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地走り番外地7

黒が逆上して暴れる暴れる。

が当たりまーせん。こっちも大した痛手は与えて無いんだが。


やっぱり微妙にジリ貧でイラつく。我にビバ火力。我が手に聖モーゼルを!! あ、やっぱ散弾銃で。


カタナでもいいや。


拳銃じゃ人間は殺せても不死者アンデッドは壊せない。


頭に来たので煽る事にした。


「どうした!どうした!当たらんぞ!ンっン〜?」


「このお!」


はっ! なかなかどうして不死者の癖に表情豊かじゃないか。これならワンチャン…… ねぇかな。無理か。これを説得というか納得させる方法が解らん。

死者に通じる現世のことわりを示す事が俺には出来ない。


あ~~ くそ。手がズキズキして痛ぇ。右は甲の骨折れてるなこりゃ。治すか。

ほっといても治るが手が使えないというのは戦術の幅が縮まる。手が使えないフリをしてもいいんだがそういう搦め手が必要になる手合いとも思えんし……


無詠唱で心の中で合掌し女神に加護を祈る。

自分の血中に溶けて循環する魔石を励起させる。

聖女の力は要諦は魔石との対話能力にある。

まぁ言葉が通じるワケじゃねぇんだが……


頼むぜちょいと力を貸してくれ!!


瞬時に骨折が整復され繋がる。


よし。


しかしどうしたもんかな。大技にかけるしかねーか?


コイツに効きそうな大技は二つ。不動明王剣と地獄門だが正直両方問題がある。


不動明王剣はお不動さん。一切正悪を消尽する不動明王の浄化の剣を拝借してぶった斬る技なんだが命中が剣の間合いなんだよな。重さの無いのが利点だが見た目がヤバいの引きずり出してアレがおめおめ当たってくれる未来が見えない。

当てるならなんかトリックプレイ工夫がいる。

後、維持が激悪。ダダでさえ魔力消費が重いのに俺の場合、地蔵菩薩経由で加持頂くので神様二柱分魔力持ってかれる。


中抜きエグいて。


地獄門は文字通り地獄の門を召喚し死者の魂を地獄の裁判にかける術。なのだがこっちも問題が山積。


まず召喚するのは門なので相手を出廷、門の内側に入れなきゃならん。しかし俺は生者なので入るのは禁止されてる。なので相打ち気味に纏めて入るという戦術は取れない。一度入って小野サマにえれえ怒られた。

地獄は生者の入る所ではないと。


いや、だったらアンタはどうなんだよ? とか思ったが流石にツッコまなかった。こわいもん。


そんでこっちは確勝を約束しない。なんせ裁くのは人の法ではなく神の法だ。コイツは有罪ギルティと思って送還したら管轄外(まだ生きてる)とか半神でやっぱり管轄外とかそもそも無罪とか言われかねないケースも無くはないのだ。ぶっちゃけ博打なのであんま使いたくない。


そんでこっちも門を喚ぶだけで魔力を丸切り持ってかれる。後が続かない。


正直ただの打撃だけで勝つには苦しい相手だ。なんか選択しなければならないが勝ち切るラインが見えはしない。


が悩んでも仕方ないなんとか発動を誤魔化して不動明王剣を当てようと右手に刀印(人差し指と中指だけを立てて)を結び半身になり隠す。これで誤魔化されてくれんかな?


こちらの新しい構えに黒は警戒を見せる。


いかん箭疾歩見せたのは失敗だったか。

今まで受けに回っていたのにこっちから間合いを詰めたのも不味かった。こいつ賢い。


それは成長の余地があると云うこと。厄介な相手になるかもしれない。逃したくない。ここで詰め切ってしまいたいが……


逡巡の中、


「あ!」


「あ?」


「ゲッ!?」


三種三様の反応の元、店主が路地から現れた。

立ち位置的に俺、黒、店主。最悪。


一瞬の思考の空白の後、最初に動いたのは黒だった。


「チィィ!!」


愉しい遊びを邪魔された子供のように、いやまんまか。跳ね跳ぶように目標を変えて店主に黒は襲いかかる。


「えっ……」

眼前に迫る小さな影に死の気配に漸く気づき店主は呆然の声を上げる。


やっべぇ!! どうする? 使うか? 子供相手に? ああっ畜生間に合わねぇ!? 使う!! 間にあえ!!


