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第54話 闇の魔法騎士

 闇に飲まれた魔法騎士がゆっくりと歩き出す。


 闇の指輪で、闇落ちしてしまった元紅蓮騎士団の魔法騎士アレクサンダーと対峙する紅蓮騎士レオンは、ふたたび剣をかまえる。


 レオン、どう対処する気だ?

 もともと仲間の騎士だ。

 迷いを感じないはずがない。

 とはいえ、闇の力をどう押さえこむか……。


 アレクサンダーがまた剣を振りおろす。

 暗黒の波動がレオンに向かっていく。


「アレクサンダー、覚悟してください」


 レオンは波動を断ち切って、アレクサンダーとの間合いをつめた。


 キーンと、剣と剣の金属が激しくぶつかった。

 ギリギリと剣を押し合う。

 一歩、また一歩、アレクサンダーが押し戻されていく。


 さすがレオン。八大騎士の1人。

 闇の力を宿した騎士にも負けない。

 いや、負けたら終わりだ。


 アレクサンダーは片手を剣から放して、レオンの胸元に手をかざす。


 黒光りする氷の槍が、アレクサンダーの手のひらから突如、出現した。


「クッ」


 レオンは瞬時に飛び退いた。


 氷の槍は、兵士数人を巻きこんで、城の入り口横の壁を破壊した。


 アレクサンダーはそのまま城の入り口へとゆっくり歩いて行く。


 ——城の中へ行くのか? 彼の目的はなんだ?


「行かせはしない」


 レオンはアレクサンダーに飛びかかった。

 すさまじい速さで剣と剣がぶつかり合う。


 さすが、国を代表する騎士同士の剣さばき。


「グッ」


「レオン、大丈夫か?」


「心配いらない。鎧を傷つけられた程度だ」


 しかし、レオンの胸辺りから黒い煙がのぼっていた。


「オッグッ……アッ……これは……」


 レオンは傷つけられた胸を押さえて、片膝をついた。


 突然、力が抜けた?

 アレクサンダーの剣から黒い炎……。

 武器に魔法効果を与えるスキルか。

 魔法騎士の最大の能力。


 おそらく、暗黒か闇の力が剣にも宿っている。


 アレクサンダーが、レオンに剣先を向けた。


「クッ、この技は……」


「レオン、退け」


 言葉をかけた瞬間、レオンは黒い光の球体に包まれてしまった。


 なにをした?


「キール、俺は無事だ。だが、アレクサンダーの術中で動けない」


「大丈夫なのか?」


「あぁ。内側から、なんとか抵抗している。しかし、私は動けない」


 ふたたびアレクサンダーが城へ向かって歩き出す。


 ——思ったより早すぎるぜ、俺の出番。


 地面を蹴って、投擲ナイフをいくつも投げつける。

 剣で弾かれ、鎧に当たるも闇のオーラに勢いを殺されて地面に落ちた。


 その一瞬で、アレクサンダーとの間合いをつめて、剣を振りおろす。


「くっ」


 いとも簡単に受け止められるとはね……。

 本当に闇に飲まれているんだな。


 アレクサンダーの兜の中は、闇のオーラに包まれて、はっきりとした表情をうかがうことができなかった。


 闇が暗黒と同等かはわからないが、同じ系統だろう。

 暗黒素質をもったヤツらとやり合ったことはないが……対抗するには、暗黒で攻めていくしかない。


 ただ、俺の暗黒は、本当の暗黒素質とは少し違うからな。

 本当の闇に太刀打ちできるか?


 まぁ、懸賞金がかかってる相手ではないが、なぜか、燃えてきたぜ。


 アレクサンダーと剣を押し合って、その勢いで飛び退いた。


 暗黒魔法は、そこまで得意じゃないんだが……。


 ——急・暗黒炎連弾(ダークフレイムボール)


 1発目、2発目は剣で切られてしまうが、その爆煙にアレクサンダーが包まれる。


 そこに次々と黒い火球を撃ちこむ。


 爆煙が風で流されて、アレクサンダーの姿が現れた。


 少しフラついてるな。

 少しは効いてるか……。


 アレクサンダーは、スッと手をかざしてきた。


 なにっ?

