体操教室
今日は涼が待ちに待った体操の無料体験の日。
自宅のマンションを車で出発し10分程で到着。こんなに近い隣町なのに来るのは初めて。大きなナイターが設備され黒土の本格的な野球グランドがあり、白いドームが隣接している。ドームの入り口を入るとすぐに受付の小窓が。小窓の内側に私と歳が近そうな女性がいてすぐに私たち親子に気付き小窓をガラガラと開け笑顔で、
「こんにちはー。」
「あ、初めまして、体操の無料体験で予約した咲坂です。」
女性は目線を下に降ろし優しい笑顔で
「涼君ですね!お待ちいてました!すぐ案内させて頂きますので少しお待ちください。」
そう言うと女性は小窓から消えたかと思うと小走りで私の前に来た。
「私、受付兼事務員の林といいます。こちらへどうぞ。」
林さんの後ろに続きドームに足を一歩踏み入れた瞬間、あまりにも明るく開放感のある空間にドキドキとワクワクが体に走った。
空間の真ん中をネットで区切ってあって手前半分はテニスコート、向こう半分で体操教室が行われていた。体操の方へ歩きながら林さんが
「今、幼児クラスの時間でこの授業が終わると涼君が体験する児童低学年が始まります。もう少しで幼児クラス終わるのでこちらのベンチで座ってお待ちくださいね。」
私がお礼を言うと林さんはぺこりと頭を下げ去って行った。
幼児クラスが終わると若い男性のコーチが私たち親子の元に走って来た。
「こんにちは!咲坂さんですね!私、体操の指導をさせていただいてます三浦といいます!涼君、今日は来てくれてありがとう。一緒に楽しく体操しよっか!お母さんも楽しんで見学して下さいね!」
三浦コーチは自己紹介をし終わると涼の手を優しく繋いで歩き出した。涼が途中で振り向き私に小さく手を振った。
三浦コーチは27歳、小中高の時に剣道と陸上を経験し大学ではスポーツアスリート科で卒業しこのスポーツ複合施設に入社した。ある程度のスポーツは一通り出来るとの事。余談で独身なんだとか。
授業が始まり、まず軽くランニングしてストレッチ。マット、跳び箱、鉄棒、トランポリンの4種目。涼も他のみんなもとても楽しそうに運動していた。
程なく授業が終わり涼が私の元に汗だくで走って来た。
「ママ!すごく楽しかったよ!もっとしたい!まだ帰りたくない!」
目を輝かせて興奮気味の涼の後ろから三浦コーチの声が、
「涼君楽しかったみたいで良かったです。運動神経良いですね!今日は体験ありがとうございました。もしよければ入会していってくださいね!」
体操、コーチ共に涼と相性が良いみたいなのでその日の帰りに早速入会の手続きをして帰った。