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幸せの黄色いキッチンカー9 締めの一皿

 目が覚めた。背中が妙に熱いがこれヤガの背中か?

 まだ夜は深い。場所は宴会場だ。


「あ?」身体に毛布がかかってる。


 小さくか細い声で「ごめん。起こした」

 とぶっきらぼうにクラウが片手で毛布を掛けてくれようとしてた。


「いや、あんがとな」


「ん」と頷いて彼女は左足をびっこを引きながらキッチンカーの方に行った。良く見たらギブスというか歩行を助ける補助具というか防具みたいにも見えるもん付けてるんだな。となんとなく見てた。


 これ、俺が立ち上がったらヤガ起こしちまうかな。

 とか思ってたら懐にもなんかいる!? と気がついた。


 あ、ねぼすけか。じゃあいいかとお腹に触れたのでそのまま優しく撫でてやる。気持ちよく寝れる感じを心掛ける。場合によっちゃ飛び起き案件なんだが良く寝てる。……隙だらけだ。のんびり過ぎる。ああ、だからねぼすけかとなんか納得する。毛布で反応見えないけど。


 暫くもふっていたら、ねぼすけが起きた。やべ、触り過ぎたかなスマヌ。


 ねぼすけはもぞもぞと毛布から抜け出し大アクビとともに伸びをした。こちらを見上げてみゃあ♪ と鳴き何処かに行こうとしてる。ちょこちょこ歩きこちらを振り返る。また鳴く。……来いってか?


 どうするか、ねぼすけとヤガを天秤に掛けようとしたら秤があっさり壊れ高々とねぼすけが空を舞った。


 ヤガすまねぇ。せめて起こさないように毛布をかけ直してやった。ねぼすけを追うと行き先は鉄板焼のトコで店主か夜食を作ってた。


「何を作ってんだ?」


「あ、聖女さんいらっしゃい夜食いたずらをちょっと」


「俺の分ある?」


「そんな食べないですよね。ならまぁなんとか」


「まぁな」見慣れぬ料理だから気になった。俺の焼きそば…… じゃねーな。一部使っているけどなんだこりゃ。そばに……メシ? 焼きそばと米を混ぜて焼き直した焼き飯? にしちまってる。


「美味いのかそれ?」


「そばめしと言います。好みは分かれますが美味しい思いますよ。超炭水化物ですから! でもここからがモモたいむ! ですよ!」


 サービスサービスぅ!!と宣い


 ちゃらららららら♪ ちゃららららら♪ ちゃらららら♪ ちゃらららら♪ 〜♪ ちゃーちゃーちゃっちゃー♪ ちゃっちゃー♪ ちゃららん♪ ちゃっちゃーちゃー♪



 なんか歌ってる。冒険が野郎してただの地図を7つの使い方をして窮地を切り抜け最後は砂丘を地図で滑ってる様が見えたが気の所為だ。


 千切りのキャベツと一口大の豚肉と炒め、玉子焼きシートで包み。


「とん平焼き! です。なおかつこれをそばめしにオンした全く新しいナニカです!」


 傍らにいたクラウが「載っけただけじゃん。勢いだけで名前も無いんじゃ説得力無い」とバッサリだ。


 ふむ。クラウもモモと二人なら喋るのな。


「あいたー まぁ新作研究の度に名前を付けてたらキリ無いし! 無いし!」


「まぁまぁ取り敢えず食ってみようぜ? とん平焼きにそばめしだっけか? 美味そうじゃないか。でどっから新作なんだ?」


「……載せただけです」


「駄目なんじゃね?」


「あぐぐ。お、美味しければVやねん!?」


「そこまで言うなら。焼きそばは俺の作ったやつのの残りか。それと玉子切らして無かったか?」


「売りモンは使い切りました。こっちは自家用です。クラウのオムライス分を残していたので」


「そっち使ったら残り無いんじゃーねぇの?」


「……あ」


「モモ」と呆れた風なクラウ。


「よし、仕入れに行こう。予定に無いけど!」


「今まで予定通りに物事進む事あったっけ?」


「クラウを幸せにする!! その大目標は変わってないしブレてないからセーフ!!」


「私達がここに来た目的忘れてない?」


「忘れてないし瓢箪から駒だけど一日で予定の三分の一済んだ! あと五日ある。間に合わせるし急がば回れだよクラウ」


「仕入れに行ったら一日潰れる。私には余計な手間にしか思えない」


「待てお前ら何の話をしてやがる」

 どうにも得体の知れない会話に思えた。

 本当に商売の話か?


