第46話 宴と温泉
「キール、今度はどう?」
エレナが木の陰から顔を出した。
アルスもひょこっと顔を出す。
「もう大丈夫だ。出てきても平気だ」
「すごいね、キール。それにしても激しかったね」
「あぁ、巨体だったからな」
「私、あんなに激しくされたら……」
エレナは両手で照れ顔を隠す。
——激しいって、そっちかよ。
あんな状況で、しっかり見るところは見てるのかよ。
「それにしても、すごく大きな赤ちゃんでしたね。どうしてあんな大きくなってしまったのでしょうか?」
アルスが聞いてきた。
「レッドエリクサーの影響だろう。あの2人も飲んだからな」
「能力をアップさせる。その影響で、変な興奮作用も出てしまう。アレがこん棒になってしまう危険なモノですね」
「どうもそれを作っている組織があるようだ」
「もしかして、まずいことになりそうなんですか?」
「まだわからない」
シックザール魔教会。聞いたこともない。
どのくらいの規模なのかもわからない。
そういえば、支部がどうの、四天王に任されているとか言ってたな。
「キール、やったのね」
マオノがやってきた。
「あぁ……んっ、その子、目が覚めたのか。大丈夫なのか?」
さっきまで気絶した少年ヴィドが立っていた。
「えぇ、つい今さっき。子供たちをかばって、あの2人に気絶させられていたみたい」
「へー、強いじゃないか」
少年は俺から視線を外した。
ん、皮肉に思われたか?
「おじさん、強いんだね」
「呪文言わずに魔法使えるの? 教えて」
安堵の表情が戻った子供たち。
突然、一帯に影が落ちた。
クア
リフィーがやってきた。
「キャー」
「ドラゴンだ、逃げろ」
子供たちがさわぎ出す。
「大丈夫よ。私たちが乗ってきたドラゴン。みんなも乗って帰るのよ」
安全だとわかってみずから飛んできたのか。
賢いやつだな。
それとも、誰も戻ってこなくて寂しかったのか。
クアァ
子供たち全員をリフィーに乗せるスペースはなかった。
往復して、子供たち全員をソピナ村へと連れ帰ることができた。
村人全員とも思える人数で、出迎えてくれた。
「子供を助けてくれて、本当にありがとう」
涙を流しながら、両親たちに感謝された。
——これが嬉し涙でよかったぜ。
——俺の村のようにあんな悲しいことにはなってほしくない。
「キールよ。今回は本当に感謝する。感謝してもしきれん」
集団を割くように、ピウス村長が支えられながら現れた。
「子供たちが無事でなによりです。それに賞金首も捕まえられたんでね」
「キールは賞金稼ぎじゃったのだな」
「まぁ」
「マオノ、エレナ、アルスも村を救ってくれてありがとう」
「あっ、い、いえ、わたしはなにもして——」
アルスが勢いよく謝ろうとしたときだった。
「私からも、みんな、ありがとう。みんなの協力があったから、村にも帰って来られた。本当にありがとう」
マオノが頭を下げた。
「いいってことさ」
少し情報も手に入れられたからな。
「今夜は泊まっていってくれ。なにもないところじゃが、歓迎させてくれ」
日が沈みはじめる頃、村の中央広場で、宴がはじまった。
昼間、村が襲われていたとは思えないほど、人々は明るかった。
村人たちは、料理を次々と運んできてくれた。
もちろんリフィーにも、エサを与えてくれた。
ドラゴンが珍しいのか、リフィーに子供たちや大人がむらがってもいた。
リフィーも少し困った様子だったが、エサをもらえて嬉しそうでもあった。
村人を斬り殺そうとしていたファルコは、あいかわらず裸のまま四つん這いで広場の隅にいた。
レッドエリクサーの効果はとっくに切れていて正気だったが、俺の魔法でしびれて動けないままだ。
ひと晩、そのままにしておくつもりだ。
「キールよ、今日はゆっくりしていきなされ。マオノ、あとでみんなを温泉に連れて行ってやりなさい」
「あ、はい」
「へー、温泉があるのか」
「今日の疲れをとってくだされ。そろそろわしは、寝るでの」
ピウス村長は、村人に支えられて去って行った。
「村長、あー言いながら、のぞきに来るんじゃないか?」
「それは大丈夫よ。村長、夜は早いから」
それならいいけど。
まぁ、俺が覗かれる分ならいいんだがな……。
温泉は村から少し離れた場所にあった。
ソピナ村の人しか使わないという。
村から離れてることもあり、子供たちは暗いから怖がってこないとも。
しかし、その道のり、アルスがギャーギャーさわぎ立てた。
男湯と女湯に形式上分かれていた。
「ふー。外で風呂につかるのも悪くない」
しかし、外がさわがしいな。
「ちょっと、そっちは……」
マオノの声。
「いいじゃん。私たちだけなんだし」
エレナの声。
「お風呂は、みんなで入ると楽しいです」
アルスの声。
「そうだよ、ほら、マオノも……」
先頭を切って、エレナ、アルスがやってくる。
そして、マオノも気まずそうについて来ていた。
「キール、お待たせ」
「待ってない。姫さんたちは向こう側だろ」
「お風呂はキールと一緒がいいんだもん」
エレナは堂々と俺の横にぴったりと体をつけて、俺の腕にしがみつく。
スベスベで、ほどよい弾力のある胸に俺の腕が挟みこまれた。
「キール、あとで背中、流してあげるね」
「いや、頼んでない」
少しゆっくりさせてくれないか。
「でしたら、みんなで背中の流し合いっこをしましょう」
アルスが言った。
「みんなで? どうやって?」
姫さん、聞くな。
「昔の職場で、よくやらされていたのです」
アルス、お前は本当にどんな職場にいたんだよ。
「ほらほら、キールも」
結局、強制的に湯から引っぱり出された。
マオノがアルスの背中を。
アルスがエレナの背中を。
そして、エレナが俺の背中を流す。
「フフッ、キールの背中。あ、でも、これだとマオノが」
と、エレナが気づく。
「え、いや、わたしは別にいいから」
「そういうときは、みんな逆を向けばいいのです」
アルスが提案する。
「そっかぁ。じゃあ、キール、はい」
エレナが反対を向き、背中を向けた。
たくっ……。
こうして、ソピナ村の夜はふけていった。
明日は、ファルコを賞金稼ぎギルドに渡しに行く。
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