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38.惨禍
一瞬、何が起こったのかわからなかった。腹の底に響く重音が大気を震わせ、足元から突き上げるような震動がバランスを崩させる。
「な、何だ……!?」
体勢を立て直しつつ辺りを見回す氣境の横で、相葉はまっすぐにある方向へ視線を向けている。
音と衝撃は大きい。だが、それでも遠かった。震源はこの付近ではない。ここは戦場でも末端の方であり、これだけの衝撃が発生するとすれば。
遠く、瓦礫の惨禍の向こうに、立ち上る赤と黒を見た。
『……相葉さん』
静かに、しかしわずかな震えを帯びた声で、天城が言った。
『あなたの直感は正しい――たった今、機関七課本部が超能力者との衝突により、施設全域に渡って壊滅しました』




