酒よりもキマるもの
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛よりのコメディーです。
基本的に、酒はあまり好まない。飲むとしても、少しづつ、少しづつ、ちびちびと嗜みながら、ゆっくりと酒精を体に馴染ませる様な飲み方をする。だから基本的に悪酔いはせず、酔ったとしても、少しばかり眠そうな目で、口数が減る程度である。
そうして飲み会帰りに彼奴を出迎えると、しっかりとした足取りで、素面を決めて俺の顔を見た。
「おかえり」
「うむ。ただいま」
少しだけ巫山戯たように返事をしたのは、単純に酔いが回っていたからかも知れない。見掛けからは想像付かないが。
「どうだった」
「楽しかったよ。皆良い人だし。いっぱい食べたし。でもお酒はやっぱり苦手かな。悪酔いしない分、眠くなっちゃう。お布団が欲しいね」
そう言って、俺の横を通り過ぎて脱衣所へと向かう。眠る前の湯浴みと言ったところだろう。
そうして寝る準備を整えた彼奴は、枕元片手に布団とへと潜り込んできた。そっぽを向いていると、脇腹に女の指が絡み付く。そうして背中に顔を押し付けて、擦り付ける様に頬擦りをした。
「酒はキマらならないんだよね。私がキマるのは、基本的に匂いと雰囲気だから」
そう言って、背中越しに物凄い濁った音が聞こえてきた。ずごっ……ずごごご、ずごーっ、ずご………ずっ。……形容し難い吸引音。吸い込みの悪い掃除機のような音を立てて、安眠を妨害しにかかる。やたら涼しくなった背中に向けて、ポツリと一言。
「いや、酔えないからって俺を吸うなよ……」
「いやいや〜。酒よりもキマるよ、君の匂い。後もう一つは神社かな。彼処は本当にどんな酒よりも気分が高揚する。跳ね上がって、『最高ですっ!!』って御祭神に申し上げたくなるほど」
そう少し浮ついた声で、帰ってきた。それからまた歪な音を立てて俺に吸い付くと、漸く満足したのか静かになる。どうやら眠りに落ちたらしい。
朝目覚めると女の体が馬乗りになり、俺の胸元に頬を擦り寄せていた。
「良いね。何時も思うのだけど、目覚めた時に好きな匂いを嗅げるって言うのは」
そう、微睡むように微笑んだ。
基本、週一のペースで何処かの神社に訪れて、延々と匂い嗅いでる、少し変わった楽しみ方をしている人間なので、酒よりもキマります。
なんなら御祭神にしがみついて、音を立てて吸います。
なんだかんだで許して下さりそうなので、離れません。
『うーん。でも嬉しそうだし……』って。
そうしてカーニバルの道化師も顔負けの飛躍力で、内心跳ね回ってます。
※書いてて分かる、不敬さ(´・ω・`)
これの恋愛ネタがこれです。
明日も何処か吸いにいきます。
不敬ですね( '-' )