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続、小説・人狼ゲーム  作者: iris Gabe
出題編
4/10

4.二日目の出来事

 二日目の朝


M「皆さん、よく眠れましたでしょうか?

 昨夜はなんと死者が一人も出ませんでした!

 さあ、皆さん、お昼の議論に移ってください」


 しばらくの間、誰も話し出そうとはしなかった。我慢しきれずにエリカが口を割った。

E「えーと、誰もしゃべらないようだから、私が進行役になるわよ。

 じゃあ、春の間に泊まった三名の方から昨晩の状況報告をお願いします」

B「はい、リョウタ君もピイスケ君もみんな良い子でした」

E「あんた、本当におじいさん役が嵌まっているわね」

 エリカはボスを見ながら苦笑した。

R「はい、おじいさんのいうとおりですよ」

P「同感です」

 リョウタとピイスケの返事は素っ気なかった。

E「じゃあ、夏の間に泊まった三人のご意見は?」

 エリカがグレイに目を向けた。

G「ええっとですね……」

 グレイが、しどろもどろになった時だった。革ジャン姿のクイーン氏が、一歩前に踏み出すと、こういった。

Q「私はドロシーさんをブロックしました。彼女は狼です!」


 思わず、私とチイは顔を見合わせていた。仰天の発言であった。早速私は、グレイに確認の秘密会話を送った。

I『アイリスです。グレイさん――、昨日ブロックしたって人って、ドロシーさんじゃなくて、クイーンさんだったの?』

G『いや、変だな……。確かにドロシーさんを襲ったつもりなのですが……』

 グレイはまごまごしている。

I『そんなあ。あんたはっきりしなさいよ!』

 私はグレイをなじった。

C『待ってください。

 クイーンさんが、偽ブロックを宣言したのかもしれません。ひょっとしたら、チャンスかもしれませんよ』

 チイが口を挟んだ。


 クイーンの発言には、広場の参加者たちもどよめいていた。肝心のドロシーは、真っ青になって硬直している。

D「そんなあ……。私がグレイさんをブロックしたんです!」

 ドロシーは大声で叫んだ。

E「なんか、わけわかんないけど……。

 グレイさん、なにかコメントある?」

G「はい、ドロシーさんは嘘をいっています! 私はドロシーさんを襲ってはいません」

 グレイはきっぱりといい放った。広場は騒然としている。

H「これじゃあ、三人の誰を吊るせばいいのか全然わからないわね」

 さり気なくヒミコがいった。

 その後も会議は続いたが、そのほかの宿泊所である秋、冬、松の間からは、平和だったという発言以外に、特にこれといった意見は出てこなかった。議論はもっぱら夏の間での三人の喚問に費やされたが、いずれも決め手に欠けたまま夕方の投票の時刻となった。



 二日目の夕刻


M「では、本日の投票に入ります。投票の順番は今からサイコロを振って決めます。はい、決まりました。順番は……、アイリスさん、ピイスケさん、シノさん、フォックスさん、ドロシーさん、グレイさん、リョウタさん、アメンボさん、エリカさん、チイさん、ヒミコさん、クイーンさん、ボスさんでお願いします。では、どうぞ」

 ミスズが指示をした順番で、各人は投票をはじめた。

I「はい、ドロシーさんに投票します」私がいった。

P「クイーンさんです」

S「グレイさん」

F「ドロシーさん」

D「グレイさん」

G「ドロシーさん」

R「自分に投票です」リョウタがはきはきとした声で宣言した。

A「クイーンさん」

E「クイーンさん」

C「ドロシーさん……」チイは申し訳なさそうにドロシーを見つめていた。

H「ドロシーさんよ!」

Q「ドロシーさん」

B「ボスに投票です」老人は無関心な表情で答えた。

 こうして十三名の投票が終了した。

M「ドロシーさんが六票ですので、ドロシーさんを本日は集団暴力リンチで処刑します」

 このゲームの最初の犠牲者はドロシーだった。


M「続けて、二日目の部屋割りに移ります。指名の順番は、クイーンさん、リョウタさん、エリカさん、チイさん、フォックスさん、ヒミコさん、ボスさん、アイリスさん……でお願いします」

 次は夜の宿泊相手を決めるイベントだ。二日目以降の部屋割りは、原則二人部屋で決めていく。さらに人数が奇数の時には、最後に残った三名が同じ部屋で泊まることになる。

Q「では、フォックスさん。よろしくお願いします」

 クイーンがフォックスを指名した。

F「はい……」

 この時フォックスは幾分ひきつった表情をしていた。

R「僕は、アメンボ兄さんでお願いします」

 リョウタが無邪気にいった。

A「はい、了解しました」

 アメンボも返事に覇気がなかった。

 次はエリカの指名だ。

E「チイさん……。よろしくね」

C「はい、よろしくですう」

 チイはニコニコしている。

H「私の番ね。じゃあ、グレイさんを指名よ」

G「えっ、私ですか?」

 グレイも意外そうな顔だ。

M「次の指名はボスさんですね。どうぞ」

B「はい、じゃあ……、アイリスさんでお願いします」

 少し考えてから、ボスは私を指名した。

I「はい、よろしくです」

M「部屋割りが確定しました。残ったシノさんとピイスケさんが同居してください」


 二日目の部屋割りは以下のとおりである。

 (春の間)クイーンがフォックスを指名した。

 (夏の間)リョウタがアメンボを指名した。

 (秋の間)エリカがチイを指名した。

 (冬の間)ヒミコがグレイを指名した。

 (松の間)ボスがアイリスを指名した。

 (竹の間)シノとピイスケが同居する。

 本日の死者は、ドロシー(集団暴力死)のただ一人。

 狩人たちの到着まであと残り六日である。



 二日目の夜


 松の間の扉をボスが開けた。

B「さあ、アイリスさん、どうぞお入りください」

I「はい……」

 私は虚ろに返事をした。

 というのも、私は悩んでいたのだ。私にはまだパスが一つ残されている。パスをすることで、この老人を襲わないで今日は過ごせるのだ。ただ、パスを消費してしまえば、次の日からは否が応でも同居人に噛みつかなければならなくなる。たとえ、その人が祈祷師だとしてもだ。だったらいっそのこと、今日この老人を襲ったほうがよいということなのか?

