表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/93

第86話 VSシックザールNo.2

 床をグッと踏みつけて、駆け飛ぶ。


 ヴェルナーも飛び向かってきた。


 黒剣と炎の燃えあがる魔剣がぶつかって、金属音を響かせた。


 ギッギッギッと、刃と刃の細い一点でせめぎ合う。


「その黒い剣、勢いを殺せばなにもできないようだな」


 炎の先に見えるヴェルナーは、微笑みを浮かべていた。


「そう思うなら、そうだろうな」


「この剣の力をまだ理解できていないようだな。突っこんで来た判断は間違いだ」


 魔剣からあがる炎がさらに大きくなり、俺を包みこんできた。


「死ね。まだ間もない暗黒騎士よ」


 炎の外からヴェルナーの声が聞こえた。


 ——炎で、剣の動きが見えないとでも思っているようだが。


 キーンと、黒剣で魔剣を受け止めた音が響いた。


「なにっ? 剣を……」


 俺を包みこむ炎が消えていくと、驚いたヴェルナーの表情が見えた。


「俺がマナ徒だってことを知って、魔剣を使っているのか? 魔剣から発動される魔法はすべて見えてるぜ」


 ——魔法は無効化できるし、マナを通して感じられる。


 黒剣を振り切った。

 ヴェルナーは、スッと飛びよけた。


「なら、次はこうだ」


 いつの間にか炎が消えていた魔剣から、冷気が発生していた。

 氷の魔剣を振り回すと、空気が凍って白い結晶が舞う。


「次こそ、しとめる」


 ヴェルナーが斬りかかってきた。


 ——今度は、直接か。


 2度、3度とヴェルナーの剣を黒剣で受け止めては、さばいていく。


「なっ? 貴様、俺の魔剣の力を……」


 ヴェルナーの魔剣の氷はいつの間にか消えていて、元の剣に戻っていた。


「マナで剣の魔法も無効化することくらいたやすいぜ。お前こそ、突っこんでくるのが間違いだぜ」


「魔剣の力をなめるな」


 ビリビリッと魔剣から雷が発生する。

 ヴェルナーは、魔剣を振りかざして飛びあがった。

 空中で剣を振りおろす。


 剣から太い稲妻が落ちてくる。

 周囲にも稲妻が散り広がる。


「まったく、シックザールってのはどいつもこいつも芸がないな」


 手を天井に向ける。

 まるで稲妻が手に吸収されるように消える。


「それはお前も同じだ。マナで魔法を消し去るだけだろ」


 落下してくるヴェルナーの魔剣には、風の刃が巻きついていた。


「なにをやっても同じだな」


「肉を削いでやる」


 振りおろされた魔剣を黒剣で受けとめる。

 と、見せかせて刃の上を滑らせて、黒剣を振り抜く。


「クッ」


 ヴェルナーが寸前のところで体勢をよじらせて、黒剣をよけた。

 しかし、懐が切れていた。


「ふん。そうならば、力には力を……」


 突然、ヴェルナーの体がひとまわり大きくなった。

 切れていた懐の傷があっという間に修復された。


 ——レッドエリクサーと同じ効果か。


「マナを使えば、エリクサーなどいらない」


 ヴェルナーは地面を蹴り掘るように、いっきに加速して飛びかかってきた。


 ——速いっ。


 剣と剣がぶつかる。

 ヴェルナーの繰り出す剣を何度も黒剣で受けていく。


「ほらほら、さっきまでの威勢のいいおしゃべりはどうした? もうしゃべってる余裕はないのか?」


「はっきり言って、おしゃべりはそっちだろっ」


「なっ?」


 魔剣をかわして、黒剣をヴェルナーの腹部に突き刺した。

 すぐに剣を引き抜くと、腹部から血が滴り落ちる。


「くくく……やったかと思ったか? 今の俺は不死身の状態だ」


 腹部の傷口があっという間に閉じていく。


 ——マナで肉体活性かつ再生させているのか。


「それじゃあ、どこまで耐えられるか?」


 黒剣を振りかざす。

 ヴェルナーの腕を切り落とす。

 反対の肩を切り抜く。

 そして、太ももを切り裂いた。


 しかし、すぐに欠損した箇所が再生をはじめる。


 俺はヴェルナーに手をかざす。


「……はっ、うがぁががぎゃああああーーー」


 突然、ヴェルナーが悲鳴をあげた。


「き、きさま、なにをっしたっ……まさかっ」


