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逆行したら強化選手に選ばれました。  作者: じらお
第一章 やりなおし
6/9

06

 端的に言えば、すごい、の一言だった。


 先ほども言った通り、宿利原には同じ監督のミニバスのクラブチームもある。


 そのため、こっちのクラブチームには小学生はいない。1年生どころか6年生もいない。


 中学生以上の子たちが、男女別れて練習を行なっている。


「宿利原は子どもたちにゲームメイクさせることを重要視しています。それはミニバスのクラブチームでも同じです。ゲーム……試合をさせ、なぜ負けたのか、なぜ勝ったのかを言語化させます。いわゆるバスケノートってやつもやってます」


「こちらに小学生がいないのは?」


「ミニバスがあるからというのもありますが、練習量についていけない子も多く……扱いとしてはほとんど別のクラブチームですが、実質的にはこちらが1軍、ミニバスが2軍なんです」


 なるほど……。


「たまに監督に抜擢された子がミニバスからこっちに上がってくることもありますが、やっぱりお子さん自身が練習量に耐えきれなくなって、ミニバスに戻るっていうのもよくある話です。ここにいるほとんどが、ミニバスチームで扱かれて、ふるいにかけられ、ここにいます」


「練習時間はどのくらいですか」


「2時間から3時間程度です。土日は11時から始まって12時にお昼休憩、14時まで練習ですね。平日は夜7時から9時までです」


「なるほど。練習メニューって見れますか?」


「ここにありますよ。恥ずかしながらジブンの手書きですが……」


「一斗」


「うん」


 手渡されて、目を通す。


「あ、ふりがなとか……」


「息子は漢字が読めるので大丈夫です」


「あ、そうなんですね……」


 ふむふむ……なるほど。


 最初はストレッチから始まる。


 次にモビリティワーク。胸椎の可動生を確保する、と書いてある。たしか、胸を張る動きと丸める動きを繰り返すものだったか。


 それからベアトレーニング……これは四つん這いの姿勢を基本とした体幹トレーニングで、この状態で歩いたりするトレーニングだ。


 ここまでで20分弱をかける。


 それからドリブル練習。


 詳しくは、レッグスルー。

 テニスボールでのドリブル。

 ドリブルしながらのラダー。

 エリア制限の1on1。


 これに40分。それぞれ10分ずつということだ。


 ここで休憩を挟み、10分。


 それからディフェンスなしのレイアップとディフェンスありのレイアップをそれぞれ20分ずつ。


 それからスピードドリブル……? なるほど、人を立たせて、手を挙げた方向に反射的にドリブルするのか。たしかにそれは判断力が鍛えられそう。これに20分。


 次にピボット&パス。これはわかる。ピボットをして5秒間ボールをキープして、パスをする練習。これに10分。


 それから10分クールダウンして……。


 ハンドリング練習を10分。


 そこから残り60分は、ゲーム……つまり試合形式の練習。


「ゲームが多いんですね」


「ん、あぁ、そうだね。さっきも言ったけど、うちは子どもたち自身がゲームメイクするのを大切にしているんだ。あ、基礎練習だけの日もあるけれどね」


「基礎練習の日だけはどんなことするんですか?」


「ハンドリングやドリブル練習が半分。あとはディフェンスが半分かな。筋トレメニューを追加する日はあるけど……君にはまだ早いかな」


 筋トレメニューはたしかに俺にはまだ早い。変に筋肉をつけてしまえば、うまく身長も伸びてくれないらしいし。


「今日は見学だけの予定でしたが……よければハンドリングだけでもはまっていきますか?」


「良ければ。いいな、一斗」


「うん。お願いします!」


 やった。名門チームの練習を見れるだけでもありがたいのに、一緒にやらせてくれるなんて……。


 太っ腹だな。


 安原だけど。

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