「……」不意に黙るクラウ。


「商売と仕入れの話でさぁ旦那」


「旦那は止せ。後、神官に嘘つくな舌抜くぞ」


「こわー 閻魔様ですかよ」


「たまにはそうだ」


 …………微妙な間が開く。


「モモ」


「何?」


「助けて貰おう」


「珍しいねクラウがそういうの」


「この人なら信用出来ると思う」


「なんでさ」


「モモに似てる」


『どこが!?』と店主と指を指しあった。


「そういう所?」


「そうかオレも成長すればあんなボインにッ!!」


「俺、お前位の時から胸デカかったぞ」


「誰がつるぺたすてーんか!?」


「いや、信用するなら話進めてくんねーかな」


 店主は乗って来たのはそっちじゃんかー!! とか言ってるが無視した。


 苛立ち紛れに取り分けて貰った料理を食べる。そばめしから食べた。味が薄いな。元の焼きそばに米を足して軽く塩胡椒しただけだからこんなもんかな。元の焼きそばが酒のアテよりだからそれと比べたら、だがそれでも美味しい味ではあるな。


 とん平焼きはどうかな。うんこれも美味いな。


「あ、たんま聖女さん」


「ううん? ああギンでいいよ。銀時ギンジだったからギンって名乗ってる。でそっちがモモでこっちがクラウでいいんだな?」


「はい。所で…… その親御さんの付けた名前無しっすか?」


「物心ついた時にゃ居なかったからな。自分で付けたんだよ。名前無かったから。地元のお偉いさんの名前と被ってるから失敗したかと思ってるが」


「そうでしたか。すんません。あ、それでですねソースをかけ忘れてるのとマヨネーズ使います?」


「マヨあんの? なんでさっき出さなかったんだよあるなら出せよ。ほれジャンプしろジャンプ」


「あーあんま量無いんです。つうかマヨカツアゲとかどんな聖女ですか貴女! え~っとサルモネラ菌のせいでいちいち毒見しなきゃならんし食べるならちょっと間違い起きても怒らない、同意が無いと出せない感じで。聖女さんなら間違い起きても治せるかなーって」


「いや治せるけどあんま神の奇跡を常備薬扱いすんのは感心せんな。それはそうと出すのだ。美味いもんは全部だすのだうはははー」


「ちょ、深夜なんでお静かに出しますから」

 マヨネーズとソースをかけてもらう。


「うむ。聖女は満足じゃ。話の方もカモンな?」


「へいへい」そこでモモはクラウを見てクラウは頷きモモが喋るらしい。


「俺達北のザミシュから来ました。目的は一つ」

 モモは辺りに人の気配が無い事を確認した。正確にはいるが寝てる。だから安全と判断したみたいだ。


 ザミシュ…… って事は南…… じゃなくて北の軍事国家か。南北反転してるからややこしい。南半球にあるから気候は変わらないんだが。北の方が赤道に近くて暖かいんだよな。だから地球の日本でならザミシュは鹿児島の位置だな。ここが熊本のきたの内陸側の端っこの位置でこの先は海を隔てて大分や福岡が近い。


「誘拐された故郷ホームの子供の奪還です」


「おいおい穏やかじゃねーな」とそばめしととん平焼きを同時に食う。美味いが話の内容が気になるから味わえない。ひょっとして後で食った方がいいか? でもなー ここでこ奴らへの協力惜しんだら食えなくならないかコレ? うーむ。


「よし。取り敢えず食うわ」


「ずこー」口で言って空中でコケやがった器用なヤツめ。


「ちょっ、ギンさんー?」


「話は解った取り敢えず腹拵えだ」


「そっちが話させた癖にー」


「そう思ったがマヨが加わると美味いはコレ。いい加減に食ったら勿体ない」


「それはどうも。あ、ごめんねぼすけ。今取り分けるから」モモの足元でねぼすけが頭を擦り付けて餌を強請ってる。


「餌いいもん食わしてんな。猫の餌はねこまんまかと思ってたが」


「基本的に良い肉ばかり食いたがるんで困ります。後、新作とか見た事ない料理も食べたがりますかね」


「好きな料理とかあんのかな?」


「オレが作る料理ならなんでも食べますからいまいち良く解らんのですよね…… 納豆ごはん食わせてみたら残さず食べましたし」


「すげぇな俺は食えん」

 玉子で閉じずに巻いたとん平焼きは食いにくいがこれはこれで利点があるな。バラバラにして食えるし合わせて食う事も出来る。ソースとマヨの量を変えるなら更に味の濃淡が生まれ沢山の味の組み合わせが出来てそこにそばめしが加わると味の選択肢が更に増える。


