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第75話 元賞金稼ぎ vs 賞金稼ぎ

 北上しつつ東に向かって、海を渡る。

 しだいに空気が冷たくなっていった。


 コルジーナという大きな国の大陸に向かっていた。

 シックザールの本拠地のある国には、そこからさらに海を渡る必要がある。


 直接、行ければ良かったが、遠すぎるため、いくつかの陸地を経由する必要があった。


 ほぼ1日リフィーで飛びっぱなしで、コールジナの国のツキギニという町に到着した。


「さ、さむーい」


「姫さん、ちょっと歩きづらいぜ」


 エレナが俺のマントにくるまりつつ、俺にピッタリ体をくっつけている。


 リフィーに乗っているときからずっとこうだ。


 それに寒いのは当然だ。

 へそに生足がもろに出ていているからだ。


 シックザールの服しかないリーゼは、しかたなく黒いローブを羽織っていた。


「さすがに2人とも、その格好だと大変だな。夕飯の前に、服を買いに行くか」


「ウッ、ウンッ」


 エレナは歯をガタガタと震わせている。


「えぇ、いいわ」


 リーゼが言った。




 すでに日が暮れていて、防具屋が閉店する間際に入ることができた。


「せっせと選んでくれよ」


 店主の男は、少し迷惑そうな顔を見せた。


「2人とも好きなものを選べ」


「わーい!」


 エレナは数ある服や防具に目移りさせながら、見ていく。


 カネはたくさんあるから、なにを選ばれても問題はない。


 そう考えると、俺も賞金稼ぎとして出世したってことか。

 ここに来るまで、いろいろあったもんだ。


「私はコレとコレと……」


 リーゼは、せっせとが選んでいく。


「えっと……私は……コレでこうして……」


 エレナも服を選ぶと、リーゼにつづいて更衣室に入っていく。


「どう? キール?」


 サッと、エレナの更衣室のカーテンが勢いよく開いた。

 そして、ポーズを決めたエレナ。


 ピンク色のロングコート……たぶんローブだろ。

 なんでかな。


「寒いって言ってるのに、どうして太ももが出てるんだ?」


「もちろん、キールに見せるためだよ。さすがにお腹は冷えるから。暖かいところに行ったら、またちゃんと見せるから、我慢してて……」


「あぁ、そう……」


 いや、要望した覚えもないんだが……。


「に、兄さん……ど、どうかな」


 リーゼの更衣室のカーテンが開いた。


 ブーツを履いて、高級感ある茶色のローブをまとっていた。


「あぁ、いいんじゃないか」


「ふふ。それじゃあ、コレにする」


 そのほうがイイ。

 シックザールの服に比べて、明るく、そして威厳のある魔法使いに見える。


 会計を済ますと、さっきまで不機嫌そうだった店主は満面の笑みに変わっていた。


 それはそうだ。

 閉店間際に、高額商品を2人分買ったのだから。


「さて、飯にしよう」


 手近な店に入った。

 夕食時ということもあり、席はほぼ満席状態だったが、席に座ることができた。


 注文した暖かい料理がテーブルに並べられていく。


「「いただきます」」


 食事を進むにつれて、リーゼが辺りを気にしだした。


「兄さん?」


「あぁ。どうも店の外から視線を感じるな」


 考えられることは、自分たちが賞金首になってしまったからだろう。


「えっ、悪い人でもいるの?」


 エレナ姫が言った。


「そうだな」


「えっ、どこに?」


 と、エレナが周囲をキョロキョロ見る。


「どこに、じゃねーよ。ここだよ、俺たちだよ」


「あ、そうか。賞金首になったんだもんね」


 まったく危機意識なくエレナは言う。


「そういうことだ」


 だからといって、俺もまったく危機意識はない。


 ハットをかぶった1人の男が店に入ってきた。

 空いている席を探している様子はない。

 一直線に、俺たちのテーブルに向かって歩いてきた。


「これはこれは、キール・ハインドじゃないか?」


 男が声をかけてきたが、俺は無視して、スープをゆっくりとすすった。