 いや待て、アイリスよ。もしこの老人が祈祷師だったら、私はここでかえりうちにあって殺されてしまうぞ。即、ゲーム離脱となってしまう。果たしてこの老人は祈祷師なのだろうか? 彼と昨晩いっしょに泊まった同居人は、ピイスケとリョウタか……。

 あーん、だめだー! ちっともわかんないよー……。

 私がさじを投げようとしていた時だ、ずっと黙っていたボスが小声で話しかけてきた。

B「あのお、アイリスさん? 今晩はいっしょに泊まれて光栄です」

I「えっ、そうですね……」

 なんの意味もない挨拶に私は恐縮した。

B「あの、アイリスさんは村側ですか? えっと、私は村側なんですよ」

 へー、この人、自分から村側だって宣言してきたよ……。真実かどうかはわからないけど。

I「はい、私は今回のゲームでは村側です」

 私は軽くうっちゃっておいた。

B「アイリスさん!」

 突然ボスの声が大きくなったので、私はビックリした。

I「はい……、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたもんで」

 私は素直に謝った。

B「アイリスさん、実は今の僕は……、ゲームなんてどうでもいいんです!」

 ボスがいった。

I「はぁ……?」

B「アイリスさん。僕は前回のゲームで、貴女のりりしいお姿を拝見して、その、なんというか、貴女の聡明さと明るい笑顔にすこぶる惹かれまして……」

 ボスが一歩近づいてきた。

B「あの、アイリスさん……。僕は貴女のことが好きです。どうか結婚をしてください!」

 なにをいっているんだ、この人は……。私の頭の中は混乱を窮めていた。

I「あのお、結婚って、どういうことですか?」

B「ネット世界での結婚です。バーチャルとはいえ、ちゃんと仲間を集めて結婚式も挙げます。それから、新婚旅行もきちんとするし、結婚後は新居を購入して幸せな家庭を築くのです!」

I「……」

B「僕はこの世界ではかなりお金を貯めていますから、普通の人では購入することが困難な豪邸も買うことができます!

 あっ、それから、もしこんな僕の老人キャラが嫌だというのでしたら、ご安心ください、いつでも貴女の好みのキャラに修正いたしますから。

 もともと、リアルの僕は今年の誕生日がやって来てもまだ二十九歳でして……、実はまだ二十代なのですよ、じいさんキャラはバーチャルの世界での仮の姿に過ぎなくて……」

 ボスはひたすらしゃべり捲くっていた。


 やがて夜も終わりに近づいた時、人狼仲間から秘密会話が送信されてきた。

G『こんばんは。アイリスさん』

I『あっ、グレイさん……』

G『どうしました、元気がないみたいですよ。ところで、同居人のボスさんはどうしました?』

I『うざかったので噛みました!』

 素っ気なく私は答えた。

G『ああ、そっ、そうですか……』

 グレイは返事に困っているようだった。

 グレイは今度はチイに声をかけた。

G『チイさんは今晩どうされました?』

C『はい、チイです。同居人のエリカさんですけど、不気味なくらい落ち着いていたので、噛むのは止めました。グレイさんは?』

G『私も今晩は噛むのを止めました。ヒミコさんがひょっとすると仲間の狂人かもしれないと思いまして』

I『ヒミコさんが自分から狂人だといったの?』

G『いえ、村側だと証言しました。ただ、昨日の投票で決め手を放ったのが、たしかヒミコさんでしたよね。だから、もう少し様子を見ておいたほうがよいと判断しました』

I『昨日の集団暴力リンチ投票で、ヒミコさんが決め手を放った?』

G『あれ、気づかなかったんですか? 昨日の投票を思い出してください。

 指名順で最初のアイリスさんから九人目のエリカさんまでは、各人が票を分散させようとしながら投票が進んでいます。つまり、そこまでは皆さんの行動は自然なのですよ。次のチイさんの投票は、私たちの立場として当然ですよね。

 問題は十一人目のヒミコさんの投票です』

I『なにか問題があるんですか?』

G『大ありです! ヒミコさんの投票でドロシーさんの吊るし上げが確定してしまったんですから。

 あの時、ヒミコさんは票を割ろうと思えばできたのに、そうはしなかった。この行為は妖狐や狂人が取りたがる類のものです』

I『でもヒミコさんに、ドロシーさんが人狼でなかったことが判断できるかなあ? まだ、情報が不足し過ぎてない?』

 私が疑問を投げかけた。

C『私もそう思います。ヒミコさんは、あんまり考えないで、とにかく誰かを吊るし上げたくて票を投じた可能性が高いと思います。

 彼女は前回のゲームでも、人数を減らす行動が好きでしたよね』

I『チイちゃんって、いつも冷静なのね……』

 私は感心した。

G『じゃあ、今晩の結果ですが、私とチイさんがパスを消費してしまいました。アイリスさんにはまだパスが残っていますね。翌日の会議では、吊るしの候補者に私とアイリスさんがあがるでしょうから、ご協力お願いします』

C『了解です』

I『了解です』

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