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第40話 賞金稼ぎと姫は海を渡る

 リフレリア王都の牢獄。


「よう。痺れは引いたか、オーディス」


 ドラゴンの谷で捕獲した賞金首。

 捕獲する際、つい暗黒魔法で動きを封じてしまった。

 そのため、舌も痺れて話もできない状況だった。


「賞金稼ぎ様がこんなところになんの用だ?」


「時間がないから率直に聞く。お前の腕に描かれている紋章、なんの紋章だ?」


「これか? 教えるつもりはない」


 オーディスは腕をあげて、手首の紋章を見せてきた。


「お前らの組織クラオエのマークではないだろ?」


「その通りだ。クラオエが忠誠を誓って所属させてもらっている…………これを知って、どうする?」


「昔、その紋章を見たことがあってな。お前の腕を見て記憶がよみがえってな」


「それなら、あんたも無事ではいられない。クラオエがつかまったなんて知れたら、なおのこと」


「ほう、そうか。向こうから出てきてくれるんなら、それでいいか」


 俺は牢の前から立ち去った。


「ああ? おい、それだけかよ……」


 オーディスの少し寂しそうな声が響いてきた。


「それじゃあな……」


 このあと、王に謁見してからリフレリアを飛竜で飛び立った。

 エレナを塔からかっさらって……。




「海ぃ〜〜〜」

「青く広いですぅ〜〜〜」


 エレナとアルスは、左右を見るのに忙しい。


「さすがに4人は乗りすぎじゃない? ドラゴンの背中といえど、狭いというか」


 マオノが俺の背後から言ってきた。


 それもそのはず。

 俺はドラゴンのたずなを握りながら、ドレスをはためかせるエレナに抱きつかれている。

 その前にアルスが座っている。


「もう少し進めば、小さな島が見えてくるはずだ。休息するときに、1人、カゴに入ってもらうか」


「それなら私が」


「そうか。悪いな」


「いえ、別に」


「なるべく急ぐから、あまり心配するなよ」


「あ、ありがとう」


 俺たちはマオノの村へと向かっていた。


 マオノはクラオエに協力する代わりに、村の人たちの命を奪わないと約束されていた。

 しかし、オーディスらが所属する得体の知れない組織が、村人たちをある計画に利用するらしい。


 なんとしてでもそれを阻止する。


「ところで、ドラゴンの名前、どうする?」


「名前、ですか?」


 アルスが顔を向けてきた。


「これからずっと旅をする。呼び名があったほうがいいだろ。決めてくれ」


「そうね……」


 エレナは首をかしげて考える。


「あっ! 思いついた。キルレナ!」


 目を輝かせてエレナが見つめてきた。


「おい。俺と姫さんの名前を足しただろ」


「うん、そうだよ。だって、私とキールが出会わなければ、この子とも出会えなかったと思うから」


「別に俺たちの子供ってわけじゃない」


「じゃあ、子供ができたらそうしようよ。いますぐ作ろっ!」


 エレナがギュッと抱きついてくる。


「コ、ココで、ですか? なんて大胆」


 アルスが顔を赤らませている。


 俺はたずなをわざと強く引いた。

 ドラゴンが傾いて、急に滑り落ちるように曲がる。


「「キャァァァァーーー」」


「落ちますぅぅぅ」


 エレナとアルスが悲鳴をあげた。


「もっとまじめに考えてくれ」


 たずなを引き直して、ドラゴンを通常に飛行させる。


「それじゃあ、リフィーはどう? キール」


「リフィー……いい響きだな」


「どうしてそれにしたんですか?」


 アルスがエレナに聞いた。


「リフレリアのドラゴンだから。リフレリアのリフをとってリフィー」


「いい名前です。リフィー、よろしくです」


 アルスがドラゴンの首元をなでた。


 クァアアア


「了承してくれたようだな」


 それから、連なる小さな島に何度か降りて、リフィーを休息させて海を渡る。




 夕方、大陸が見えてきた。


「あれがエリンネリミアという国か。地図通りだったな」


 兵士にもらった地図を確認した。


 エリンネリミアの入り口。港町ミシエルに到着した。


「今日はここまでだな。暗くなる」


「えぇ。まさか、1日でエリンネリミアに入れるなんて」


 マオノは驚いていた。


「リフィーのおかげだな」


 クァ


「まずは宿探しだな」


 マオノとリフィーを海岸に残して、ミシエルの港町の宿屋を探した。

 見つけた宿で、ドラゴンがいることを伝えると、


「ドラゴンもいるなら、1万セピー追加だよ」


 面倒くさそうに宿の女店主に言われた。

 場所代に食事代。


 当然、必要になる費用か。


「それがイヤなら、浜辺でドラゴンと一緒に寝るんだね」


 いくらカネがあっても、旅をしながら毎回、宿で追加料金をとられるのは痛いぜ。


「私は野宿でもいいです……」


 と、アルスは言う。


「エレナ姫。外で寝ることになりそうだが、それでもいいか?」


「うん、いいよ。外で寝る初めて。楽しみ!」


 リフレリアの外に出たことで、エレナは舞い上がっている。


「さすがに、その格好で寝るのもなぁ。飯を調達する前に、姫の服だな」


 これから先ずっとドレスじゃ動きづらいだろうしな。

 あの海賊風の服、持ってこれればよかったが。

 その余裕はなかったな。




「おかえり……って、エレナ姫、ど、どうしたの、その服?」


 リフィーと待っていたマオノが驚いた。


 おへそと深い谷間の見える服に、太ももががっつりあらわにする短いパンツ。

 ローブをはおって、魔法使いのかぶる三角のてっぺんが長く、ツバの広いハット帽。


「ふふー、どう? マオノみたいな魔法使いでしょー」


 くるりと一回転して見せる。


「そ、そう……キール、私、あそこまで露出してないけど」


 マオノが小声で言ってきた。


「どうも姫さんの中の魔法使いは、アレみたいでな」


「前もあんな格好してと思うけど」


「前は海賊風だった」


「あまり変わってないように見えるけど」


「それは言ってやるな」


 それにしても、たいていの切り傷や魔法にも十分に耐えられる服が都合よくあったもんだ。

 その分、値が張って予想外の出費になっちまったがな。


「それで、宿は浜辺で野宿になった」


「私は別にいいけど。そこまで寒くないし」


 火を囲んで、屋台で買ってきた夕食を浜辺で食べる。


 リフィーにもドラゴン向けという肉や食べ物を買ってきていた。

 思いの外、食いつきがいい。

 いや、良すぎた。

 バクバク食べている。


 ドラゴンの谷では食べることのできない味なのだろうか。


 クッア、クッア、クッア……


 リフィーは、俺たちが食べている物に顔を近づけて、匂いをかいでいる。


「もっと食べたいのかな、リフィー」


 エレナが言った。


「食べ物を見ているようだから、そうかもね」


 マオノがつけ加える。


「リフィー。もっと食べたいのか?」


 クァアアア


「そのようですぅ」


「んじゃあ、追加で調達してくるか」




 夜、浜辺でリフィーに寄りかかり寝る。

 満天の星空のもと、穏やかな波音に包まれて……。


 当然のように、俺はエレナとアルスに挟まれてもいる。


 まさか、初日から野宿になるとはな。

 それに、さすがにドラゴンの胃袋を甘く見ていた。


 こんな旅が続くとなると……。


 しっかり稼いでいかないとな。


 明日は、マオノの村へ行く。


「おもしろかった!」

「続きが気になる、読みたい!」

「今後どうなるのっ……!」


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