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第2話 じゃんけん(2)

 第一試練については心配する必要はないが、第二試練以降はきちんと考えていかないといけない。今の段階でどういう選択をしていけば今後有利に事を運んでいけるのかを分析する必要がある。



 小説を思い返すが、第二試練は“かくれんぼ”だ。これも当然ただのかくれんぼではなく、1グループ100人程度に分かれ、さらにその中で鬼と隠れる側に分けられる。グループによって廃墟や森などフィールドが異なる。


 生存条件は、鬼は誰かを一人見つければ見つけた人はフィールドから離脱できる。隠れる側は制限時間内で鬼に見つからなければ生き残れる。


 死亡条件は、鬼は誰も見つけられずに制限時間を向かえてしまうこと。隠れる側は制限時間内に鬼に見つかること。なので第一試練と違い、本当にスタートの人数から半減してしまう戦いとなる。



 事前にこれだけ情報を知っていれば、何か対策を立てて備えることができそうな気もするが、残念ながらそうもいかない。


 ルールや様々な情報がわかっているので一見有利に感じるがそんなことはなく、何故かと言うと小説は主人公目線であり、星咲莉依奈は第一試練も第二試練も主人公達と行動を共にしていないのだ。


 つまり、第二試練については星咲莉依奈がどうやって勝ち残ったのかがわからない。




 実は第一試練については小説内本編で記載がある。


 弱そうで頭も悪く、そしてずるそうな男を見つけ、体を好きに使っていいからじゃんけんで負けて欲しいと頼み、誘惑のようなかたちで自分の体を差し出した。


 頼まれた男は言われた通り星咲莉依奈の体を弄び、制限時間も近付いてきたところで、満足してそろそろじゃんけんするかと提案する。


 男はこの時、自分はパーを出すからチョキを出してくれと指示をした。星咲莉依奈は男の言うことを信じず、チョキを出さずにパーをだした。思惑通り男が出した手はグーで、見事勝負に勝ったのだ。


 それを狙いわざと小物感漂う男に声をかけたわけなので作戦通りに事が運んだたけではある。


 男が素直に負けるわけがなく、相手が女子高生ということで完全に見くびっていたということも計算にいれてはいたが、無事にその賭けに勝つことができ、第二試練に進むことができた。




 私が知っている情報はここまでで、第二試練は主人公達と同じグループではないため、星咲莉依奈が鬼なのか隠れる側なのかもわからない。


 ファンブックで星咲莉依奈視点による各試練のエピソードが書かれている短編があるのだが、当時中学生だった私はお金がなくファンブックを買うことは出来なかった。少し立ち読みはしたけど、悲しくも全然覚えていない。こんなことになるなら無理してでも買っておけばよかったと今更後悔。


 

 ということで、現状、第二試練ですでにやばい。必勝の攻略法でもないと到底生き残れる気がしない。


 主人公達はどうやって生き残ったのかを思い出してみるが、第一試練のような絶対的な攻略法はなかったはずである。


 ただ、見つかりそうになった時に何かをして難を逃れたという展開があったはずだが、微妙に思い出せない。栗並昴が囮になって飛び出すようなシーンだったはずだが……なぜ囮になろうとしたのか思い出せない。


 とりあえず単独で行動しても生き残れる可能性は低いと思われるので、第二試練については主人公達と行動を共にするのが無難だろう。


 まずは玖山修斗と栗並昴を探しだし、第二試練は協力。第三試練以降は様子を見ながらではあるが、基本的には同行していく方針を自分の中で固めた。




 考えもまとまり、再度周囲をじっくりと見渡すが、相変わらずまだまだ人が多い。このまま無駄に歩き回るより人数が減ってから動くほうが効率的だろう。焦る必要はない。


 亜夢は端の方の壁によしかかりながらしばらく傍観を決め込むことにした。




 2000人が収まっているこの謎の空間はどういう施設なのかだろうかとふと思った。天井も壁も模様や装飾など何もなく、無機質なコンクリート製のようだ。小説内でもこの施設についての説明の描写はなかったはずである。


 呆然と天井を見つめていると、色々なことが頭に浮かんでしまう。元の世界にはもう帰れないのだろうかと思うと、信じられないと思うのと同時にとても悲しくもなる。


 もし最後まで生き残ることができたら、その先には何が待っているのか。この世界で星咲財閥の令嬢としての人生が待っているのか。


 お嬢様か……悪くはないけど、そんな立ち振る舞いはできない気がするな。モデルとか芸能活動とかも引き継いでそのままやるとか無理なことだ。


 あちらこちらで聞こえる悲鳴と血の匂いの中で考え事をしても、いまいちマイナスなことしか浮かばなかった。




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