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あの日々の記憶  作者: いるか
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あの日々の記憶②

M:暗くて、辛いことが、記憶に残りやすいと、どこかで聞いたことがある。


M:きっと印象が強すぎて、忘れられないんだろうなと、予想はつく。


M:でも明るい過去をもっと思い出したい。きっと辛いことだらけの人生なんてないと思うから。


N:私は明るくて楽しかった思い出を探すために、ドイツへ行くことを決めた。


N:彼と一緒に行けたら最高だったけど、彼とは8月以降音信不通になってしまったから、一人で大学生活最後の夏を、ドイツで過ごすことにした。


私:「あー楽しみだな。久しぶりだな。」


N:一方、彼は。


彼:「夏、嫌だな。汗かくの嫌いだからね。暑いな、、、。」


彼:「彼女には悪いけど、いまはあんまり動けない。申し訳ないな、。」


彼:「インスタで彼女がドイツに行くことは知った。楽しんできて欲しいな。思いっきり羽を伸ばしてきて欲しい。」


私:「よいしょ!はい。着いた。久々のドイツだ!嬉しい!」


N:なにか心に詰まっていたものが、溶けてなくなったような気持ちになった。


私:「まずは、私が生まれた場所に行こうかな。」


N:そう言って私は、過去の自分の生誕の場所に向かった。


私:「自分が昔住んでいた場所に戻るなんて、考えたことなかったなー。」


N:てくてく歩いていく。


私:「ここか。」


M:みるみる思い出が蘇ってくる。あんまり言葉にできないけれど、とにかくずっと鳥肌が立っている。


私:「楽しかった思い出、いっぱいあるじゃん。きっとこの明るい思い出で頭をいっぱいにしよう。あ。私は幸せだったんだな。嬉しい。」


N:私は次に、私の過去のものが納められている美術館へ行った。


私:「あ!私の文房具セットだ!あ!私が昔着てた服!あ!私のお気に入りの食器!」


N:なんてことを思いながら、多分声に出てしまっていたかもだけど、昔の素敵な思い出と浸る一日を過ごした。


私:「楽しかった!」


N:美術館の最後に、昔の私が書いた詩が展示されていた。


私:「未来の魂へ。」


私:「え!」


N:私は息を呑んだ。


N:過去の私は、生まれ変わった未来の自分に向けて、詩を残していた。


N:私はそのことをすっかり忘れていた。全てを全て、覚えている訳ではないからだ。


私:「わ。読むの勇気いるな。でも読みたい!」


N:そう言って、私は詩を黙読した。


N:「未来の魂へ。」


N:「今世では、私のことを理解してくれる人はいなかった。」


N:「誰も私のことは理解できない。」


N:「来世では、きっと自分を理解してくれる人に出会っているだろう。」


N:「私の魂が、来世で花開きますように。」

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