 なるほど口の中で味の組み合わせを楽しむ料理か。


 強めに炒めてクタっとしたキャベツが舌上の味を拭ってくれて水を飲まなくても新鮮な感覚で次が食える。肉の焼き具合もバラバラに調理したからか丁度いい。上手く焼けた焼肉の味だ。お好み焼きだとつい火が通り過ぎてしまう。野菜の火加減、肉の水加減は料理ではとても重要だ。

 豚バラをカリッと仕上げるのもベーコンみたいで美味いけどそれはそれ。


「美味い!! 酒もくれ」


「はいはい」





「……ごっそさん。さて改めて話を聞こうか。俺の結論から言えばお前達に協力する。だから全部ゲロれ」


「結論、早く無いです?」


「この街で人身売買があるんだろ。官憲の仕事だが犯罪があるなら見逃せない。ましてや子供の売り買い俺の前でやろうとは舐めてやがる」


 俺は諸肌を脱いで背中を向いて啖呵を切る。


「背なの我が女神、地蔵菩薩の名においてそんな悪逆無道は許しちゃおけねぇ!」


「いやいやいやいや、うら若い娘さんがそんな紋々背負っちゃ駄目でしょう……」


「こいつは前世の恥、宿業因縁だ。背負いたくて背負ってるワケじゃないが背負った以上半端はしねぇ!! 俺は子供の守り神だ!!」


 俺は立ち上がってモモとクラウを抱き締め両手で頭をワシャワシャしてやる。


『……』二人はびっくりしてる。


「わりぃ見た目が子供だからついな」


「いぇどうも大変結構なモノを」


「おっきい……」


「あん? そこは見るなよすけべ」


「すけべでーす♡」


「モモ、はしゃがないで」


「ご、ごめんて。しかし立派なモノをありがたやありがたや」


「モモ……」


「ちがっ、つい本音がそうじゃなくてブラとかしないんですか?」


「昔はサラシをしてたんだけど復活してから面倒くさくてな。ダレて緩んでま、いっかって。しかしこれすっげぇ邪魔だわ。これがなきゃ戦闘随分楽なんだがなぁ」


 そうだよおっぱいデブになったからヤガに負けたんじゃね? ……いや違う解ってんだが悔しいな。


「ちょっなんばしよっとー!? そんな立派な至宝保護せんと罰が当たるばい! このバカチンがー!?」


「人のおっぱいに執着すんな!? お前は俺の恋人か何かかっ!?」


「うるさい! 人類の至宝になんばさらしとるかキサマー!? おっぱいはなぁ? おっぱいはなぁ? 保護してやらなきゃ垂れるんだぞ? 胸の靭帯は伸びたら戻らんとの事よー!! ブラをしろ痴女めっ!! ブラをしなきゃお前を聖女と認めん!!」


「イラねーよ。なんで俺が女の下着つけなきゃならんのだ」


「今のオマエはオンナノコなのー!!」


「そんなに付けたきゃ自分に付けろよ」


 モモは膝をついた。自分の胸を抱き締めさめざめと泣いている。


「ああ、ええとなんか悪かったよ。そんな風にお前を傷つける気は無かったんだ。それにまだ成長期なんだから大きくなるってな?」


「そうかな?」


「そうだよ。魅惑のサキュバスボディがお前を未来で待ってる!」


 ぶるぶる小刻みに震え始めるモモ。


「うう、うう…… いやっ、いやぁ…… サキュバスいやぁ、ちんぽ駄目、ちんぽ嫌ぁ……」

 何故か頭を抱えてマジ泣きしてる。うっかり触れてはならん所に触れたらしい。


 意味がわからん。


「くっ、ちんぽになんか負けないッ!」


「なぁもしかしてお前、やっぱり実は種族がサキュバスだったりする?」


「ちちちち、違いますー!! サキュバスではありませーん! 誰が淫乱ですかぁ!? 何を言ってやがるんですかこの痴女ビッチ!? この作品をノクターンに追いやる気ですか!?」


