地走り番外地
書けたトコまでドーン。
変な屋台スハルタソと出会い飯食って連れ(ヤガ)殴って病人治して宴会。そして人攫い相手の内偵の作戦会議。
……俺、何やってんだろ。
取り敢えず残る港湾労働者組合というか会社かなこれ。それは二つ。ギルドはギルドで有るからその方が解りやすいかもしれん。どうでもいいけど。
で羽振りのいい方が怪しいってなった。奴らの名前はサザンクロス イチゴ味もずく派。
名前を決めた責任者出てこい! このトンチキが!!
なんのイチゴ味だよ! もずくかッ! もずくなんかッ! それどもサザンクロスがかッ! 一気にやる気というかシリアスな空気が爆散仕掛けた。いや、した。
「なぁやっぱこっちハズレじゃないかなー? こう悪い事しよう!! って気概を感じないんだが……」
「いいですけどもう片割れもオクタント マンゴー純情派とかですけどこっちにします?」
とかモモが言いやがる。
「三十年前あったか、あんなん?」
「最近ですよ。自分が物心ついた時にはまだ無かったかと。確かマンゴーの方が先でそっからイチゴ味が分割したんですよね」とヤガは宣う。
「幼稚園の組分けじゃねーんだぞ。俺のハードでワイルドで健さんな任侠空間はドコに!?」
「モモと関わると大概ぐだぐだなになる」
「なりまーせーん。絶対オレだけのせいじゃないぞー!!」
クラウは何が不満があるのかモモの頬を左右に引っ張っている。よく伸びる。餅みたい。おお…… ええっアレ人類に可能な領域なの?
「しゃあスパルタソ組は一旦仕入れ、しかるのち営業で情報収集。俺は神殿で仮眠取って神殿廻りの噂の収集、ヤガは組の、はしっこい奴使って連中の動向の探り組で束ねと纏めとしちゃこんなトコか?」
「官憲と協調出来ればいいんでしゅけれね。ちょっクラウ手心! 手心を! 愛を! ふぅ、どうも一部つるんでるっぽいんで現状組み難いのがなんとも。こっちの救出作戦の邪魔になったら本末転倒ですから」
「ウチの上の娘が衛兵やってます。あれなら大丈夫だとは思いますが……」
「おっ見てぇ! いや会いてぇ! お前似? ミッチ似?」
「妻に似てます」
「そっか。じゃ美人に育ってそうたな。会っていいか?」
「普通ならいいと言いたい所ですかなんとも」
「職務でも危険に巻き込むのは親心的に難しいってか?」
「親馬鹿だとは思います。本当は辞めて別の仕事して欲しいんですが……」
「なるほど、ま解らんでもないからこの件終わった後の楽しみにしとくわ」
「すんません自分はともかく娘の事だと決めきれません」
「まぁ仕方ないさ。所で強えの?」
「生来お転婆で困ってます。多少護身術程度に手ほどきしましたが」
「ふーん。ある意味孫弟子か。俄然興味が湧いたな」
「はい」
「まぁ、いいや。このまま出奔しちまうつもりだったが一旦帰るわ」
「自分もそうします」
「あ、ならヤガさんコレ奥さんにどうぞ」店主は岡持ちを取り出した。中は俺が焼いたお好み焼きと店主の町中華のアラカルトだ。皿には木製の蓋がしてあり中々衛生的だ。
「すまないありがとう」
「御礼はぎんさんに。用意するように言って下さったのは彼女なんで」
「姉御すんません」
「いやいいって事よ。お前だけうまいもん食ったなんてミッチに知れたら怖いだろ?」
「……本当にありがとうございます。ギョウザあるかな?」
「すいません餃子は冷めると美味しくないので入れてないです。焼きそばも乾燥に弱いから入れてません」
「……そうか」
「嫁の分つまみ食いすんなや」苦笑いして突っ込む俺。
「いや、その美味かったんでつい」
「なら今度奥様に、いえ奥様達に餃子も伝授しましょう。この一件が終わったら。どうでしょう?」
「ああ、それは…… いいなぁ。頼めるかい?」
「お安い御用です。漁港ですし海老の餃子とかもいいかもしれませんね」
そんな感じで散会となった。
「うう、ねみぃ」さて寝かして貰えるだろうか?