「お前が自分にかけていたマナの肉体活性を解除させてもらった」


「ガハッ……こ、このやろう……」


 血を吐いて倒れてしまったヴェルナー。


「余裕を持ちすぎるのもよくないぜ」


「そうよ、ヴェルナー。でもね、あなたは私の息子。私と同じように自然と一体化できるわ。私の力で、もっと強靱な肉体とね」


 上からヴェラがマナをかける。

 むずむずっと、ヴェルナーの体が波打ってどんどん巨大化していく。


「ウガァァァ」


 な、なんだ?


「わはははは。ありゃー、ギガンテスじゃねーか」


 エルドウィンが言った。


「おいおい自分の息子をなんて姿にしてんだよ」


 ギガンテスのずっと上にいるヴェラに向けて言った。


「私は神。ヴェルナーのことはよくわかっている。欲していたのよ。だから、強靱な肉体を与えたまでよ」


 ギガンテスは、持っていた巨大なこん棒を振りおろしてくる。


 よけると、こん棒が地面を陥没させる。


 こんなところで暴れられたら、建物が崩れるな。


 考えている間に、どんどん辺りがメチャクチャに破壊されていく。


「ふふふ、どうかしら? 生まれ変わった息子の力は……」


 高笑いするヴェルの声がホール全体に響いた。


 俺は、サッと後方へ飛び退いた。


「手も足も出ないようね……さぁ、ヴェルナー、全員まとめてひねり潰しなさい」


 ガンガンとところかまわずこん棒を振りおろしてくる。

 倒れている信者たちをも潰していく。

 こん棒の先は真っ赤になっていた。


 ——自分たちの信者までも……。

 ——なに考えてる。

 ——いや、なにも考えられていないのか。


「リーゼ、カリン、エルドウィン。ギガンテスの動きを一瞬でいいから、止めてくれ」


「もちろんだ」


「もちろんよ。カリン、いくわよ」


「はい」


 リーゼはギガンテスに手をかざし、カリンはステッキをかざした。


「「窮・制停留居止魔法陣キュー・フェッセルンクライス」」


太陽の檻タイヨウ・ゲフェングニス


 エルドウィンが剣を掲げる。


 ギガンテスの足元に魔法陣が広がり、ギガンテスの歩みが止まる。


 そして、オレンジ色の檻がギガンテスの体の動きを阻む。


「ウガガガガガガ……」


「なにをしているヴェルナー。そんな魔法、はねのけてしまいなさい」


「ヴガガガガ……」


「兄さん、早く……」


「あぁ……」


 黒剣をかまえて、床を強く踏みこんで駆ける。

 一瞬でギガンテスの間合いに入りこむ。



 ——暗黒銀河流星覇(ダークメテオーア)



 ギガンテスに、高速で振りおろされる黒剣。

 まるで空からいくつもの光線降り注がれるよう。


 ギガンテスの肉体が破裂したように、血が飛び散った。


 ギガンテスの全身には深い切り傷が刻まれていた。


「ウガァァァ……」


 その場に倒れこんだギガンテス。

 キラキラと光の粒子がギガンテスからのぼっていく。

 徐々にギガンテスの肉体が消えていった。


 そこに残ったのは、傷だらけになって動かなくなったヴェルナーの体だった。


「我が息子、その体になっても生き残れなかったのね。残念だわ……できれば、私の作る新世界を一緒に見たかった……」


 ヴェラの蛇のような龍の胴体が起きあがっていく。

 教会の天井を突き破ってしまう。


「な、なんて大きな体じゃ」


「見ている場合じゃない。俺たちも外へ」


 慌てて教会の外へ出ると、教会は崩れ落ちてしまった。


 ——息子が中にいるのに。

 ——それでも母親なのか。

 ——いや、もう……。


 見あげたその先には、山よりも高く、全身が龍と化したヴェラがいた。


「キールたち、今後どうなるのっ……!」

「おもしろかった!」

「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


下にある ☆☆☆☆☆ から、作品への応援お願いいたします。

おもしろかったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直な気持ちで大丈夫です!


続きが読みたい方は、ぜひブックマークもしていただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