幸せの黄色いキッチンカー7
場所の指定が無かったので5冒頭に追加アリ。
場所は親分さんの家兼事務所と表の広い通り。港にほど近い倉庫街の一角だ。夕刻通り越したので篝火なんぞ炊いている。
外にはスパルタソ号が停まり簡易の宴会場が整えられてる。
昼飯なんかも此処で食うので食堂と厨房なんかもあるが流石に全員は入れない。人を分けるかどうか悩んだがまぁ全員一緒が良かろうと外にみんないる。食堂は飲み過ぎて動けなくなったのの休憩所とかになるだろうか。
お好み焼きが出来たッ……。
聖女の俺が作っているから縁起モン扱いなのかハケはいい。
「うめぇ!」
反応も悪くないようなので気をよくする。
「ウシッ」小さくガッツポーズで俺も捨てたもんじゃねーなと独りごちる。
か大きなミステイク。焼きそば、お好み焼きと味の加減を見るために味見しちまった! ぐおおぉぉ! 俺、店主のメシ食いてーんだがな……。
酢豚に八宝菜に回鍋肉、旨げな町中華が続々運ばれて行く。なんか海老のヤツが美味そうだ。
レバニラ! レバニラいいな! レバニラあれで食い納めしようか……? 油通しされてパリっとした表面にタレが絡まり照りがやばい。
麺が切れた。玉子も切れたのでそろそろお役御免かね。と思ってたらステーキ肉が来た。
「サイコロステーキ焼ける?」とクラウが持って来たので「任せとけって」快諾した。
これも美味そうだなぁ。ヤガお前は最後だ食い尽くされたらたまらん。
てなわけで肉に塩胡椒を振りサイコロステーキを焼き女房衆がサーブしていく。
「姉御! 自分らにも下さい!!」とチンピラーズが来たので皿に盛ってやる。
『ありがとうございます。ああ、うめぇー!』
素直な感想結構だがそこで感想同じじゃモブキャラを卒業出来ないよチミ〜。
そんな感じでチョーシに乗る俺。
「フハハハ俺を崇めよ! 尊敬を込めてサイコロステーキ先輩と呼ぶがいい!」
「ぶはぁ!?」と店主が吹き出し、チンピラーズが
『サイコロステーキ先輩!!』と唱和する所でトドメが入った。
……なんか今、面白いトコあったか?
思い出し笑いだろうから多分知人に居たのかもしれない。覚えてたら後で聞くかね。と絶対やろない前フリを自分に振ってたら、ふと気が付くと白い毛玉が足元に擦り寄って来ていた。
お? これは件のねぼすけ氏ではないか?
綺麗な白猫だ。洋猫なんだろうか地球に居ない種だろうか見慣れた和猫ではない感じ。
にゃーにゃーと高い声で鳴くのでなるほど肉が欲しいのかと、この仔猫の口に入る大きさに肉をカットして手に載せて与えてみる。
ねぼすけは嬉しそうに高く鳴き肉を頬張った。
かわええ。
お代わりを欲しがったので追加でやる。
食べた。
……我慢出来なくて逃げる気なら逃げれるだろう速度、いや猫が本気になればどんなでも逃げ切れるだろうが。そんな速度で抱き上げると一切の抵抗なく抱きられた。頭を擦り付けて甘えにくるので猫の額をこりこり擦ってやる。気持ち良さそうにしてるので後頭部から背中にかけて一方向に撫でてやる。
いかん。なんだこの愛らしい生き物は!!
けしからん! けしからんから撫でまくる。
大変良い毛ざわりだがこれを楽しんでは猫道に悖る。あくまでお触りは猫様の快楽の為に!
ふわっふわっでもっふもっふ。ふもっふ!
頭から背中まで一方向撫で、鼻から眉間にかけて親指の腹でそっと上に撫で、口から顎先喉の辺りを親指と小指以外の指三本の腹で撫で耳の裏の辺り耳介ではない頭のトコを撫でる。
ふむ。欠片も嫌がらん。撫でられる事に慣れてるというか、こやつどんだけ甘えん坊なん?
猫を愛でるには自信がある方だがこれは凄い。
顔も撫でたいな。よし座るか。近くに椅子代わりに出してる樽に座りねぼすけを膝の上に。
両手で顔をむにむにともみくちゃにしてやる。
両手で口元から親指の腹でヒゲをなぞって外側に撫でる。腹を見せてるし何処までオーケーなのか興味が出てきたので腹を円を描く様に撫でる。
此処か! 此処か! 此処がええんか?
