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第64話 紫苑騎士団弐番隊

 さらわれたタビタをリフィーに乗って追う。

 海岸の林道沿いに飛んでいく。


「キール、どうしてタビタは、さらわれちゃったの?」


 背後から抱きつくエレナが聞いてきた?


「いや、俺が知りたいところだ。完全に暗くなる前に、馬車を見つけるぞ」


「うん」

「はいですぅ」

「わかりました」


 俺の前に座るアルスと、リフィーの首カゴの中のヴェロニカが返事をした。


 タビタが狙われる理由……おそらく写本師だからだろう。

 俺たちがタビタにお願いしようとしていたことと同じ目的。


 読めない文字を写し起こす。


「馬車……馬車……馬車……」


 エレナがぶつぶつ言っている。


 そういえば、前にもこんな状況があったな。

 それなら、シックザールが行くところといえば、教会か。

 おそらく人目のつかないところ……。


 林道が海岸と内陸の森へと二手に分かれていた。


 もし、ヤツら向かうとなれば、森だ。


 リフィーのたづな引いて、海岸から離れてる。


「森しかないですぅ……暗くて見づらいですぅ……」


 暗くなったら、こんな森で探すのは難しくなる……。

 できるだけ、その前に……。


「キール、あっち! 森の先になにか動いた」


 背後からエレナが、左手のずっと先を指差した。


「いや、なにも見えないが……行ってみるか」


 1度、森が切れていた。

 森のすぐ脇に道らしきものがあった。


 馬車の通った跡か?

 この森のどこかを馬車が走っている?


「キール、明かりが見える」


 ヴェロニカがやや右方向を指差した。


 森の中にある建物から光がもれていた。


「アレだな」


 その建物に近づいていくと、教会の形をしていた。

 その背後には、大きな建物もあった。

 なに用の建物かはわからない。


 馬車が、森の中から現れて、教会で止まった。

 荷台から人が下ろされて、教会の中に連れて行かれてしまう。


「タビタか」


「すぐに突入しましょう」


 と、ヴェロニカがカゴから飛び降りようと、準備をする。


「待て、早まるな」


「あわわっ、はいっ」


 それに、どうも森が騒がしいな……。

 なにかいるか?

 いや、先にタビタだ。




 森の中にリフィーを下ろして、俺とヴェロニカで教会の側面に近づいた。


 窓のすみから、そっと中をのぞく。


 タビタ。

 机でなにかさせられてるな。


 2つの魔法陣……。

 1つは、少女たちを閉じこめている。

 もう1つは、男?

 大人だ。なぜ?


「ヴェロニカ。二手に分かれよう。向こう側の窓から侵入してくれ。俺が先に侵入して、敵の注意を引きつける。その間にタビタを確保して、外へ」


「わかりました」


 ヴェロニカは反対側に回り、ちらっと窓から合図を出す。


 よし。


 窓を派手に突き破って、教会の中へ転がりこんだ。


「なんだ、誰だ?」


 黒いローブをかぶった男が冷静に言った。


「ここになんの用だ、貴様?」


 もう1人の男が魔法のステッキを向けてくる。


「さらわれた友人と少女たちを助けに来た、ただの賞金稼ぎだ」


「キール!」


 タビタが涙目で机から立ちあがろうとした。


「お前は、そこに座ってろ」


 男がステッキをタビタに向けた。


「は、はいっ」


 タビタは震えながら、イスに座り直した。

 その直後、ガシャンと窓ガラスが割れて、ヴェロニカが飛びこんで来た。


「今度は、なんだ?」


「ヴェロニカ!」


 タビタがふたたび立ちあがる。


「おい、写本師、動くんじゃないよ」


 シックザールのローブをかぶった女がステッキを向けて叫んだ。


 直後、ドガーンと、教会の扉が勢いよく開いた。

 紫の鎧を来た兵士たちが、なだれ込んで来た。


 ——な、なんだ?


 さらに窓を突き破って、次々と中へと入りこんでくる。


紫苑(シオン)騎士団弐番隊だ。子供たちをさらった貴様らは、全員、捕まえる」


 先頭の騎士が剣をかまえた。

 そして、いっきに兵士たちが飛びかかってくる。


「いや、俺は違うんだが?」


 兵士の剣を払って、教会の奥へと飛び退いた。


 いったい、なんなんだ。

 もう教会の中はパニックだな……。


「キャッ! あの、私は……彼女を助けにっ」


 ヴェロニカ!


