君は世界を手に入れる(とある求婚の一つ)
君は言ったね
雪が見たいと
秋に満ちた公園で
イチョウの山吹色に目を細めながら
群れる紅葉をつまみながら
熱いくらいの陽光に肌を焼かれながら
秋を満喫しながら
すぐ先に控えている冬を 君は望んだ
僕は君のわがままが好きだ
だから僕は言った
君のために雪を降らせると
太陽は冷たい雲の中に隠し
色づく公園を白く染めてみせると
それを聞いた君は
無邪気に笑ったよね
そして言った
「もしも本当に雪が降ったら
あなたの言うことを一つ聞いてあげる」
そう君は言った
今日は朝から寒かった
今夜 雪が降るだろう
天気予報は知らなかったよ
だけど きっと雪が降ると信じていた
君はいつだって
世界を手に入れることができる
僕は君に全てを与える
だから君は全てを手に入れることができる
さあ
もう寝よう
明日起きて
雪が降っていたら
僕たちは家族になろう
君は言ったよ
僕の言うことを一つ聞くと
僕のことが大好きで
寂しがりやの君が
僕と家族になりたいことは
ずっと前から知っていた
でも自分に自信がなくて
恥ずかしがりやの君からは
絶対に口にしないだろうことも
分かっていた
君はいつだって
世界を手に入れることができる
僕も世界の一部だ
君は僕を手に入れることができる
さあ
もう寝よう
明日はきっと雪が降っている
そして君と僕は家族になる
「明日が楽しみだね」
明日は関東は11月だというのに珍しく雪が降るそうです。
本当に雪が降れば求婚は受け入れられるでしょう。