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2nd泥棒

親友の小林杏奈ちゃんとは毎日教室で喋ったり、毎日一緒にいる。


「マサちゃん?私の家の近所にアイスクリーム屋出来たの知ってる?」


「知らないよ」


イライラを内に秘めていたらどうしようと思ったが杏奈ちゃんの本当の気持ちをこのイヤホンで聞くことにした。


「私もまだ行ったことがないんだ。オープン間もなくて今絶賛混み合い中だからね」


「私、アイス大好きだよ」


休み時間の雑談中にイヤホンのスイッチを入れて一緒に話している杏奈ちゃんを見つめる。


すると、気持ちが聞こえてきた。


“マサちゃんはいつも癒してくれるし全然イライラしないんだよな。私とマサちゃんにキャッチコピーをつけるなら『涙で歪むほど美しい愛情』だな”


嬉しいが少し照れ臭いので、視線を木田くんに向けて木田くんの変な考えを聞いて気持ちを紛らす。


“箱ティッシュは全て200組で全て「ティッシュ」と表記していると思っていたのに180組の「ティシュー」が存在していたなんて”


相変わらずだ。


私が目を移した杏奈ちゃんの心の声が続けて入ってくる。


“木田くんって大人しそうだけど『美女たちの呪縛から解き放てオレ』みたいなこと言いたそうな感じだよな”


「マサちゃん?最近木田くんばかり見てるし、木田くんに話しかけたりもしてるけど狙ってるの?」


「狙ってはないけど、ミステリアスだから気にはなるよ」


「無口で真面目そうだけど案外、変な妄想で頭がパンパンそうじゃない?あのカッコいい顔もう一度よーく見つめてみてよ。隠れたお調子者です、みたいな顔してるでしょ?」


「どうかな?」


“無口界のお喋り野郎というキャッチフレーズと海藤芽亜莉ちゃんが似合う男、

尾張ハジメ、今日も頑張るぞ”


「ねっ?真面目ではなく見えてきたでしょ」


「無口で真面目なカッコいい男子そのままだよ」


私は嘘をついた。


杏奈ちゃんが言った通りの、変な妄想で頭がパンパンのお調子者タイプだということは前から知ってるし、さっき見つめたときに聞いた木田くんの考えで、思い知らされている。


また木田くんを見た。


“一つ百円で片手で持てて短時間で食べられて全ての栄養が補えて美味しくて腹六分以上になれて味が三種類から選べる食べ物が欲しいよな”


変過ぎる考えに癒されるので木田くんのことが好きになったが付き合いたくはない。


また杏奈ちゃんの方向を見る。


“マサちゃんは、あれかな?アイスを愛すみたいな感じで木田くんのことを愛してるのかな?ラブではない気がするな”


「マサちゃんはアイスと木田くんどっちが好き?」


「絶対にアイスだよ」


“木田くんと一緒にアイスを食べに行ったとしたら、マサちゃんはアイスを持ったままボーッと木田くんの本性に関する謎を解き明かそうとして、謎は全然解けないのにアイスが溶けたみたいなことが起こるかもね”


「今度一緒にアイスクリーム屋に行こうよ」


「うん」


「提案なんだけど、アイスクリーム屋に木田くんも誘って、両方をものにするっていうのはどう?」


「友達になりたいタイプではあるけど、好きではないしさ」


「なんか木田くんってアイスクリームが好きそうな顔してない?見てみてよ」


「えっ、分かった」


“女性はパンケーキが好きみたいだから海藤芽亜莉ちゃんとデートに行くならパンケーキ屋かな?でも、行列に並ばないといけないから待ち時間がな。手を繋いで一時間離してはいけないゲームしながらまてばいいのか”


「どう?」


「僕は誘わないでくださいねって顔してた」


アイスクリーム屋が混んでいたら『手を繋いで一時間離してはいけないゲーム』に誘われるかもしれないと思ったが、表は無口で消極的だから多分ない。


「アイスクリーム屋はやっぱり私とマサちゃんの二人で行って、後日マサちゃんと木田くんの二人でパンケーキ屋に行けば?アイスクリーム屋よりも行列がもの凄いから隣り合って二人でいっぱい話せるよ」


「何してくるか分からないから二人はダメ」


「そうか」


杏奈ちゃんは私や木田くんの気持ちや裏の性格が結構分かっていて、私と同じイヤホンの使い手なのかもしれないという考えが出てきた。


“よし、一発ギャグ思い付いたぞ。「貧乏揺すり発電始めました~♪」いつか海藤芽亜莉ちゃんに見せたいな”


木田くんは相変わらずだ。

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