神殿長はともかくお付きのケイトとかに見つかると小言と懲罰とか食らいそう。そもそも神殿は集団生活の場でそういう勝手や自堕落は許しておかない組織なんだが。
こっそり屋根裏部屋とか使ってない聖堂とかに忍び込むか自室はさてどうかな。捉まるよな。うーん。
正門を潜ると武装した一団とすれ違う一目でリーダー格と解るヤガに勝るとも劣らぬ偉丈夫いや美丈夫が此方に気づき挨拶をしようとするがお付きに止められる。美丈夫は凄く残念そうに会釈して去って行った。
なんだあの爽やかイケメン。メッチャ強そうだし。
よし敵だな。イケメンはだいたい人類の敵だ。
そんな風に見送っていたら尻に物凄く気持ち悪い違和感を感じて飛び上がる。
猫と鼠のアニメの猫の方の叫び声をあげちまった。
「うわぁぁぁぁおっおーー!!」
着地と同時に振り返りざまに顔の位置にミドルをくれてやる。
まともに命中しいい感じに拉げそれで向こうももんどりうって倒れる。
「ろ、老人虐待じゃ酷いやつじゃな!」
倒れながらシナを作る老人。うぜぇ。
「うるせーここまでご褒美の癖に! うっわサブイボ出るわ!!」
この俺のぷりちーなケツに顔を埋めてスリスリした挙げ句クンカクンカまでしやがったこの破廉恥ジジィは非常に遺憾ではあるがウチのトップ。神殿長だ。眉と髭がスゴい。
転生の女神の使徒は基本女性にしかなれんが神殿の長はまた別だったりする。つうか神殿自体は複数の善神を祀ってる複合神殿で神殿長は公正と裁きの神に帰依してたりする。
凄いデカい街だと人気の神様は個別の神殿があったりするが此処はそこまてじゃない。とはいえアラカルト的に粗方揃ってる辺り中々捨てたもんじゃない。
「ふっふっふっありがたや聖女の尻じゃ、寿命伸びそう」
「よし今すぐ命日にしてやろう。何、キサマの趣味は把握してるからなに毎命日には選りすぐりの熟女春画を供えてやる」
「なんと是非頼む!!」
「ふざけんな死ね!!」
かなりガチ目に蹴った(やくざキック)が躱された。
相変わらずじじぃの動きじゃねーぞゴラァ!?
「しかしやはりそなたの尻にはまろみが足りん。ちょっと二、三人孕んで産んでみんか? それてその青い尻にも魅力が備わるじゃろう。なんなら孕ましてやろうぞ?」
「よし。やっぱり今日がキサマの命日だ妖怪爺い!!」
「くくくやってみい! 若いおなごはそれはそれでええのぅ」
「ふぬっ!」
拳打と蹴撃のコンビネーションを叩き込むがいなされ躱される。
組んで投げる選択肢はない。悔しいがそこはこのチビクソジジィの独壇場だ。こいつには中距離でのリーチを活かした打撃しか通じない。こっち舐めてるからあまり打撃の類いはしてこない。が掴まれたら投げられる。
だが例外もある。
「ターッチ」この猿は痴漢行為をしてきやがるのだ。
そしていいように揉みしだかれ掴まれ…… イチニイ三回目!! あ、遊戯終了を告げる何時ものヤベェの来る!?
来た!!
「ガアッハァ、ハァ」超接近戦から胸郭を両の掌打で押された。肺から強制的に空気を抜かれ悶絶する。本気なら胸郭ごと潰されていた所だ。
「ゴッ、ハァ、ファ、はぁー」
畜生! 化け物ジジィめっ!!
「未熟、未熟♪ 未熟もの〜♪」
「うっわぁ、はいぱームカつく!?」
このジジイどこで覚えて来たのか大陸系の拳法の達人なのだ。多分実戦系の太極拳ベースにあれこれ齧ってる。昔、大陸で馬賊やってた時に拳法家、武林の連中とは散々戦った事があるからなんとなく当たりがつく。もっともこんだけの手練れは向こうにもそんなに居なかったぞきっと。倒すにはモーゼルがいるなこりゃ。転移者でも転生者でもないらしいのに恐れ入る。己の功夫だけでこれだけの武功を成しているのだからそこはそんけー、いや一目ぐらいは置いてやる。
まぁ三十年前から神殿長だったしコイツも十分怪物いや妖怪の類いだ絶対。
「ふふふ、師匠と呼んでくれてもええんじゃよ?」
「無理だ。間に合ってる。そのすけべ根性叩き直してから言ってこい考えてやる」
「無理じゃ。そんなん儂じゃなくなる」
くそー 俺もうちょい自分を強いと思ってたんだがなぁ。
「でなんか用が? 楽しいリクリエーションなら間に合ってる今度誘ってくれ俺は眠いんだ」
そうだ俺は眠いから本調子ではないんだ。きっとそうだ。
「なにほんの鬱憤張らしじゃよ」
「テメェ所属の神官いたぶって楽しいか?」
「お前と戯れるのは楽しいがちょっとは責任を感じ取れ」
「何を言って……」
「お前に付けとる見習い神官がおるじゃろう?」
「あのチビどもがなんだよ」
「昨日家出したお前を心配して探しに行って一人まだ帰って来ておらん」
俺は頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けて目の前が真っ暗になった。
な、ん、だ、と?