と撫でくるがあれもこれも全部オーケー……。
それならばと思い余って猫吸いの蛮行に及んだが特に抵抗されずにされるがまま。
ほどほどに満足したから顔を上げると店主が居た。
「こら浮気者、この淫乱猫め何処まで美人に甘えてんだ」
と膝のねぼすけを撫でてきた。
クラウも来て「ねぼすけがモモ以外に懐いてる。珍しい」と一言言ってから俺に手に持ったお盆からオヤツ? を手に取り一欠差し出して来たので口で受け取り「ありがと」と返したら「ん」と頷いて給仕に戻った。
ザクッザクザクと齧ればじゃが芋とチーズの味が拡がる歯触りなんとも官能的でこいつはビールに合いそうだ! 昔食べたポテトチップスの上位互換だなコレは。しまった。行かさず確保すべきだったぞ。
「もう、あんま甘やかさないで下さいね」
店主が声を掛けてきた。
「ふふっこの仔は俺を受け入れてくれてる。俺のごーるどひんがーにヤツはもうメロメロさ」お腹周りベビータッチで愛撫してやるといい感じに脱力してくる。
「むう、オレはコイツの母親役なんだから、ねぼすけ撫でるのは一日の長があります負けません!」
と言うから
「猫道ざっくり五十年、テクニックが違うのだよテクニックが!!」
と返す。
そんなわけでおっさん二人して罪のない仔猫を玩弄し凌辱した。
ねぼすけがビクンビクンしながら寝たのでソフトな感じに移行する。
「……まぁいいか。ねぼすけに新しい友達が出来る分にゃ」
と店主は納得したようだ。
「デザート食います?」と聞くので「頼む」と頷いた。暫くして持って来てくれた。
「“食べれるスライムのシロップ漬け旦那様の
愛を添えて……” なんちゃって。スライム饅頭の黒蜜きな粉がけです」
「なんだこりゃ? もしかしてわらび餅か?」
「ええ。さつま芋のでん粉で作りました。自分には思い出深い一品です」
「ふぅん。誰に作ってやったんだ?」
「とある高貴な美しい御婦人に。そん時は随分不出来な物を差し上げてしまいましてね。そっから結構精進しました」
「食っていいのか?」
「どうぞどうぞ」と勧められるままにお盆から皿を受け取り付いてたスプーンで一つ掬い食べた。鼻に抜ける酒精の香り黒糖の甘み、わらび餅のツルリと冷たい食感。
「へぇ! こりゃあ…… 焼酎か」
「はい。おんなじさつま芋から作った芋焼酎で黒糖を練りました。わらび餅自体の方にも入ってます。自慢のスイーツカクテルです!」
そう言われて見れば味に統一感がある気がする。
「ふぅ、こいつは美味いな! 酒も入って最高だ」
「そうでしょうそうでしょう。オレの得手はスイーツとおつまみですからね!」
「つまみってさっきのもか? アレも美味かったな」
「じゃがいものカリカリ焼き。オレの十八番です…… よ?」
急に黙った店主に「どったの?」と聞いた。
「あ、いやスゲェ、なんかデジャヴが……」
違うオレの…… じゃない? じゃあ誰の……。
と小さく呟く店主。彼女(彼?)も転生者なら過去の記憶がフラッシュバックしたのだろうか?
「大丈夫か?」
「あ、はいもう大丈夫です。喉元に小骨が刺さったような気分ですけど」
「それで誰の十八番だったんだ?」
「いや、解りません……」
「大方料理教えてくれた誰かとかじゃねぇの?」
「あ、そうかそう…… なるのかな? 誰だろう……」
「母親とか料理学校の先生じゃねーの?」
「そうですね。その辺でしょう思い出せないけど」
「気になるか?」
「多少。まぁ思い出せないのは思い出せませんし取り敢えずいいです。今はオレの十八番です!」
「だな」俺らにゃ良く有る事だしそれで納得なり自信なりあるなら結構じゃないか。
「ところでな。あのソースって売って無いのか?」
ふと思い付いた事を実行すべく店主に話を聞いてみた。




