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向日葵を見つける

あなたにとって大切な人はいますか?


「はぁ…。なんかいいアルバイトないかな〜。どれも時給低いな〜。」


パソコンの求人サイトを見ながら、大学生二ノ宮カエデはため息をついた。

カエデはこの春晴れて大学生となった。両親から地元を出ることに反対されながらも、高校の担任教師との面談を何度か繰り返し、地元から離れた大学を受けることになった。


合格したことを学校や友達に伝えたり、面倒な親戚めぐりなどを終えたカエデはすぐに物件を探し始めた。すぐに探し始めたためか、物件はかなり残っておりカエデの条件に合うようなものは見つかった。


引越しの準備を終えると、すぐに一人暮らしを始めた。始めの頃は料理も作っていたが、途中から面倒になりいつしかコンビニの常連となっていた。

生活も落ち着き、特にサークルにも属さないカエデはバイトをすることにした。


「時給1000円越えがいいなぁ〜。家庭教師は嫌だしな。」


そうやって、条件をつけていくうちにめぼしいバイトはなくなっていた。


「このさい、適当なのにしよう。嫌だったらやめればいいし。」


始めの条件はどうでもよくなり、条件を指定しないで検索したカエデはいくつか見て回った。ふと、一つの広告に目がとまった。会社ではなく個人が募集しているものだった。


「友人募集…?男女自由って、出会い系とかじゃないんだ?面接ありか…。」


その求人はいかにも変わっていた。

〝友達になってくれる方を募集しています。報酬はその方の働き次第。男女は問いません。男の方でも女の方でも自由に時間が取れる方なら構いません。面接は以下の日時と場所で行います。時間厳守でお願いします。″


その文章と共に日時と場所が示されていた。(次の土曜日か…。どうせ暇だし、行ってみようかな…)

そう思ったカエデは他の求人を探したが、特にめぼしいものは見つからなかった。


土曜日、面接地に来ていたカエデは帰りたい気持ちでいっぱいだった。集合時間5分前になっても自分以外には誰もおらず、担当の人どころかさきほどから人すら見ていない…。(あと、5分待って誰もいないなら帰ろう…)そう思い始めてカエデはスマホをみた。


「圏外だ…。やばいかな。」


スマホは圏外と表示されていた。自分が思ったよりもやばい状況にいるのではないかと思ったカエデは、すぐに帰ろうとした矢先に、扉が開く音を聞いた。見ると中から、一人の老人が出てきた。


「求人を見た方ですね、どうぞ中へお入りください。面接をすぐにでも始めさせていただきます。」

「はあ、わかりました…。」


老人の言葉に断ることもできず、カエデは促されるまま屋敷の中に入った。



カエデは不安に思い老人に尋ねてみた。

「面接って何をなさるのですか…?」

「簡単な質問と人に会ってもらうだけです。すぐに始めますのでそこへお掛けください。」


カエデが案内された部屋は会議室のようなものだった。


「それではカエデさん、今から面接を始めさせていただきます。」

「お、お願いしますっ!」


(人生初の面接だ。緊張する)そう顔に出ていたカエデを見た老人は


「そこまで緊張なさらないでください。簡単なものなので。」

「は、はいっ!すいません。」


そう答えたカエデを見て、ほくそ笑んだ老人はいろいろと尋ねてきた。


「お名前をお願いします。」

「二ノ宮カエデです。」

「生年月日と普段のご職業をお答えください。」

「○○年○月○日です。職業は××大学経済学部の一年生です。」

「今は一人暮らしですか?」

「はい。××県のほうで一人暮らしをしています。」

……………


この様ないくつかの簡単な質問が繰り返され、最後にこう聞かれた。


「最後に、あなたはみじかな人が亡くなった経験はお有りですか?」

「……。」

「カエデさん…、どうなさいましたか?」

「い、いえっ!すいません。はい…。15歳の頃に、二つ下の弟が…。」

「それは心苦しいことをお聞きしました…。面接は以上です。それでは次にある方に会っていただきます。」


面接が終わるとカエデは他の部屋に案内された。(さっきよりも作りが豪華な扉だ…)カエデの心配をよそに老人は部屋をノックした。


「失礼します、お嬢様。面接に来てくださった二ノ宮カエデさんをお連れしました。」


そう言って老人が扉を開けると、中には高校生ぐらいのイスに座った少女がいた。


「あなたがカエデさん?今回はこのバイトに募集していただきありがとうございます!」

「えっと、あなたが今回の依頼主ですか…?」

「はいっ!私がクライアントの橘ノノカです。どうぞお掛けになってください。」

「ありがとうございます。すいません、今回なぜこのような求人を?」


カエデは気になっていたことを思い切って聞いてみた。ノノカさんは笑顔でこう答えた。


「私、もうすぐ死ぬんです。最後に友達が欲しくて」

「えっ!?」


少女の口からその笑顔に似つかないような言葉が発せられた。








大学の講義中に書くので、更新は不定期です

気づいたら、スマホの充電が…

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