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地走り番外地6

消えてヘコタレた。なんか前書いたのとチガウ(下手くそ)

 へいの腕が空を切る。速い。重い。つたない。


 あっぶねぇな! だが真っ当な武術家を相手にするにゃ真っ正直過ぎる。


 目標に向かって最短最速。至極読みやすい。


 身長が俺がおおよそ五尺七寸(百七十センチ)

 黒の奴が四尺(百二十センチ)


 狙いは俺のキレーなオメメなので畢竟手を伸ばさなければならずしかも必ずその場から踏み切るのでえらく遠間から弾道飛行でかっ飛んでくる。


 流石にこれを食らう武術家は功夫が足らないとしか言えない。なんというか猿の突撃だ。


 もっとも速度も猿並の身のこなしをしているから油断すればバッサリいかれてしまう。


 首が。


 腕の長さ(リーチ)も目方ウェイトも無いくせに出していい風切り音じゃねぇな。技の出処がバレバレのテレフォンパンチだから被弾はしないが。


「おいおいおいおい、話が違うじゃねーか? 欲しいのは目だろ。首ごともごうとすんなよォ?」


 内心ビビって最後ちょっと噛んだ。


「えー だってぇ♪ 知らないの? 首ごと切り離した方がキレイに取れるんだよ♡」


 まるで年少者に上手な蜻蛉捕りを教えるように、

 屈託なく凄惨な人体解体法を必殺技伝授する辺り本当に勘弁して欲しい。


「へぇー そりゃすごーい」

 物凄く棒読みで返したが


 黒は「えへん」と嬉しそう。そうしてりゃ普通のガキに見えるんだがな…… だが祓わせて貰おう。


 向こうの跳躍攻撃に合わせてクロスカウンターで顎に掌底を打ち込んだ。この手応えならどんな大男でも脳震盪を起こす打撃を通したが…… 


 効かねぇ!! 

 そうだよな不死者にそういう生理現象ねぇよな!

 が態勢は崩したのか派手に転ぶ。追撃で踏み付けたが躱される。


 しかしチャンス! 結印とともに真言を唱える。


 オン・カカカ・ビサンマエイ・ソワカ!!


 自らの守護神と奉じる地蔵菩薩への祈りを両手の光に宿したままかっ飛んできた黒に掌底を連打する。


 拳で殴るのは……仏に守護神はおかしいかもしれんが一般的日本人として一緒くただよなぁ。神仏習合とかあったし。いやそうではなくえっと……


 子供の守護神の力で子供を護ると誓っている俺が子供殴るのは色々駄目なんじゃないかと思うがこんなん折伏も摂受も出来ねーぞ。


 不死者こともにも通じる人のロウを俺は心得ていない。これを諫めるのに暴力に頼らねばならぬ自分の未熟さが恥ずかしいが、不死者に人の世を闊歩する自由を認める事も不死者が人を殺す理不尽を看過も出来ない。


 四天王とかも邪悪を踏み付けてるから多分せぇふ。

 御仏も言う事聞かない奴は武力征圧するもんだしな。


 ブリトラとか。



「いったーい。ナニソレ! ズルい!!」


「いや、ズルくねーし。ズルじゃねーし。ズルいのはそっちですぅー!!」


 ちくしょう平気な顔しやがって。並の不死者なら一撃で浄化、消滅する聖女の“聖撃”の加護付きパンチを食らっていけしゃーしゃと。


 向こうの一撃を躱す度に此方の体調が悪くなる。身体に鈍重さを感じる。

 掌から棚引く黒の瘴気のせいだ。女神の加護か無ければ昏倒してたかもしれん。


 ナメてた! コイツはかなり凶悪な悪鬼、邪霊の類。向こうのギアも上がってきたのだろう。それで霊視えてきた。


 その全身に今まで殺したであろう人間の怨念を纏い黒く烟っているのを。


 そいつらの呪詛が怨念が物理的な圧迫感を持って地味にこちらを蝕んでくる。


 俺の持ってる女神の加護を突き破って不調を与えてくるとかどんだけだよ、ドン引きだっっーの。


 長期戦は不利。


 まぁ定命の者と不死者を比べたらそうなるのは端から必定。解ってたコトだが。


 無限の体力とかズルだろ。


「もう。怒ったぞー!!」


 狙いが変わった。足元!!


 あぶねーー!!


「おい、狙いは首だろ!!」


「足からもぐ」


 賢いな!? 


 がその位置は不味いだろ?


「ぷぎゅ!?」


 トゥーキック気味に渾身の右爪先を黒の顔面に叩き(ぶち)込んだが……


「モグモグ」


「ぎゃああ!?」


 爪先を口で止めて噛みつきやがった!!