 数人の兵士にヴェロニカが捕まってしまっていた。

 タビタも兵士に支えられて、外へと出て行く。


 ヴェロニカを助けるか?

 いや、このまま外へ行ってもらおうか……。

 ん、魔法陣もいつの間にか消えている。


 少女たちと男は、すでに兵士に守られていた。


 あの2人が魔法陣を解いたのか。


 魔法陣のあった場所には、紫色のローブをかぶった者が立っていた。


 すでにシックザール2人がとらえられていた。

 その2人は女だった。


 残りは、2人か……。


烈・大火球弾レツ・ヒュージファイアボール


 シックザールの1人が放つ。


烈・大水球弾レツ・ヒュージウォーターボール


 紫のローブ姿の魔道士が放つ。


 魔法は、白煙を爆発させて消えた。


「ウォーーー」


 騎士が白煙の中から飛び出て、シックザールに剣を振りかざす。


 離れたところにいたもう1人のシックザールが、騎士に手をかざした。


 ——まずい。


 床を踏みこんで、騎士とシックザールの間に飛び出た。


 俺もシックザールに手をかざし向ける。


「なぜだ。マナが発動しない」


 男が言った。


「マナには静まってもらった」


「なに? 貴様もマナ使いか?」


「マナ徒というのが正解だぜ」


「マナ徒……もしかして、貴様は例の……」


 どうも、シックザール内で、俺の話が回されてるようだな……。


「ダミアン、ここはいったん引くぞ。緊急事態だ」


「えっ、しかし……」


「いいから。四天王様に連絡をしなければ」


 男は、壁に手を向けた。

 壁が吹き飛んで、外への穴が空いた。

 シックザールの2人が外に出る。

 しかし、すぐその場で動きを止める。


「すでに外も包囲してある。もう逃げ場はない。大人しく捕まるなら、命だけは取らないでやる」


 紫の騎士がシックザールに剣を向けて、外へ出て行く。


「フレデリック、ここは私たちが」


 と、紫のローブの魔道士2人がフレデリックの前に立ち、シックザールと対峙する。


「ルドヴィック、エルマ、頼みます」


 魔法の使い手同士なら当然だな……。

 だが、相手はマナを使う……

 んっ?


 フレデリックと呼ばれた紫の騎士が、今度は俺に剣を向けてきた。


「残るは貴様だ」


「待て待て。俺は、アイツらとは無関係だ。むしろ、被害者だ。さらわれたヤツを助けに来たんだ」


「それは我々も一緒だ。だが、貴様の情報はない。貴様がどういう話をするのかは捕えてから、じっくり聞いてやる」


「そうかい。でも、俺のことより、仲間の魔道士を心配したほうがいいぜ」


「貴様ごときに、紫苑騎士団弐番隊のことを心配されるほど、弱くはない」


 紫苑騎士団……。

 八大騎士のひとつか。

 若い騎士で弐番隊ということは、本体ではないのか。


「うわーーー」

「キャーーー」


 2人の魔道士が吹き飛ばされてしまった。

 1人は、教会の壁に打ちつけられた。

 もう1人は、フレデリックにぶつかり、ともどもその場に倒れた。


「くっ? エルマ? どうした?」


 フレデリックが起きあがる。


「アイツ、詠唱なしで魔法を」


「そんなバカな」


「そら、言わんこっちゃない。ここは俺に任せてくれ」


 壁に空いた穴から外へ出た。


「はっ? 貴様になにができる? 紫苑騎士団弐番隊の魔道士を吹き飛ばしたヤツだぞ」


 フレデリックが追いかけてた。


「だから、俺が相手をするんだ。コイツらをとっ捕まえるから、兵士にとらわれたうちの仲間を解放してくれよ」


「まず、貴様がなに者かを確かめてからだ」


「俺は、ただの賞金稼ぎだ」


 俺は、シックザールの2人と対峙した。


「キールたち、今後どうなるのっ……!」

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