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女郎花を摘みに

カエデとノノカ、二人は新たな事を始める


ノノカの屋敷の前に立ったカエデは戸惑っていた。

(この前、あんな風に出てきたけど… 。訪ねて大丈夫かな)

カエデは昨日ノノカの申し出を断るように出てきたことを後悔していた。(もっと、丁寧に言えばよかった)門の前でしばらく迷っていたカエデは、インターホンを押すことを決心した。


カエデがインターホンを押してから、しばらくすると中から昨日の老人が現れた。


「こんにちは、二ノ宮さん。今日はどういったご用件で?」


老人はカエデが来たことに不思議に思っているようだった。


「昨日は申し訳ありませんでした。今日は昨日の返事をしようと思いまして…。」

「ご丁寧にどうも。それで返事の方をお聞かせください。」


カエデは老人に対してこう答えた。


「昨日の話、お受けします。だけど、報酬はいりません。ノノカさんの本当のお友達になりたいです。」


老人は目を見開いた。カエデの答えは老人の予想とは大きく異なっていた。



老人に案内され、カエデは再びノノカと会うことになった。


「それでカエデさん。友達になってくれるのは嬉しいのですが、よくお考えになりましたか?看取り人になるという意味を…。」


どこか不安そうな顔をしたノノカにカエデはこう答えた。


「はい、よく考えました。その上で出した答えです。」

「それなら、報酬はいらないというのは…。何か他のものでもお求めですか?」


ノノカの質問に眉をひそめた老人をよそに、カエデは笑って答えた。


「だって、友達ってそういうものでしょう。」

「……。」


カエデの言葉にノノカは言葉も出せなかった。



しばらくして、ノノカは口を開いた。


「そうですよね…。友達ってそういうものでしたね。私は初めから間違っていましたわ。」


ノノカは少し落ち込んだ様子だったが、すぐに笑ってこう言った。


「カエデさん、ありがとうございます!これからよろしくお願いします!」


ノノカの眩しい笑顔を見ると、カエデは微笑みながら


「こちらこそ、お願いします。ノノカさん。」


と言って、互いの手を握り合った。




「だけど、いざ友達になってみたものの、どうすればいいかな?ノノカさんは何かしたいことある?」


そうカエデが尋ねると、ノノカは恥ずかしそうにしながらこう答えた。


「あの、よろしかったら、カエデさんの〝恋話″をしてくれませんか。病院で看護師さんが仲良く話してるのを聞いたことがあって…。それで私もいつか友達ができたらしてみたいなって思いまして…。」


カエデは慌てた。なぜならカエデには今までそういう経験がなかったからである。


「ノノカさんっ!そういう話は女の子同士でするものじゃない?その何ていうか上手く話せないし…。」


カエデの困った様子に対して、ノノカは少し残念そうな顔をした。


「そうですよね…。それなら私部活がやりたいです。カエデさんと楽しくやることができるような。」

「部活か…。それならできそうだけど、内容はどうするの?何かやりたいことでもある?」

「……。」


カエデの言葉に少し考えるようなそぶりをしたノノカはしばらくして答えを出した。


「私、他の人の役に立つようなことがしたいです。」

「それなら、ボランティア部とかは?ボランティアならいつでもできるし、簡単だと思うけど…。」

「……。」


カエデの言葉にまた少し考えるそぶりをしたノノカは、口を開いた。


「人生相談部というのはどうでしょう?ネットや貼り紙で、悩みがある人を探して、その方の話を聞いて悩みを少しでも和らげるっていう部活動です。」

「つまり、カウンセリングみたいなものってことだよね…。面白そうだけど、ノノカさんは大丈夫?中には、不謹慎なことで悩んでいる人もいるかもしれないよ…。」

「私は構いません。私は残りの人生を生かしてできることをやりたいだけですから。」


ノノカの笑顔にカエデの不安は打ち消されていた。(まあ、なんとかなるか…)内心でカエデはそう思っていた。


「それでは、私はホームページを作ってみるので、カエデさんは貼り紙の方をよろしくお願いします。貼り紙は街中の適当なところに貼ろうと思っているので、来週持ってきてください。」

「りょーかい。それじゃあ、また来週来るね。」


そう言ってノノカに別れを告げたカエデは屋敷の門を出ようとした。


「カエデさん、お待ちくださいっ!」


みると、老人がカエデの元へ走り寄っていた。


「えっと、どうしました?ノノカさんには募集の件納得してもらえましたけど…。」


慌てた老人の様子に、驚いたカエデは尋ねた。


「い、いえっ。お礼を申し上げたくて。お嬢様とお友達になっていただきありがとうございます。」


そう言って頭を下げた老人にカエデは狼狽えた。


「顔をあげてください。自分の意思で決めたことですから。」

「あんな楽しそうな顔のお嬢様は久しぶりに見ました。カエデさん、ありがとうございます。」


そういって、なんども頭を下げようとする老人に別れを告げ、カエデはアパートへ戻った。


明日から忙しくなる、カエデはどこか楽しそうだった。

最近、雨ばっかり降ってつらいです。

洗濯物が乾きません…。

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