報交換を行う。
「カリンたちは無事に帝都にいけたのか。良かった。」
「えぇ、旦那。旦那のおかげで」
「いや、それはどうかな」
第一王女が口を開く。
「昨日きた勇者もどき共は捕らえた」
「捕らえたって。バックアップチームってめちゃくちゃ強いって話だったぞ。」
「未熟な勇者が勝てない敵を排除する。そういうバックアップチームらしいな。No.77 『傲慢プライド』777(ジャックポット)、No.66『暴食グラトニ』毒林檎姫。そして、一桁No.5の薬師の3人。勇者を語っていたみたいだが。自白は本当みたいだな」
No.5がいるチームって凄くない?
「あんたが、倒したのかめちゃくちゃ強いもんな。」
「いや。我では無い。」
「へ」
「我はパトロール中だったからな。第二王女の開発した呪われた金の腕輪で魔力を奪い、第三王女の近衛兵団によって制圧。今は牢屋だな。」
「は?じゃあ、カリンたちは?」
「金の腕輪をはめられていたらアウトだな。あれは1度つけたら鍵がないと外せない。」
「そんなっ!」
「さて、ではどうしたい。ご主人様?」
「や、やめてください。……救い出します。仲間もあなたの姉妹も」
「?」
「お姉さんと約束したんだからな」
「カッカッカッ!一丁前に。だが、何から救い出すんだろうな」
「とは、いえ、どうやって帝都へ千虹雲海を抜けるには時間がかかりますぜ、旦那。おれたち三羽烏に任せて貰えたら3日で。」
「時間がかかりすぎる」
そんなに時間がかかっていたら、何がおこるか。
「んー?帝都に行きたいのな」
「え?」
「嘘ぉぉぉぉ!!!!」
「旦那流れ星みたいに飛んでっちまったな」
第一王女は、『手』と『赤角』を使って、旦那を投げ飛ばした。ものすごい絶叫とともに飛んでいってしまった。
「それで、盗賊よ、主はどうするんだ」
「いや、行くあてないんで、どっかの集落にでも身をよせようかと」
「カッカッカッ!なら、うちに来るか?」
「は?」
「勇者との連絡役とかはどうだ?」
「ぜひ!!」
さて、黒いトカゲを取り出す。
「お前には悪いことしたな」
「……クロイヌサンノジョウホウガホシイ。オレノジョウホウニツリアウグライニナ。タイカヲハラエ」
「わかってる。3年前に勇者と関係のあった魔道士が次々に行方不明になっている。」
「ソレハシッテイル」
「いま、連邦にその魔力が集中している。」
「……ホウ」
「カッカッカッ。知らなかったか?さすがのネットワークでも」
「……クロイヌサンガキエテテイッパイイッパイダカラダ」
「世の中ではクーデターってことになってるが、その数日前に父上たちは旅立った。行先は隠してな。だが、我は帝国周りを飛び回っているから、足跡は掴んだ。おそらく天上の杖関係だな」
「……プラネタリウムノツエ??」
「あぁ、それは、」
「ジュウブンダ」
それだけ言うと黒いトカゲは手から消えていた。
「あれは何なんですか?」
「あぁ、新米の情報屋さ。カッカッカッ。これから役にたつから先行投資さ。今回で双子座も、勇者の手に渡ったからな。獅子座をはじめとして他の杖が、誰の手に渡るのか楽しみだ。その時に、知らないわけにはいかないだろ?」
「のわあああああああああ」
吹っ飛ばされて数十分ほどでシャボン玉が見える。丸が2つに、棒が1つ。なんじゃあ、あの形はまるで。そこにおれは突っ込むの?!
「嫌だア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
ぷよんという感覚が身体をつつむ。
「なん、、だ?これは、、」
目にした光景におののく。
畑を耕す。
魔物たち。
その腕には金の腕輪がある。
だが、その表情は暗い。
なんだこの雰囲気。
違和感を感じる。
あっという間に帝宮に。
またもやシャボン玉をくぐる感覚がある。
目を開くと、白い壁が。
「水瓶座!!」
身体を丸く包もうとするがその水ははじけて消える。なんだ、このシャボン玉。魔力が乱される。
「ぶつかる」
だが、壁は硬くなく、柔らかい。
「あらあら、勇者様、いらっしゃいませ。それとも、不審者様かしら?」
杖を振るったのは、第三王女。
「……面白い魔法ですね」
「あら、勇者さまのお眼鏡にかなって光栄ですわ」