出際に準備して爺には丸わかりと揶揄された仕込みを使う。いや爺が解るのがおかしいんだって。懐からそれを一息に引き抜き投擲する。

一つ! 二つ! 三つ!!


手裏剣だ。鏢、という中国の武器だ。大陸時代の仲間の陰気な男から習った。そいつのは拳銃より疾く狙いもそれこそ針の穴を刺すほどだったが俺の方は…… まぁ察してくれ。一応実戦で使えるだろうという程度にはなったんだ。


ぶっちゃけ銃のが当たる。


誤射が怖いから足元を狙う。対不死の祝福儀礼込みのシロモノだ。当たれば効く。そのはずだが黒は動物的な勘を働かせマシラのごとく躱していく。


畜生!


「躱してんじゃねぇ!」

追加でばら撒き弾幕で黒を店主から追い散らし身体を割って入れる。


「大丈夫かっ!?」


「あっはい! 大丈夫だです!」


噛んでる辺り大丈夫なんかなー? とは思いつつ流す。尻餅ついた店主が視界の外で立ち上がる気配がした。


ざっと店主の戦力評価をする。華奢な十代の女の子下手したら一桁。反射神経、運動能力、筋力、武装全部無し。


論外。


彼女、彼?の手元には白猫のねぼすけ。更にマイナス査定。


結論。保護対象、足で纏い。


状、況、悪、化!


ヒャッハー運命の神様ありがとう! 死ね!

このクソ面倒な時に!!厄ネタ放り込んで来んな!!


「武器使うとかズルい!!」

黒が子供のようにぶうたれる。


「うるせぇ! そっちこそ他人巻き込んでじゃねぇよ!」


「別にいいじゃないか、玩具は多い方が愉しいよ?」


「このやろう!?」

あ、うん、まぁ向こうの理屈じゃそうなるかもな!? 反論出来なくて逆上しといた。


「応援呼びます!」止める間もなく店主が何処に持ってたか呼子を吹いた。


「あ、ちょっ……」


状況がまた変わる。


鏢を手にしたまま牽制、黒と相対する。


「後一発か……」構えた手元の鏢を横目に見て呟く。


黒はニヤリと鮫のように嗤い低い姿勢でまた飛び込んできた。低い!やっぱ射角が合わねぇ!? 点で合わせるのしんどいって! それでも持ったまま接近戦に持ち込まれたらそっちのがヤバい!!


たまらず撃たされるが…… 躱される!?


コノやろッ!? と迎え撃つが黒の本体と違う殺気を感じて身を翻す。


耳の裏で風斬り音を聞きそれがナニカ理解する。


俺が投げた鏢だ!!


行きすがら地面から回収して投げつけやがった。


「あぶないあぶない当たるトコだった♪それに惜しいあと少しで当てられたのに…… こういうのも面白いね?」


両者の投擲と回避の結果、黒の突撃は避けられた。


「あーそーデスカ。楽しんでくれて結構だよ」


いや、違うな。


遊ばれてる!! 今のは追撃しようと思えば奴の方は出来た。こちらは不意を付かれたが向こうはこちらの投擲は織り込み済みだった。


むっかー!? 


店主が口を開く。

「ひょっとしてオモシレー女扱いされて…… ません?」小首を傾げる。


ません。


小首を傾げるな。中身おっさんの癖にかわいいじゃねーか。


「不愉快だ」

こちらも真似して首を傾げるがこちらは多分本職のアレだ。俺、不機嫌でーすのポーズ。


あーもーあったまキタ!? こうなりゃ不動明王剣で灼き尽くしちゃる。


印を組む暇与えてくれっかな。印と真言抜いたら更に魔力の消費半端ないのだが……


とか思ってたら呼子の返事が来た。

店主が応じて呼子を吹き返す。


よし! 援軍が来る。仮に多少弱くても店主の保護くらい出きんだろ。やっと有利な札が来たぞ……


ようし目にモノ見せちゃる。

塩試合乙。仕方ないんや素手の打撃レートホーリーウェポン掛けても10にしかならんのや…… 

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