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ライフル暴走  作者: 河田 げんずい
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3章 筑波の作戦③

約30分で逮捕状が下りた。

逮捕所は裁判所が出しているものだ。昔は、いちいち証拠となる資料や申請書を裁判所に持っていく必要があったが、今はそうしなくてもよくなかった。必要データを送ればいいだけだ。以前のように直接持って行く事もOKだが、そうする人間は激減した。

警察官は忙しい。省ける手間は省きたいものだ。

いまや、逮捕状もデータ化されている。逮捕時にタブレットpcの画面を容疑者に見せるだけでいい。もっとも、なぜか印刷したものを使いたいアナログ好きな警察官もいる。そういう人は印刷して見せている。他の警察官から見ると印刷する手間が無駄のように感じられるが、紙の逮捕状にこだわりがあるらしい。

犯人五十嵐徹の家は、警察署から車で30分の地点にあった。平日の夜だった為に、特に渋滞もなく、目的地にたどりついた。

現在、午後11時10分。逮捕には海道・筑波だけでなく、警察官計30名が動員されている。

通常の犯人なら、わざわざこんな人数は必要ない。しかし、コンピューター関連の犯人の場合は、自作のロボットやら自作のホームセキュリテイなどがある場合もあり、非常にやっかいな事がある。

ロボットと警察官との対決というケースだってあるのだ。30名とは妥当な人数だった。

海道は狙撃担当なので、隣のビルの屋上で待機している。既に、狙撃用の体勢になっており、いつでも狙撃可能だ。

逮捕をするのが一番だが抵抗された時の為の配置だ。射殺最後の手段で足などを狙っている。

五十嵐の家は一軒家。玄関にモニター付きインターホンがついている。このインターホン自体は、市販品だが何か改造しているのかと筑波は考えてみた。だが、どうもそれらしい様子はない。

迷った末に、インターホンを押す。呼びかけると、すぐに本人が出てきた。

筑波は逮捕状を見せて言う。もちろん、この逮捕状は紙ではなくタブレットpcの画面に表示されているものだ。

「ライフル誤作動事件の事は知っているな。その事件の容疑者としてお前を逮捕する」

強い口調の筑波。それに対して、五十嵐は、まゆをひそめる。

「えっ、何のことですか」

「とぼけるな。警察のデータベースへハッキングしてきたパソコンを調べると、お前の家のパソコンだと判明した。お前は一人暮らしのはず。よって、犯人はあなただ」

「私のパソコンから、そんなはずはないですよー。だいたいハッキングなんて、コンピューターに詳しい人間がやることでしょう。私は詳しくないです」

「言い訳をするな!証拠があるのにシラを切るとは・・・。詳しい話は署に戻ってから聞く!」

筑波は五十嵐の手に手錠をかけた。抵抗するのかと思ったが、それはなかった。しかし、言葉の抵抗はしてくる。

「ま、待ってください。これは何かの間違いです。私は犯人ではありません。信じてください」

「君の話はきちんと聞こう。ただし、取り調べ室で」

筑波は無理やり車の中に五十嵐をいれた。


思いのほか、あっさりと捕まった五十嵐。

海道はビルの屋上に待機していたが、待機してもしかたがないので、筑波の所にやってきた。

「なんだかやけにあっさりしていたな」

海道は筑波に話しかけた。

「確かにな」

「おかしいとは思わないのか?これほど大きな犯罪ができた犯人なら激しい抵抗があっても当然のはずだ。例えば、ロボットをたくさん出してきたりとか。それなのに、ない」

「いや、それは・・・。おそらく、我々がすぐに犯人の正体に気づくと思わなかったからだろう。犯人が使ったのは、ログ削除ソフト・・・いわば万能ソフトといっていい代物だ。

捜査が始まった時点で我々はその存在すら知らなかった。たまたま別の事件の捜査でそういうのがあると知ったから、なんとかなったのだ。偶然に助けられて、犯人が判明したのだ。通常なら、絶対犯人逮捕までいたらなかったはずなのだ。犯人は油断していて当然だ」

筑波の言うことも理屈にはなっている。しかし、何がおかしい。

警察署を出る前に抱いていた疑問だが、犯人逮捕でさらに、その疑問が増した。

疑惑は確信にまで成長していると言っていい。

海道は決して、直感で物事を考えるタイプというわけでないが、たまに直感で物事の本質を見抜く。

「本当にこいつが犯人なのか。狙撃銃のスコープごしにこいつを見た時に、悪意というか犯罪者特有のにおいというのがなかった。遠くから離れていて、においというのもへんな言い方だが、やはり、何か違うのだ」

「犯人は他にいるということか?」

「そう思う。ただ、それが誰かはわからねえがな」

「考えすぎじゃないか。ログ削除ソフトいうとんでもないものを作って使った犯人なんだ。今までと違った雰囲気の犯人であってもおかしくない」

「いや、しかし・・」

なおも食い下がろうとする海道に対して、右手を出して、こういった。

「ストップ。そこまでだ。とにかく、署に戻ろう。まずは、取調べだ。先に帰っている」

筑波はそう言って、車に乗り、電源をオンにした。電気自動車なので、排気ガスは出ない。

2092年では公害を理由にガソリン車は禁止されていた。いまや電気自動車だけが自動車だ。電気自動車は当初、バッテリーの電気量が小さくて、その移動距離が問題視されていたが、技術革新によってバッテリーの小型化が進んだ。仮にバッテリー内の電気がきれても、電気スタンドでの高速充電で一瞬にして、充電できるようになっていた。

「どうなっても知らないぞ。冤罪とかでないのならいいのだがな・・」

海道は筑波の車が遠ざかるのを見ながら、つぶやいた。


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