創造神 始めました
俺、天馬翔。
日本で五本の指で数えられるであろう
この会社に大学卒業後、
新卒で就職して15年。
十分とは言えないが
そこそこ充実した日々を送っていた。
(社畜ではないヨ 汗
いつものように外回りを終え、
駅で電車を待っていた。
今日こそは椅子に座ってやると
最前列に並んでしまったのが運の尽きであろう。
電車が駅に入ってきた時、
背後から突き落とされたのである。
そのまま電車にはねられ、
意識はだんだん薄れていった……
『やっと目を覚ましおったか』
そんな声が聞こえ目を開けた。
すると闇の中にうっすらと光る老人が立っていた。
あれ?あの時、俺は死んだのではなかったのか?
『そなたの命はあの場で終わっているのじゃ』
「ちょ、ちょっと待て。あの時に俺が死んだのは
わかる。しかし状況が理解できないのだが」
『教えてやろう。この私が第2984代目《創造神》である。そなたは第2985代目に選ばれたのじゃよ』
ん?このおじいちゃんは何を言っているんだ?
第2984代目創造神ってなんなんだよ。
1000年前ならまだしも、
この科学が進歩した時代に真に受ける奴なんて…
『アハハハ。儂も初めはそうじゃったよ。あと、そなたが考えていることもわかるから
変な事は考えぬようにな』
=数十分後=
「まぁ、俺の状況は理解した。もしも俺が
《創造神》になったらあんたはどうなるんだ?」
『儂か。消滅する。この世界とともにな。
我ら創造神とは自らの世界と一心同体である。
どちらか一方でも消滅、滅亡すれば
どちらとも終わるのじゃ』
え?なんかサラッと恐ろしいこと言わなかったか?
『あぁ。それは仕方のないことなんじゃ。
そもそも全てのものには《寿命》というものが
あるのじゃ。見てみよ』
その言葉の後、目の前に数字が浮かんだ
第2984代目の《創造神》と《世界》の《寿 命》
残り・神界歴 0年 0ヶ月 21日 6時間3分7秒
「神界歴ってなんだ?」
『この空間の時間じゃよ。
そなたがおった世界の時間は世界歴という。
そもそも時間の進み方が違うのじゃ。
もう時間もない。
次の《創造神》になってくれるな?』
(実はこれ、すでに選定は済んでいるため、
彼に拒否権はないのだが
「…わ、わかったよ。俺は《創造神》になる!」
『よく言った。残りの時間でそなたが《創造神》としてあれるよう、儂も精一杯教え込んでやろう』
[第2985代目の《創造神》が正式に決定致しました]
そんな声が闇の中で響いた。
ずっと聞いていたい。
そう思わせるような美しい声だった。
その瞬間、
闇の中でとてつもなく大きな球体の
歪んだ空間が現れた。
「これはなんなんだ?」
『それは《世界》じゃよ』
「い、いや。この歪んだ空間以外 何もないぞ?」
『それはそうじゃろう。
そなたがこの《世界》の《創造神》なのじゃからな。
自らの手で創り上げていくんじゃよ。』
「そ、そういう物なのか…」
『それでは始めようか』
※誤字脱字 等はご指摘ください。