 チラッと男の両腰を見ると、拳銃がホルスターにおさめられていた。


「俺様におびえて、声も出なくなったか? そりゃあそうだろうな。この俺様が、この町で1番の賞金稼ぎ、ウォルフガング・ボルネフェルトなんだからな」


「知らない名前だな……」


「チッ……。SSS級賞金首にもなると、SSS級の女を連れて歩くんだな。うらやましいぜ」


「そうだよ。だって、キールは強いから。私はどこにでも着いていくよ」


 と、エレナはウォルフガングにまっすぐ言う。


 姫、コイツは俺たちを褒めたわけじゃないんだ。


「に、兄さん……この子……」


 リーゼが、エレナを見てそっと言ってきた。


「あ、あぁ……薄々感じているとは思うが、こういう子なんだ」


「えぇ、そう……薄々感じていたわ……」


「王女は洗脳されてしまっているようだな。かわいそうに……今、助けてやるからな」


 エレナは、ウォルフガングの言葉に首をかしげた。


「今は食事中なんだ……静かにしてくれるか?」


 ガンと、テーブルに拳を落としたウォルフガング。


「自分がどんな立場かわかって、この町で食事をしているのか?」


「カネは払うし、誰にも迷惑はかけていない」


「迷惑はかけてない? 賞金首のくせに、なにを言ってやがる? すでにお前の存在が迷惑だって言ってるんだ」


「あ、あのお客様……」


 定員の女の子が声をかけてきた。


「ぁあ? こっちは犯罪者を捕まえに来てやってるんだ。ちょっとした被害で済むなら、安いもんだぜ」


「おい、怖がってるだろ。おどかすな……あと、ゆっくり飯を食わせろ」


「お前なんかが、ゆっくりと飯を食ってていいわけねーだろ」


 と、ウォルフガングはテーブルに手をかけた。


 だが、俺はテーブルを押さえこむ。


「なにっ?」


 ウォルフガングはテーブルを必死にひっくり返そうとするが、テーブルは微動だにしない。


「まだ飯の途中だ。うまい飯をひっくり返させはしねーよ」


「兄さん、このうるさいね。黙らせちゃう?」


 リーゼが微笑んで、人差し指をウォルフガングに向けている。

 その人差し指の先が光っている。


 妹よ、いったいなにをする気だ。

 ただ黙らせるだけじゃないだろ、その言い方と指は。


「ちょっとちょっと、店内で暴れないでくれませんか? 他のお客様もいますので……」


 店主の男が慌ててカウンターの奥から出てきた。


「はぁ……外に出ろ。一瞬だけ付き合ってやる。寒いからな」


 俺はイスから立ちあがった。


「それはこっちのセリフだ」


 俺は店のドアを開けて外に出た瞬間、背後にいたウォルフガングの胸ぐらをつかんで外へ引っ張りです。


「フガッ」


 そして、一瞬で、ボコボコにしてやった。


「こ、この俺様をこんな風にして、ただで済むと思うなよ」


 ウォルフガングは、必死に立ちあがって、止めてあった白馬に乗ろうとする。


「ウグァ」


 だが、体が痛みでいうことをきかず、へっぴり腰で乗れない。


「いいか。SSS級賞金首。賞金稼ぎ連合が黙っちゃいないからな」


 ふたたび馬に乗ろうとするが、足があがらず落馬する。


 ヒヒーン


「あっ、おい、待て。俺はまだ乗って……ああああああ」


 馬のたづなを握ったままのウォルフガングは、そのまま引きずられて町の奥へと消えていった。


「ったく、なんなんだったんだ? うー、寒っ」


 店内に戻ると、なぜか拍手で歓迎された。


「イヤー、スカッとしたよ」

「ボコボコにしてくれて、ありがとう」

「今日は酒がうまくなるぞ」

「どっちが賞金首だか、わからねーぜ」


 と、どっと声があがった。


 町の人たちが迷惑していたのは、どうもアイツのようだな。


「お疲れさま、キール。はい、あーん」


 と、エレナがスプーンを差し出してきた。


「おもしろかった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるのっ……!」


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