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第61話 愛の爆弾

「許可、取ってきました」


 勢いよくドアが開き、タビタの明るい声が響いた。


「ご、ごめんなさい……ね、寝坊しましたぁぁぁ」


 タビタの声で飛び起きたのはアルスだった。


 朝方まで、おびき出し作戦の準備を進めていた。

 朝一で、タビタが空き家の使用許可を取りに行ってくれていた。


「よし、準備したモノを運ぶぞ」


「は、はいぃぃ」


 タビタの案内の元、借りた空き家へと向かう。

 海の町であり、山の町でもあるハザシュの朝は、少しひんやりしていた。


 目を覚ますにはちょうどいいくらいだ。


 タビタに案内されたのは、空き家というより小屋に近かった。

 何年も使われておらず、ところどころ痛んでいた。


 今日1日、使うくらいなら問題ないか。

 もし、爆破されても、誰も文句は言わないだろ。


 ほこりを払って、アルスが魔法で金ピカに磨いたモノを並べていく。


「実際、モノを置いてみると、まだ数が寂しいか……」


 陳列した商品とするモノを眺めた。


「最初はこんな感じではないでしょうか? もし、足りないのであれば、私、宣伝しながら、調達してきますよ」


 タビタが言った。


「そうだな、頼む」


「わかりました」


「あとは、手はず通りにな」


「はい。昨日の今日で、こんな大がかりな作戦を……みんなにも手伝っていただき、ありがとうございます」


「それは、実際に、爆弾魔を捕まえてからだ。それに、捕まえると言い出したのはこっちだしな」


 実際は、ヴェロニカだが……。

 そのヴェロニカは、物陰に隠れて、怪しい人物を警戒する。


「では、私は宣伝しながら、例のモノを持ってきます」


「あぁ」


 タビタはその場をあとにして、町へと向かっていた。


 さて、俺も監視体制に入るか。

 物陰に隠れた。




「いらっしゃいませ〜」


 店に見立てた小屋のすぐ入り口で、エレナが声をかけている。


 エレナは、今日1日看板娘の役だ。


 タビタの宣伝のおかけが、昼前だというのに、お客が現れだした。


 そのうち数人は、タビタの仕こんだ知り合いらしい。


「こんにちは。開店おめでとうございます。はい、頼まれていた掲示物です」


 昼過ぎ、タビタが不自然な演技をして現れた。


「うん、ありがとう」


 と、エレナは馴れ馴れしく受け取る。

 そして、指示していおいた壁にタビタの書いた大判の紙を貼った。


 これで、タビタが納品したことになる。

 爆弾魔が、ここを爆破する条件はそろった。

 あとは、爆弾魔が爆弾を仕掛けに来るのを待つだけだ。


 夕方になるまで、ちょろちょろと客がやってきていた。


 そして、夕方に小太りの男がやってきた。

 店内をひととおり見回していく。

 最後に、店内に1つしかない掲示物をなめるように見つめている。


 商品を見るより、真剣に見てるじゃねーか。


 それから、チラチラとエレナの様子をうかがっている。


 男のほかに客はいない。


 俺は、エレナに合図を送る。

 エレナはほんの少しの間、店から出た。

 ふたたび店番につくと、男はなにくわぬ顔で店を出て行った。




 日が沈んで、客も来なくなった。

 店じまいをして、エレナは小屋から去って行く。


 それからしばらくして、ふたたびあの男が現れた。

 周囲を警戒しつつ、そわそわしながら、小屋に近づいて、小屋の中をうかがっている。


 中をのぞける窓はなく、隙間くらいだ。


「おかしい……なんで、爆発しない……とっくに爆発していい頃なのに……」


 今だ。


「あいにく今日は、お店は終わってしまってるんだが」


 物陰から出て、俺が男に声をかけた。


「へっ? あっ、いや……別に」


