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第49話 レッドエリクサーの分析

 カジノの外に出ると、夕方近くなっていた。


 手頃な飯屋に入った。


「好きなモノを食え」


 エレナとアルスは、次々に注文を店員に告げる。


 ——こついら、最近、遠慮がなくなってきたな。


 ググーっと、ヴェロニカの腹の虫が鳴った。


「なんだ、飯、食べてないのか?」


「朝、少しだけ」


「なら、好きに食べていけ」


「大丈夫、ヴェロニカのも頼んだから」


 と、エレナが微笑んだ。


「あわ……あ、ありがとうございます……はぁ……」


 ヴェロニカは深いため息を吐いた。


「手配書、あげちゃってすまなかったな」


「あ、いえ、わたくしが見間違えていたようですし……」


「もし、賞金首がいたとしても、1枚1枚見ていたら見つかるモノも見つからないぜ」


「そ、そうですよね……はぁ……わたくしは本当になんの取り柄もないのです……」


 そんなことはないとは思うが……。

 そのおっとりした性格が災いしているのだろう。


「ひとまず、兜を外したらどうだ?」


「あわ……そ、そうですね……食事ですものね」


 ヴェロニカはあたりを一度見回した。

 それから、兜を持ちあげる。

 兜の中でまとめていた金色の長い髪が落ち広がった。


 よくずれる兜の中で、その髪がおさまっていたものだな。


「き、金色ですぅ」


 アルスが目をキラキラさせている。


 アルス。お前は、金色ならカネでも金髪でもいいのか。


 そこに注文した料理が、ぞくぞくと運ばれてきた。

 あっという間にテーブルは、料理でいっぱいになった。


「ジャラジャラ出なかったので、その分、自分が食べこむしかありません」


 アルスは勢いよく料理を口にほおばる。

 エレナも負けじと、食べはじめた。


「食べないのか、ヴェロニカ」


「その、わたしくがいただいてもいいのでしょうか」


「ここまで連れてきて食うなとは、さすがに言わねぇーよ。腹が減ってるなら食え」


「……で、では、いただきます……はぁむ……んんっ、おいしいです〜」


 ヴェロニカも勢いよく料理を食べ進めていく。

 しかし、周囲が気になるのか、チラチラと辺りを見回す。


「なにか気になることでもあるのか、ヴェロニカ」


「あわ……元パーティーメンバーに見られていないかと」


「元パーティーもロラストの都にいるのか?」


「わかりません。パーティーを追い出されたのは別の町ですけど、もしかしてと……」


 確かに、パーティーを追い出されて、どこかでまた顔を合わせるのは気まずいだろうな。


 まっ、俺の場合は、思いっきり海に放り出された分、気が楽だ。


「聞いてもいいか? 前のパーティーはどんなパーティーだったんだ? もし、いやなら答えなくてもいいけど」


「大丈夫です。勇者パーティーでした」


「へー、勇者パーティーね。それなら、見ればだいたいわかるな」


「はい、勇者はわたくしでした」


「へー、ヴェロニカが勇者か……」


 えっ?


「ヴェロニカ、勇者だったの?」

「ぶーふぁばっぱんでぶが?」

(勇者だったんですか?)


 エレナとほぼ同時に、口にものが入っているアルスもしゃべった。


「アルス、飲みこんでからにしろ」

「ふぁいぃ」


「わたくしが立ちあげた勇者パーティーだったのですが、わたくしの行動に、いえ、正確には、わたしくの性格に不満を募らせたメンバー全員に追い出されまして……」


 メンバーがパーティーを抜け出しても、結果は同じか。


「資金が潤沢にあるわけでもなく」


「それで賞金稼ぎか。まぁ、俺も似たような境遇だな。追放されて、すぐに別のパーティーに入ったり、立ち上げるのもな……」


「はい……」


「ヴェロニカもわたしたちのパーティーに入ればいいじゃん」


 エレナが口を挟んできた。


「おい、姫さん、いつから俺たちはパーティーになったんだ?」


「えっ、それは……あの日の夜……キャハッ」


 顔を赤らませるエレナは、自分の顔を手で隠す。


 はぁ……。

 確かにヴェロニカを見ていると、1人にしておくのも不安だ。


 どうも、都には血の気の多いヤツらが増えてきているみたいだからな。


「ヴェロニカがよければ、しばらく俺たちと行動すればいいさ」


「あわわわ……急に、ご迷惑になりませんか」


「なに、今、1人増えたところで変わらないさ」


「キールの賞金稼ぎのお仕事、勉強させてください。あ、もらいものですが、よかったら、コレを差しあげます」


 ヴェロニカは、赤い液体の入った小瓶をテーブルに置いた。


「これは……」


「「レッドエリクサー!」」


 エレナとアルスも同時に叫んだ。




 少し早い夕食を終えて、宿に戻った。

 宿の店主にお願いして、ヴェロニカ1人分を追加してもらった。

 部屋は一緒だけど。


「ヴェロニカ。このレッドエリクサーをどこで?」


「ロラストの都へ来る途中でもらいました。ロラストの都に賞金首が集まるから、戦闘が起きたら使うといいとか……」


「どんなヤツからもらったんだ?」


「ローブをかぶっていましたので、よくはわかりませんでした」


 よくそんなヤツから、得体の知れないものを受け取ったな。


「アルス。コレ、分析できるか?」


「分析……ですか」


「まぁ、なんでもいいんだ。どんな成分からできているか、とか」


「わかりました。やってみますぅ」


 アルスは、レッドエリクサーの瓶の蓋を開けて、手をかざす。


 小瓶が光に包まれると、中の液体が浮遊する。


 光の中で、液体が3つに分かれた。


「んー、申し訳ありません。わたしの力では、これ以上分けることはできません」


「そうか」


「はい、も、申し訳ないので、脱いでお詫びを」


「いや、そんなことはしなくていい。その3つがどんな成分かわかるか」


「そ、そうですね……」


 アルスは用意しておいたコップに、それぞれを分けいれた。


「この透明な液体は、水だと思います。濃いピンクと薄いピンクの液体、どちらかが能力をアップさせる効果のある液体だと思われます」


「アルス、すごいスキルをお持ちなんですね」


 ヴェロニカが両手をあわせて言った。


「も、元勇者様にそんなことを言われるほどのことでは……でも、これ以上のことはわからないので、脱いでお詫びを——」


 アルスは照れてもじもじしつつ、服をつかむ。


「するな」


 アルスの腕をつかみ止める。


「単純にこの3つを混ぜて作られているのかは不明だが、能力アップの液だけでは作れなかったのか?」


「おそらく、それだけ飲んでも作用しないのかもしれません」


 アルスが答えた。


「作用させるために、例の興奮を呼び起こす液も必要だった……か」


 ヴェロニカ以外にもコレを受け取っているヤツらがいたとしたら……。


 こんなものがあちこちで配られていたら大変なことになるな。


 レッドエリクサーの配布と賞金首や賞金稼ぎが、このロラストの都に集まってくるタイミング。


 なにかイヤな感じがする。




 その夜。


 寝静まった部屋。


 誰かが部屋の中を歩く音がする。


 スッと目を開けると、目をこすっていたヴェロニカだった。


「ムニャムニャ……喉が渇いてしまいました……」


 月明かりが差しこむ窓辺で、ヴェロニカは3つあるうちの1つのコップを口に運んでいた。


「おい、待て!」


「ゴクリ……はい?」


 結果はすぐにわかった。


 ヴェロニカが熱いと言って服を脱ぎ、俺に抱きついてきたのだ。


 月光が振り乱れる金色の髪を反射させて。


「おもしろかった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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