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第6話 かくれんぼ(1)

 第一試練の場所よりも少し狭いが、相変わらず殺風景な空間で、恐らく生き残った全員がいると思われる。


 今度は椅子が綺麗に並べて置いてあり、さながら学校の入学式や卒業式のようだ。勝ち進んだ人から前に詰めて座っているようだ。


「第二試練の説明するから早く全員座ってねー」


 第二試練の進行役と思われる女性が一番前の演台からマイクを使い全員へと呼びかける。


 小説では試練が始まる前の描写はあまりなかったので、実際に見るとこんな感じなのかと思う。正面にドアが一つあり、そのドアのすぐ上にまた電光板が設置されている。今は何も表示されていない。


 たしかルール説明後、グループ分けがあったはずで、その時に人数カウントで使われるものだ。


 緊迫したこの状況で私語をするような人もおらず、全員着席すると静寂に包まれる。


「まずは第一試練突破おめでとう。まあ正直簡単だったけどね。私の第二試練はこんなに甘くないから」


 ビシッ、という効果音がつきそうな勢いで、誰に対してしているのか、進行役の女は指差しポーズを決めた。


 歳は20代後半くらいだろうか。中学生の時に無駄にオーバーリアクションで、何かいちいち気に障る教師がいたなと思いだした。


「現在ここには1168人いる。私の試練では泣いても笑っても、丁度半分の584人しか生き残れない。第一試練みたいな抜け道はないから深読みしたりする必要はないよ」


 丁度半分というのは小説でも一緒だったので、抜け道がないというのは本当のことだろう。


「第二試練は簡単に言うと“かくれんぼ”をやってもらう。1168人いるので8グループに分かれてもらうぞ。なので、1グループ146人だ。ということは1グループで生き残れるのは73人になるな。73人掛ける8グループで総数は584人、第三試練に進めるのは584人!」


 少しざわめきが起こったが、すぐに鎮まった。


「ルールは一度しか言わないからな。1グループ146人の中で、鬼となって探す役は73人、隠れる役も73人、それぞれ半分ずつ選出する。制限時間は2時間だ。鬼は制限時間内に1人でも見つけることが出来たら第二試練突破だが、見つけた相手を指さしながら“みーっけ”と言う事。それがトリガーとなり、見つけれた相手は第一試練と同じく首が切られ脱落だ」


 そうだ、第二試練のからくりを思い出した。かくれんぼとは言っても純粋なものではなかった。ここがこのルールにおけるポイントとなる部分だ。


「無事に見つけることができた鬼はそのままフィールドから脱出してくれて構わない。次に隠れる側だが、制限時間を逃げきれれば突破だ。制限時間で誰も見つけることができない鬼はその時点で全員死んでもらう」


 何故か進行役の女は得意気な表情を浮かべた。自分のルール説明が上手くいったことに対するものだろうか。


「最後に少し禁止事項だ。何かトラブルなど理由はあるかもしれないが、鬼同士、または隠れる者同士での争いは禁止だ。最初に仕掛けた方には死んでもらうからな。説明の最初に丁度半分が生き残ると言ったが、禁止事項で脱落する人が出てくれば生存者が丁度半分にならないこともあるな」


 そう、禁止事項には鬼と隠れる者の間での争いは禁止していないのだ。仮に見つかったとしても鬼が“みーっけ”を言う前に攻撃してしまえば、脱落を回避できてしまう。


 小説内で昴が飛び出した理由も思い出した。密室で隠れている時に、迫りくる鬼の前に囮として飛び出し、鬼が“みーっけ”を言う前に、修斗と朱華が口を塞いだのだ。


 よしよし、ここまで思い出したなら皆と協力しながらなんとか対策がとれそうだ。しかし、何か重要なことを忘れているような……。


「質問は受け付けないから。じゃあ早速グループ分けに入るかなー」


 そう言うと正面ドアの上の電光板に数字の0が表示された。


「まずはAグループになりたい人、ドアから先に進んでね。146人に達したら次はBグループというように分けていくから、どんどん入っていって。時間が押しちゃうんで」


 説明が終わると同時に、一番前に座っている背の高い男が立ち上がり、そしてドアに向かって真っ直ぐに歩き出した。第一試練も真っ先に突破していた伏倉朔だ。


 伏倉朔と同じグループになるのは少し怖い気がする。


「どうする? グループばらけるか?」


 昴が小声で声をかけて来た。


「一緒のグループで協力した方が絶対に有利だと思うけど」

「4人全員が同じ役割だったらな。一人だけ鬼役になるとかも考えられる。鬼役と隠れる役の決め方が説明されていない」


 そうだ、何か忘れていると思ったらそこだ。役割が同じになるとは限らないのだ。どうやって決めたのかも全然思い出せない。


「それでも……ばらけるよりは一緒のグループにした方が何か協力できるかもしれないので……」

「まあな……」


 昴は何か色々考えを巡らせているような表情をしている。今は考えたところで答えはでないだろう。


「よし、じゃあ次のグループでいくぜ」


 そう言うと昴は立ち上がり、それに続き修斗と朱華も立ち上がった。 


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