 と、男は来た道を戻ろうとして、ヴェロニカが男をさえぎるように現れ立った。


「な、なんの真似だよ?」


 男が振り返った。


「もしかして、探し物はコレか? 店内に忘れていっただろ、あんた」


 店内に仕掛けられていた爆弾を見せた。

 アルスによって、爆発しないよう中身は分解されている。


「そっ、それは……し、しらないよ。なんでもないんだ、か、帰る……」


 男はヴェロニカをよけて行こうとするが、ヴェロニカが男の前に立ちはだかる。


「ちょっ、なんなんだよ」


「タビタが掲示物をあずけたあと、店を爆破しているのはあんたなんだろ?」


「な、なんのことかわからない。僕は帰る。そこをどけ」


「どきません」


 ヴェロニカは腕を左右に広げた。


「鎧なんて身につけて、タビタの護衛か?」


 男は、肩にかけていた鞄から、黒い弾を取り出した。


「タビタのお守り役は僕だけで十分なんだよ。これなら、人1人くらい簡単に吹っ飛ばせるよ」


 男は、やけになったように言った。


「どんな理由で、そんなもの作ってるんだ?」


「決まってるでしょ。タビタに気づいてもらうためだよ」


 は?


「お前、なにを言ってるんだ?」


「こんなに僕が爆破してアピールしてるのに、タビタは気づいてくれないんだ。振り向いてもくれない」


 えっと……。


「まったく、話が見えないんだが……」


「これは、愛の爆弾だよ」


 なにを言ってる、コイツ。


「気づけなくて、ごめんなさい!」


 隠れていたタビタが物陰から出てきた。


 これまたタビタも率直だこと。


「タビタ……そんな……」


 男は信じられないと、驚愕した表情でタビタを見つめている。


「タビタ、知っている人か?」


 俺が聞いた。


「いいえ」


 きっぱりと答えたタビタ。


「そんな……あんなに爆発させてるのに……」


 もう意味がわからなくなってきた。


「お店を爆発させられて、困ってるのでやめてください」


「じゃ、じゃあ、この僕と一緒に愛を爆発させよう、タビタ」


 と、爆弾を持ったままの男がタビタに近づいていく。


「ふぇ、イヤです……」


「なんで、そんなに僕をさけるんだい、タビタ。この町に来て、こうやって出会うことができたのは奇跡。数ヶ月前、ひと目見てから、一緒に愛を爆発させようって思ってたんだ」


「イ、イヤです……」


「タビターーー」


 男が突然、タビタに向かって駆けだした。


「うげっっっ」


 草に足を取られてこけた男。


「あ、おい」


 まずいっ。


 こけた勢いで男の手から放り出された爆弾が、タビタに向かっていく。


 ——序・昇風ジョ・オーベンウィンド


 爆弾の下から風が舞いあがった。


 そして、上空へ飛んだ爆弾に向かって、持っていた爆弾を投げつけた。


 暗くなったばかりの空に、大きな音とともに爆弾が火の粉をまき散らして破裂した。


「タビタ、大丈夫だったか?」


「あ、はい、大丈夫です」


「お前ら、いい雰囲気になってんじゃねーよ」


序・雷蛇束縛ジョ・サンダーシュランゲホールド


 起きあがって、ふたたび走り向かってきた男に手をかざす。


「はぎゃーーーあああ、あ、あ、あ……」


 男はしびれたままその場に倒れこんだ。

 体をビクビクさせていた。


「お騒がせなヤツだ。自分だけの思いを爆発させてんじゃねーよ」


「ふぇー」


 タビタは胸に手を当てて、肩の力を抜いた。


「やりましたね、キール」


 ヴェロニカが言った。


「あぁ」


 はぁ……、こんなヤツを捕まえるのに1日使っちまった。

 まぁ、でも、タビタも安心したようだし、これでヴェロニカも気がすんだだろう。


「おもしろかった!」

「続きが気になる、読みたい!」

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