表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

隣の席

作者: 尚文産商堂
掲載日:2011/05/31

俺が、大学の教室でお昼休みに弁当を食っていると、急に後ろから肩をたたかれた。

だれかと思う前に、声がしたので、すぐにわかる。

「一人で弁当?」

「うるせーよ、一人で食べたい時もあるんだよ」

小学校から大学まで一緒という、かなり珍しいと俺的には思う女子である海南照(かいなんてらす)が、俺の横に座った。

「ほんとー?だって、ここ最近ずっと一人じゃんか」

笑いながら、俺の横で弁当を広げる。

今日の中身は、コンビニでも売っているような鮭弁当だった。

「いっただきまーす」

手を合わせて言うと、割り箸を割り、もそもそと食べ始めた。

俺も横で続きを食べる。


「ごちそーさま、でしたー」

海南が再び手を合わせていった。

「やっと食い終わったか」

「これが普通なんだよ」

5分ぐらいで食べる俺に比べて、海南は10分は最低でもかかる。

「さて、ゴミ捨てに行くか」

「あ、一緒に行くー」

俺が立ち上がるのと合わせるように、同時に立つ。

「…まあ、荷物はそのままでも大丈夫か」

「そうだよ、誰も盗りはしないって」

にこやかに言っている海南を見ると、確かにそんな心配も消える。

「じゃ、行くか」

教室を出て、廊下にあるゴミ箱へ、包み紙ごと燃えるごみとして捨てる。

「ついでにトイレ行ってくるね」

「俺も行くさ」

「…中まで?」

なにか期待をしているような目だが、俺はそんな根性はない。

「男のほうさ。なんで女のほうに行かないといけないんだよ」

「だって、面白いじゃん」

「面白くないって」

その直後、なぜか俺は手をつながれた。

「…へ」

振り払うこともせず、指をからめられる。

「ねえ、聞いてもいい?」

「なんだよ」

「あたしのこと、どう思う」

「それを、何でここで聞くんだ」

窓側へ静かに寄せて、俺は海南に聞く。

「だって、気になった時に聞いておかないと…」

「小学校からずっと一緒のところに通ってて、とうとう大学まできてしまった。何かしらの縁は感じるし、友達としては最高さ」

「うんうん」

「でもな、彼女とか、付き合うっていうことになると、また別問題。というか、別次元の問題な感じなんだよ。別に、嫌いっていうわけじゃないんだ。でも、好きかって聞かれて、そうですねって、俺は言い切れる自信はない」

俺は、長々と話したようだが、1分もかかっていない。

だが、それが1時間にも、何日にも感じるほど、長い時間が流れた。

「…そう。そうよね、急に言われても困るだけだものね。ごめんね」

海南は指を外し、俺から走って逃げるように行ってしまった。

「俺はなんてチキン野郎なんだか」

独り言を言うと、同じ方向にあるトイレに、俺も歩いて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