 マジかよ! 思いきり足を振って振りほどきにかかる。なんとか外せたがブーツの先がかなり削れて装甲が露出して鋼の地金が出てる。ブーツが安全靴仕様じゃなきゃヤバかったか。


 もぐもぐぺっ。と黒は革を吐き出した。


「不味い、硬い。やっぱり血の味がしないと…… それにしてもお姉ちゃん脚癖悪過ぎない?」


「味見しといて言うじゃないか。俺が水虫だったらどうすんだコラ」


 前世も苦労したが今世も罹ったんだよな。もっとも聖女ぱうわぁー!! でありがたく治させて貰ったが。超感謝した。


 パーティ全員。


 歩兵病だからしゃーない。というか罹患したらさっさと言えよバカヤロウ。パーティ全員に感染ったろうが!? 結局、最初に罹った奴は最後まで吐かなかったが。多分勇者サマだろう。


 あんにゃろめッ。


「ええっ…… それは嫌だなぁ。お姉ちゃん水虫なの?」


 ドン引きされた。アンデッドに不潔でドン引きされたッ!?


「違いますぅー もう完治してブーツも買い替えましたー!! 水虫じゃあありませーん」


「みずむーし♪ みずむーし♪ みずすましー♪」


 小学生の口喧嘩かよ…… しかしコイツ強い。

 仕込みを使うか? 俺がガキ相手に?


 んなカッコ悪い事できっかよ!!


 意地でも殴り倒す!


「ふんぬー!!」


 こっちから殴ろうとすると小さな身体と小猿のようなはしっこさが災いし中々的が絞れない。だいたい四つ脚で動くから人間というより獣の挙動だわこれ。


 コイツに攻撃を通すなら移動と攻撃を同時にしなくてはならないが蹴りを出せば間合いを取られ突きではリーチが足りず届かない。くそ身体と姿勢が小さすぎてやりにくい……


 飛び蹴りでもかますか? 迎撃されそうな気がする。飛び蹴りを回り込まれて横からとか。


「やーい、お姉ちゃんこっちこっち♡」


「うぬぅ」全力で愉しまれてんな?


 どうすっかな。カウンター狙いに絞るか? 奥の手かいくつか無いわけじゃないが出すにはちょいと隙を付きたい。このガキの機動がびっくり箱過ぎて隙を隙だと思えなくて困る。


「水虫お姉ちゃんがんばれー♪」


「よし殴る」


「えっ」


 俺の奇妙な構えに一瞬戸惑う黒。続いて顔面に直撃する拳。


「そこ、間合いだぜ?」


「ぷひゃあ!?」


 鼻血…… ではないだろうが腐った血を鼻から垂れ流す黒。


 箭疾歩。


 中国武術の突進突きだ。同じ突進技の空手の刻み突きとも違う長射程の技であり全体重が乗るので威力も申し分ない突き技だ。


「この……」


「どうだ届いたぜ」


 意外と効いたのかふらふらと立ち上がる黒。こちらを見て嗤う。


「なんだよ殴った方が壊れてるじゃないか!?」


「うるせぇ!? 殴れたからセーフだ」


 ……イターイ。やっぱ鍛えて無い拳で人間殴るもんじゃないな。思いきり右手壊れた。リハビリ込み全治二カ月コース。骨だけなら一月だが。前世なら平気だったんだが女の骨格は華奢でいけねぇ。


 ところで生理ってなんであんな痛いの馬鹿なの?


 女に転生してマジにコレに耐えてる全女性リスペクトしたね俺は。女神様は面白がって中々治してくんないし…… 人の営み故耐えなさいってアンタ、元、男に無茶苦茶言いやがるし。


 いや、俺の生理はどうでもいい。よくない。

 しかしアレに比べれば大概の事は平気だ。


 えっ、神さま? 出産? アー アー アー そんな悪夢はキコエナーイ!!


「自分が怪我してるのに?」


「ああッ!? なんだと!!」変なチャンネル開いてしまったからうっかり黒から注意をそらしてた。

 あぶねー!! 神さまが変なちゃちゃ入れるからだぞ!?


「怪我痛くないの?」


「痛ぇよ! 殴りゃ自分に痛みが返ってくるもんなんだよ!」


「じゃあなんで殴るの?」


 オマエがムカついたからだ!!

 いや、コレは良くない。そうじゃない。


「オマエが、黒が悪い事をしようとしてるからだ」

 名前を呼ばないのも良くない。


「悪い事? 欲しいモノを集めるのは悪い事?」


「人の身体の部品を勝手に盗むのは悪い事だ」


「ちゃんと欲しいって断ってるよ?」


「無理矢理だろ」


「でも欲しいもん! とても凄い綺麗!!」

 攻撃が来た。壊れた右手で更に殴る。


 泣いていいかな。痛いの。でもぼくオトコノコ。

 泣かない!!


「ふぬー!!」


 ワンツートリプルで殴り倒した。左手はひねるだけ (瀕死)


「もう! どうして? どうしてくれないの? みんな、みんなくれたのに! どうして!」


「そりゃくれたんじゃないだろ? よく思い出してみろ!」


「くれたんだもん!」


 殺気が増した。不味いトコ突いたか。

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