「お前が何を言ってるのか本当に解らない。つか誰が痴女ビッチだゴラァ!?」


「自分の人生が誰かの作品かも知れないって考えた事無いですか? こう自分の読者にあぴーる!! 的な」


「カメラ目線止めろ、カメラ何かねぇ! 言いたい事は解らんでもないが話を逸らしまくるな着地点更に遠くなったろ! 後、痴女ビッチは訂正しろ取り消せ」


「ふっーふっーすいません取り乱しました」


「いやいいけどとにかく謝罪まではいいが痴女ビッチは取り消せ不愉快だ」


「いえ、言わせて頂きます。貴方は痴女ビッチです。貴女のような人を立てば猥褻 座れば卑猥 歩く姿は売春婦って言うんです!!」


「ほほう? つまりオマエは俺に喧嘩を売ってるんだな? そうなんだな?」


「チガイマスー理解れよもう! 中学男子一学年まるごと精通させそうな身体しやがってそのくせブラを着けないだと!? ありえんわ! この痴女ビッチが!誘ってんのか!? 性犯罪誘発者め!」


「え、ちょっと待てそこまで言われなきゃならん事か?」


「当たり前でしょーが!?」


「えー いやー 無いわー」


「ぬぁいわけあるか! 廻りの男連中がどんだけいたたまれない気持ちで普段接してるか解るか残念聖女!? それならまだいいが若い雄連中のオナペットだオマエは!! まちがいなく!! おい痴女ビッチさてはテメー処女だな?」


「ぶばぁ!? デリカシーとかねぇのかこのメスガキ!?」飲んでた酒吹いたわ!!


「痴女様に言われたくないですー 一度でも経験有ったら幾ら無自覚痴女様でも自覚するわなぁ?」


「なっ!? だったらお前は経験あんのかつるぺたすてーんの癖に!?」


「あるわけ無いだろおぞましい!! 有ったら相手が捕まるわ!! だいたいオレの処女はクラウのですぅー」


「要らない」クラウは絶対関わらない体で食事後のねぼすけをあやしている。いいなぁ。


「クラウー!?」

 モモは再度膝をついた。さめざめと嘘泣きしてる。


「致命傷じゃないみたいだし本題の方を進め……」


「待って!! 全部吐くからブラはして下さい。近日中に上下持って来ますから」


「いやあのな?」


「貴女の廻りの男性の為にです」


「サラシをするんじゃ駄目か?」


「面倒くさくなったんでしょう? ブラジャーのが楽だし貴女は女性だから恥ずかしくなーい」


「でも誰も何も言わないぞ?」


「仮にも聖女で英雄の貴女にそういうの進言出来る肝っ玉の神官さんいらっしゃるんで?」


「ハッキリ言って聖女様。貴女のそれはセクハラです。もし貴女の前にブーメランパンツではち切れんばかりのブツをブラブラさせている破廉恥漢がいたらどうします」


「そりゃ見苦しいからぶった斬るな唐竹割りに」


「でしょう? 自分もそんな輩ドラゴンブレスぶち込みますよ」


「なるほど気持ちは解った。だがどうやって?」


「……へ?」


「だからどうやってドラゴンブレスぶち込むんだ」


「えっ、えっーと、き、気分?」


「ほほう? お前は気分でドラゴンブレスぶち込ムンだな?」


「そうだ! こう物を投げてドラゴンブレスとか名付けるんです! 必殺技です!」


「……まぁいいや。死ぬほど怪しいけど一旦置いとこうか」


「ほっ」


 コイツ本当にやりそうだな。やり方は解らんが。

 郊外に伏兵ならぬ伏龍をしてるとかか?

 人に化ける竜の話も聞くがコイツは竜にしてはこう凄みがなさ過ぎる。


 解らん。


「じゃ聞くがなんで此処でお前達屋台やってんの?」


「情報収集の為です。自分ら酒場とか入れませんからなら自分で開こうかと。後はおとりですね。

 なので、すわ当たりかと思ったんですが別の大当たり引きましたね。運が良すぎる。いっそ作為を感じます」


「ああ…… なるほど解る気がする」

 さては女神さんが仕組んだな。運命の女神にナシつけて。まぁいつもの事だが。


 だがそうすると…… これはかなり不味い事になったかもしれん。善側の神がしとを揃え始めたって事だ。そして喚ばれるなら喚ばれるだけの実力がコイツらにはある事になる。


「女神の導きに感謝を。でですね多分奴等は外の国に船で輸出するつもりです」


「船で? 危なくないか?」


「浅くて近いルートを狙うつもりでしょう。それなら大海魔は出ないから対処は可能でしょうし。となると渡るだけで航海まではしないでしょうから行き先は近場だと思いますよ。最近船の性能上がってるみたいですし行けるんでしょうね」


