1話 魔王、元魔王になる
『先輩あなたの時代はもう終わったんです……』
私は魔王コバルトこの国を治める王であった、だが信頼していた部下の一人にやられてしまった。あいつはいい奴だったいつも隣にいたそれなのになんで……と思ったりもしただが今更考えたところで仕方がない、それよりも今考えるべきはこの見慣れない景色のことである。
ここに来てからいろいろとおかしいところがある。それは今までのように魔法が使えないということである。一切使えないわけではないんだがそれこそ子供のような魔法しか使えん。そして文字が読めんこんなことは初めてだった。ただここがどこなのかが気になったのでそこら辺にたくさんいる人間どもに聞いてみることにしよう。
『おい、そこの人間ここはどこなんだ』
『は、はい? ここは渋谷ですけど……』と素っ頓狂なな声で答えてくれた。だが私は渋谷という地名を聞いたことはなかった。そもそも私が国王をやっていたときにはこんな高い建物がある街など聞いたことがなかった。
そこで一つの仮説が頭に浮かんだ
『ここはもしかして異世界というものなのか』と元いた世界でも異世界から人呼び寄せる魔法があったはずと思い出した。もしそうなら私の魔法でもとに戻ることができるはず、ならこの世界を見ていろいろな技術を持ち帰るか……
『よしそこの人間ここを案内しろ』
『えぇ…』