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Blood/Bullet/Parade  作者: FRIDAY
肆 Black/Blast/Ballad
47/51

47.誰が為に君は戦う

「――天城さん」


 久坂の遺体を、これからの戦禍の及ばない陰にまで運び終えた相葉は、静かに名を呼んだ。


 周りには誰もいない。応じる声はない。

 ただ、脳裏に返るのみだ。


『はい』


 ずっと、天城は見ていたのだ。相葉を通して。久坂の戦いを、久坂の最期を。だから、


「手伝ってもらえるか」


 相葉がそう言ったとき、天城は決して、何を、とは返さなかった。

 わかっている。

 相葉を通して戦いを見ていたのだから、相葉の思いも、およそ全てを知っている。


『――ええ』


 首肯は、短く。


『私にできることを、私にできる限り……でも、ひとつだけ聞かせてください、相葉さん』

 脳裏に響く言葉は、静かだ。

『これからの戦いは、あなたが生き残るための戦いですか? それとも……』


 それとも。

 相葉の心もまた、不思議なほどに澄んでいた。だから、一抹の迷いもなく、答えられる。


「違う。――もう、俺だけが生き残るための戦いじゃあ、ない」


 聞いていただろう、と相葉は言う。


「約束、したから」

 久坂と。


 いつか生まれ変わってくる久坂が、平和に生きられる世界に変えてみせると。

「だからこれは、そのための戦いで……いや」


 それだけでは、ないのかもしれない。

 怒りもなく。

 悲しみもなく。

 けれど、


「仇を討ちたいっていう気持ちは……少しくらい、あるのかもしれない。だから決して、ただ大義のための戦いっていうわけじゃない」


 大義なんてない。

 私怨だな。


 自嘲するように言い捨てた相葉に、今度は天城は何も言わなかった。

 生まれ変わりなどを信じるのかと、野暮なことも。

 私戦になんて付き合っていられないと、真っ当なことも。

 ただ、そうですか、と頷くのみ。


『では――始めましょう、相葉さん。終わらせましょう……この、空しいばかりの戦争を』


 ああ、と短く応じて。

 相葉は静かに、踏み出す。


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