「ふーん。じゃお前等はどうやって渡ったの?」


 船の性能向上に時代の流れを感じつつ素知らぬ顔で聞いた。


「ああ、それはふごー!?」

 モモがクラウに口を右手で塞がれた。


「船で渡ったの干潮の時に」

 とクラウが言った。やや警戒してる顔。おやおやまだまだ青いネ。口を塞いだ時点で手遅れだけど。


「なるほど?」

 つまり別の手段か。あれ? じゃあ本当にドラゴンビンゴかコイツら? 自分も内心の警戒度を上げつつ。


「じゃあノコノコ付いて来たのは……」


「港湾労働者が抱き込まれてると踏んだんです。

 この街の港湾労働者の組合は三組」


「でこの組の感触は?」


「シロですね。正業一本でやってんでしょう? だからお金ないし後、後ろ暗い所があんま無いのか組内の空気がカラっとしてます。ああいうのに手を染めるヤツはもっとこうジトっとしてるもんです」


「同意だな。となると五日ってのは出航日か」


「天気次第ですが組合束ねてる大組合ギルドに尋ねたらそう答えられました。闇で船出されたら解りませんがあえて怪しい事するとは思えないので多分嘘つくなら積み荷だけかと」


「それも道理か。読み違えた時の対応はどうする」


「どうにも。こっちも神様じゃないんで。幸いなのはまだ道の途中だと言う事です。目的地に着いたワケじゃない」


「なるほどなまだ積み荷の無事は保証されてるワケか」


「それも希望的観測ですが。苛烈な虐めがある可能性は有ります」


 俺は一つ頷いた。


「こんだけ急場なのにわざわざ仕入れに行くのは何故だ?」


「珍しい食材のが人目を引きやすいですから山の物を仕入れたいんです。目玉商品がなきゃ、一限の御新規を開拓してくれる人は少ないので」


「道理だな。けどそれだと情報収集出来ないだろ?」


「ええ、だから痛し痒しなんですよね。とりまもう一個調べたら残りの組の倉庫を強行するつもりでした。それで五日なら間に合うかと」


「ふぅむ。ヤガ、どう思う?」


「そうですね」


「うわぁ!? どうしてここに!!」


「いや、あんだけ騒げば起きるさ。かなり怪しい話してたし、おい!」とヤガは呼びかけるとかなりの数が起き上がってきた。


「その話自分達も乗っていいんですよね? いや乗らして下さい。ウチの港でそんな勝手な真似させてたまるもんですかい!!」


「そうだ!!」「人身売買だ? そんなん許せねぇ! そうだろ皆」『応!!』「痴女ビッチイェーイ!!

 」


 そんな風に組員共が大盛り上がりで意気軒昂……。

 大変結構けっこ……。

「ってちょっとマテ最後!? どいつだゴラァ!?」


『ひぃ聖女ちじょ様が怒った!!』と蜘蛛の子を散らすように逃げた組員を端から踏んでけつを蹴っ飛ばしてやった。


『理不尽!!』


「連帯責任だッ!!」まぁ仲間売らなかったのは評価しよう。俺はヤガを売って命を永らえたけどな! いやだってなぁ? オンナのウラミほど買いたくないモン無いからな!


 そこはかとなく連中が嬉しそうなのはどうしてくれようか。ヤガのヤツは腹を抱えて笑ってやがるし。


 ヤガが言う。「この件で情報持ってるやつ。気になる事があるヤツは言ってこい。些細な事で構わない。そしてこの事は他言無用だ。後、他の組に不必要に近づくな! お前らの演技力はアテにならん。警戒させたら意味がねぇ。俺が命じたヤツだけ動いて貰う最後のカチコミは……」


 ヤガは俺を見た。


「そうだなカチコミはヤガ突っ込ませるからお前達は外の囲み頼むわ。危ない奴等が出るかもしれんから逃がさない事を重視で頼む。ヤバいトコはこっちの強いのを当てて行く方向で命大事に、でいいか」


 と言ってモモに振る。


「こっちは拐われた子さえ奪還出来ればそれで良かったんですが…… まぁいっか」

 そう言ってクラウを見るモモ。クラウは「うん」と頷いた。


「やる気になってるのに水を指すのは野暮ですし、ここまで知って出番が無いってのもどうして座りが悪いでしょうしね」


 まぁ正義感に駆られて突っ走られるより出番を与えた方が抑えが聞くだろうしな。


「じゃ、こっから作戦会議な?」


「解りました」「うん」とスパルタソ組が了承し


「まぁ、その前に全員に一杯くれや?」


 と俺は話のコシをもう一度へし折ってやった」

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