 俺がいま放った暗黒魔法を……。


 アレクサンダーの手から、黒い火球が何度も放たれた。


 瞬時に真似てくるとは、やっかいな魔法騎士だぜ。

 よけるのは簡単だが……。

 後ろには兵士たちがいる。

 なら。


 ——マナ・リヒトワンド


 光の壁が、何発もの黒い火球を防いだ。


「なんだ、あの魔法は……いや、違う」


 黒い光にとらわれているレオンが言った。


「ハッ」


 俺は、突っこんできたアレクサンダーの剣をとっさに黒剣で受ける。


 ゆっくり歩くだけかと思ってたぜ。

 くっ、なんて力だ。

 振り払えない。

 これは、まずいね……。


 アレクサンダーの剣に黒いオーラがどんどん集まりだしていた。


 ゼロ距離で放つ気か?

 それならこっちもだ。


 ——暗黒龍牙乱斬ダークドラゴンファングスラッシャー


 同時に、アレクサンダーの剣から、黒い光がいっきに()ぜた。


 黒い光と、黒い龍がはげしくぶつかりあった。


 爆発の勢いで、アレクサンダーが吹き飛んでいった。


 倒れてもなお、ゆっくりと立ちあがる。

 剣で体を支え、だが、ガタガタと体を震わせていた。


「あっ……あっ……あっ……」


 ん?

 さっきほどの闇のオーラが感じられない。

 相当ダメージがある。


 ということは、やっぱり……。


 俺の暗黒は、マナから作っているから、本質の暗黒からはズレている。

 その作用か。


 アレクサンダーの足元、その周囲にさっき投げた投擲ナイフが散乱しているのに気づいた。


 ふっ、ちょうどいい。


 黒剣を地面に突き刺して、両手を胸の前で重ねた。


 アレクサンダーは、剣先を俺に向けてくる。

 しかし、ゆらゆらと焦点が定まってはいない。

 剣に黒い光が集まり出す。


「おい、キール? まずいぞ」


 レオンが警告してきた。


 アレクサンダーの剣先から、黒い閃光が放たれようとしていた。


 ——マナ・エクソルツィスムス


 散乱していた投擲ナイフから、白い光線がアレクサンダーに放たれた。


 それは、アレクサンダーの体と地面を縛るひものよう。


 アレクサンダーは、その光から逃れようともがくが、徐々に光の縛りが強くなり、動けなくなった。


 闇のオーラを放出するが、包みこむ白い光が闇を吸収していく。


「な、なにが起きている……キールはなにを?」


 ——頼む。このまま闇を解いてくれ、マナよ……。


 両手を合わせたまま祈った。


 ついにアレクサンダーが放出する闇のオーラが消えた。


 ガクンと、体の力が抜けてそのまま後ろに倒れてしまった。


 同時に白い光も、粒子になって消えていった。


 ふう……。

 さて……。

 息は……している。


 倒れたアレクサンダーの顔をのぞくと、顔色を取りもどした男の顔があった。


「キール、どうなった?」


 レオンは、いまだ黒い光の中に包まれている。


 闇を宿した主から闇がなくなっても、レオンを取り囲む闇自体は生きつづけるのか。


「ガオ?」

「レオン?」

「レオン……」

「レオンっ」


 ウルスラを先頭に、紅蓮騎士団のメンバーが駆けつけた。


「コレは、いったい」


 レオンと同じ赤い鎧を身につけている騎士が、レオンに近づく。


「触れるな、ユリアヌス」


 赤いローブをまとった女魔道士が言った。


「ちょっと、悪い。通してくれ……。レオン、今、助ける」


 俺は紅蓮騎士団の中を割って、レオンを包みこむ球体の闇に手をかざす。


 ——マナ・エクソルツィスムス


 黒い球体は、白い光に包みこまれる。

 球体を形作っていた闇の光が、溶けるように薄れていった。


「な、なんだ? この魔法はっ」


 魔道士の女が言葉をつまらせた。


 白い光が解き放たれると、レオンが立ちあがった。


 同時に、胸元についた鎧の傷を触ったレオン。


「体のしびれもなくなった。これもキールが?」


「闇の力を解いたよ」


「キール、ありがとう。アレクサンダーは……」


「おそらく大丈夫だ。闇は最小限までにとどめられているはずだ……」


「ここまでしてくれて、なんとお礼を言っていいか……」


 レオンは、軽く頭を下げた。

 その光景を目の当たりにした紅蓮騎士団のメンバーは、呆気にとられていた。


「レオン……いったい全体、なにが」


 ユリアヌスが、まばたき多く言う。


「彼、キールは都で暴動を止めていて——」


「ぐ、紅蓮騎士団さまぁ……城内に侵入者が……王様が……」


 城の中から駆け出てきた血だらけの兵士が、口早に言って倒れた。


「おもしろかった!」

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